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夏季休暇 6


 翌日、クリュッセルが約束通りに学園に向かうとラスティークが先に正門前で待っていた。

 告白以来2人きりで話す機会が一度も無かったクリュッセルはここぞとばかりに話しかけた。


 「おはようございます。ラスティーク様」


 「……おはよう。クリュッセル嬢」


 少し距離を置くようなラスティークの呼び方に対し、クリュッセルが寂しげな声で問いかける。


 「ラスティーク様……あの時のこと、怒っていらっしゃいますよね……」


 俯き、後悔と落胆をしているような雰囲気を醸し出しながらクリュッセルがそう聞くとラスティークはパッとグイとクリュッセルの顔を上げさせる。


 「当たり前でしょう!??あの時の私とあなたは敵対関係に近く、私はあなたのことを虐めを指示していた主犯格。それに同性なのに私のことを好きと言い始めるのはどうかという気持ちと私の今までの計画を踏み潰したような物だと錯覚するに決まっているでしょう!?」


 ラスティークの小さな叫びにクリュッセルがクスリと笑う。その笑いにラスティークが怒りを顕にする様に声を上げた。


 「一体何がおかしいと言うの?あなた、本当に馬鹿で愚かなのね?」


 「ふふふっ……いえ、違いますわ。ふふふっ」


 「それじゃあ何なのかしら?あなたのその訳の分からない笑いはどこから来るものなのよ?」


 「ラスティーク様が顔を赤くしながら話しているのがとても可愛らしくてつい……」


 クリュッセルがそう答えるとラスティークはそっぽを向く。


 「ふ、ふん!私が美しくて可愛いのは当然のことですわ!何を今更!」


 ムキになるようにそう宣言するラスティークの顔は少し嬉しそうだったが、クリュッセルには見えなかった。


 「お待たせ致しましたわ〜!!」


 そんな折、ロゼールがウィーナの手を引いて馬車から降りる。慣れない馬車に酔ったのか少しふらつくウィーナだったが、大丈夫ですよ。と少し青ざめた顔で答え、休ませようとしたクリュッセルの静止を退けてサロンになる予定の教室へと向かう事にした。





 いつもよりも静かな学園に4人の靴音がこだまする。何か悪いことをしているような、明るい場所で肝試しをしているような不思議な気分になったクリュッセルだが、そんなことを考えているうちに件のサロンになる予定の空き教室に着いた。

 ラスティークが銀の鍵を差し込み、魔力を流し込むとガチャリと音を立てて扉が開く。

 埃を舞わせないようにそっと扉を開くと祈祷室よりもいくらか広いくらいの部屋に机と椅子とがバラバラに置かれており、窓からは東庭園が見え、明るすぎず暗すぎない光が差し込んでいた。


 「まぁ……」


 「これは……予想外ですわ……」


 ロゼールとクリュッセルがそう口々に言うとラスティークは窓を開く。カーテンが靡き、ホコリが踊り、ラスティークの月白色に輝いた髪がふわりと舞う。

 そのあまりの美しさに思わずクリュッセルは息を飲み、ウィーナとロゼールは呆然と見つめる。


 「こほっこほっ……やっぱり少しホコリっぽいわね……まぁ後でメイドたちも呼んで掃除をすれば良いわね」


 「……つまり、そういう事は……」


 ウィーナが問いかける。

 ラスティークはいつもの大人っぽい笑みではなく、歳相応の眩しい笑顔で答えた。


 「勿論、気に入ったに決まっているでしょう?多少狭いけれど、どうせ私達しか居ないんですもの。それならこの中々にいい教室、使わない理由なんて無いでしょう?」


 「……!それじゃあ、早速物を片付けましょうか?」


 「えぇ、当たり前よ。行動して早めに魔道具を持ち込みながら掃除を終わらせるのよ!」


 ラスティークがそう指示すると3人は思い思いに物を動かしたり、壊れているものを外に出しはじめた。10年近く前という事もあり大分ボロボロの本棚も見つかったが、無事に4人で運び出す。

 慣れない力仕事に服が汚れながらも4人は楽しくサロン開設の準備を進めた。

今年最後の投稿になります。来年はサロンの内装とか書きたいですが今日ちょうど発熱しました。

来年どうなるか次第で書けるかどうか変わりますが出せたら気合いで治したか元々治ってたか身体に鞭打って書いたか予想してください。

答え合わせは来週のあとがきです。

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