↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
374/539

入梅(六月十一日)



 毎年6月11日頃、暦の上では『入梅』を迎える。入梅とは、節分や彼岸などと同じく雑節の一つで、太陽の黄経が80度に達した日とされて、年によって前後する。二十四節気の芒種に入って、初めの壬の日が入梅の日だ。

 これは、『梅雨入り』だと北から南で大きく梅雨入りの時期が変わる上に毎年同じなわけでは無い。農家にとってそれがすごく困る。なので、雑節が目安になってくるわけだ。



「入梅に入る」

「梅雨入りするじゃ無くて?」

「うちらのところだとそう言う」



 遥くんのところではそう呼ぶようだ。関東だとそう言うんだね。東北は普通に『梅雨入り』と呼ぶ。違いがあって面白いね。遥くんは、今年も『紫陽花』がモチーフになったお菓子持ってきてくれた。しかし、何故かそれは、金平糖だった。駄菓子屋さんで売っていて買って食べたね。


 それに、星の好きな嘉(よし)くんが反応した。金平糖って小さな星みたいだよね。きらきらした可愛らしいパッケージに入っていて、嘉くんに「似合わない」って突っ込まれた。



「そう言う奴にはやらん」

「え、ずる」



 あはは、このやりとりも相変わらずだ。そう言いながらも遥くんは嘉くんに金平糖を渡していた。青系のグラデーションが綺麗な金平糖だ。麻衣ちゃんはこっち、って渡されたのは、紫系メインの金平糖だった。金平糖懐かしいね。



「これさ、前に作っている動画見たんだけど、めちゃくちゃ大変なんだよね」

「一、二週間とかずっと釜を回転させて作るっていう動画か」

「うん、すごいなって思った」



 私も一緒に見た。こんな手間がかかって作られているんだな、と感心したんだよね。これが、一口で口に入っちゃって、口の中で溶けて無くなってしまう儚いお菓子だ。



「そうだ、私からも渡すものあったんだ」

「麻衣ちゃんから、嘉へのプレゼントなんて、誕生日以外になんて、珍しいね」

「だって、ビニール傘の消費激しいんだもの」

「ああ、傘か。ビニール傘だと壊れやすいものな」

「今日は、傘の日だって。タイムリーかなって思った」



 私が選んだのは表がシンプルな黒い傘なんだけど、内側には星が広がっている。夜空の星なので、線で繋がって星座を形成していることもない。星座に詳しい人しか見つけられないのは実際の夜空の星と一緒だ。



「秋生まれだから、秋の星空にしようと思ったんだけど、私たちの星座のさそり座って夏だから、夏の星座にしてみた」



 男性用の傘で、星座も意識しないと細かい星座は分からないので、男性が持ち歩いても大丈夫かなと思った。嘉くん、早速開いてみて嬉しそうな声を上げた。



「うわ、いいな、これ。昼でも星が見えるって良い」

「面白いな。前に、表は黒いんだけど、内側が青空になっている傘見たことある」



 ああ、それ実は持っている。今は、美月さんからもらった麻の模様の傘だけどね、前はそれを使っていた。持っているよ、って言ったら流石、って言われた。うん、空は好きだからね。



 雨の日が楽しみになったって言われた。遥くん、子供か、って突っ込んでいる。新しい傘を買ってもらった子供のような反応だったからだ。


 うん、一緒に傘を差して散歩も良いかもしれないね。



 2026/06/11 活動報告掲載

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。