パーティー 6
ネメシアは植物の名前。リーリエはドイツ語で百合
中央塔に入るとたくさんの令嬢に囲まれている王子と従者の視線が4人の方に向けられる。2人は分からないほど小さく眉を下げてから近くにいた令嬢の手を取ると他の令嬢達は名残惜しそうにする者、蜘蛛の子を散らすように他の令息の元へと向かう者と分かれる
「やっぱり大変そうね。生徒会に入っているメンツは特に」
「……こちらを見ながら言わないで下さい。お2人は別格ですよ。副会長は騎士の家の出でありながら温厚篤実で知識もある脳筋とは程遠い存在で、会長は眉目秀麗、有智高才と言われる第一王子ですよ。その上2人とも……いえ、これは僕にも言えますが……婚約者がいないので尚更でしょうね。尤も会長は少なくとも侯爵以上の爵位の出の令嬢であることが最低条件でしょうが。まぁ、あの場に集まっていた令嬢達は恐らく一時の夢として踊ることを望んでいたんでしょうね」
フィリオスが冷静に分析しながらそう返していると不意に声がかけられた
「失礼。もしよろしければこの私と踊ってはくれないでしょうか?」
振り返り、声の主を確かめると主と思わしき令息が恭しく一礼した
ロゼールが少し警戒をしながら彼を見つめると顔を上げた彼はサファイア色の瞳をしていた
「ネメシア・リーリエと言います。先程は背後からから突然ダンスの誘いをしてしまったことを謝罪します」
ネメシアと名乗った彼は柔らかい笑みを浮かべるとロゼールの前へと跪いた
「なっ……!?急にどうされましたの!?」
「ロゼール・ハワード令嬢とお見受けします。どうかこの私と踊ってはいただけませんか?」
思わずロゼールが心配の声を上げると真摯な瞳で彼はそう告げた
ロゼールは固まり成り行きを見守っていた3人は微笑ましそうに笑っている
「……ま、間違いとかではありません……わよね?」
「えぇ、もちろんですよ。私はロゼール嬢、貴女と共に踊りたいのです。……返事を聞かせてはいただけませんか?」
その問いかけにロゼールは思わず3人を振り返ると3人は『楽しんできてね』と言わんばかりの微笑みと縦に頷く。そして覚悟を決めたようにロゼールはその手をそっと取る
2組のペアが広間の中央にエスコートされて歩んでいくのをウィーナは壁際で見守っていた
「もちろんですよ。先輩……いいえ、ラスティーク嬢の為に不肖イメリード、全力でエスコートさせていただきます」
イメリードはラスティークの手を取りゆっくりと広間の中央へとエスコートする
程よい間隔になるとタイミングを見計らったかのように演奏が開始される
ヴァイオリンとチェンバロの奏でる旋律は優雅で明るいものだった。クルクルと回る度にふわりと大小あるもののドレスのスカートや髪が広がり波打つ。個々人が身につけた装飾品や服でキラキラと輝く会場は陽の光が差し込むだけの筈なのにシャンデリアで照らしているかのように煌びやかで星空のようにどこか寂しげだった
視界の端にはどこかの令嬢と踊るガスティンやシャラナーダがチラチラと映る
(それにしても高位貴族になると制約が面倒臭いからな〜お2人も苦労していることで。……というかラスティーク先輩は話してる感じ別に悪い人でもなさそうだし成績も優秀。身分も申し分ないのにどうして避けようとしてるんだろうな〜)
ふとそんな事を考えているとラスティークが挑戦的に笑う
「随分と余裕のようですわね?何か考え事でも?」
「ええ、貴女がとても素敵な方だということを考えていましたよ」
「まぁ、砂糖菓子よりも甘い言葉ですこと」
そう言うとラスティークがダンスに着いてこいと言わんばかりにリードを始めようとする。イメリードはその行動に思わず笑いそうになりながらリードを取らせまいとさらに上を行く
その途中で2人の視界にフィリオスとクリュッセルの姿が映る。2人とも笑い合いながら踊るその姿はまるで絵本の中のお姫様と王子様のようだった
次回、ダンス後のメンツの様子の予定!
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肉まんとおでんとこたつとみかんの季節ですね。インフルとか流行病に気を付けてください。私は朝に風邪ひくんじゃないかなって思いながら起きてます




