ゲームイベント発生?
正反対の庭園へと逃げるように廊下を駆け足で歩むラスティーク。人通りの少ない道を選び、駆け足でサロンはもちろん、寮からも遠ざかる。薔薇がほとんどの西庭園とは少し異なり、グラジオラスやアンスリウムなどの花々が薔薇と共に咲き誇っている
「……綺麗ですわね」
ポツリとそう零すとガゼボへと足を運び始める。本来なら直ぐにバレてしまうようなガゼボは身を隠すのには向いていないかもしれない。しかし、ラスティークは色とりどりで華やかな道を歩む足を止めることはしなかった。それどころか、先程までの恥ずかしさやよく分からない感情を忘れて美しく可愛らしい花を愛でていた
「……ふふっ。綺麗に咲けて嬉しそうですわね。単に私たちの気持ちの押しつけだけれど……それでも、こんなに素敵な花、愛でないのは勿体ないですわね」
しゃがみこみ、足元に散ってしまった花片を手のひらに数枚だけ乗せて息を吹きかける。少し手のひらから飛んだかと思えばすぐに地に落ちてしまった花片を見てラスティークはくすりと笑ってしまう。ついもう一度したくなり、花片を拾い集めると、ブーケにも負けないほど華やかになった。そして、またラスティークが息を吹きかけようとしたその時に少し強い風が彼女と花に吹き付ける
「きゃっ……!」
短い悲鳴と共にスカートの裾を抑えようとすると集め上げた花片が天高く飛んで行った
それを見たラスティークは少し寂しそうな顔をした後、柔らかい笑みで飛び去った方向を見守っていた
ちょうどその頃、東庭園が見える位置でラスティークの死角に居たのはイメリードとフィリオスだった
「……あれ?先輩!あそこにいるのって先輩のお姉さんですよね?」
「あぁ、姉様だが……珍しい。此方の庭園に来るのはもちろん、取り巻きの令嬢も居ないなんて」
少し考え込むような素振りでフィリオスがじっとラスティークを見る。そのうち何かに惹かれるようにラスティークがガゼボへと歩き出すのを見てフィリオスが『まずい』という表情をする
「先輩?ガゼボになんかあるんですか?……あっ!もしかして〜……好きな令嬢関係の事だったり??」
「ばっ……!そういうことは例えそうであっても聞くものでは無いだろう!!」
顔を真っ赤にしてそう反論するとイメリードはニヤリと笑う
「ほほう……つまり“好き”までとは行かなくとも“気になる”令嬢はいると……なるほどなぁ!」
「何が『なるほどなぁ』だ!僕は……っ!!……だいいち僕は君の先輩なのだから、もう少し敬語や礼儀をわきまえて……!」
「はいはい。分かってますよ。でも先輩、気になる令嬢いたんですね。僕、先輩はそういうことに興味無いと思ってました」
「……別に興味が無いわけではないよ。僕だって恋愛に興味があるしね。……だけど、僕は跡取りだ。家柄はもちろん教養も必要だ。だから僕自身の感情よりも家の方を優先するべきと考えて、あまり興味が無いように振舞っていただけだよ」
窓の外では庭園で少し幼くなったようにはしゃぐ姉の姿が見える。フィリオスが『あんな1面もあったんだな 』と見ているとイメリードはいきなりポンポンと頭を撫で始めた
「は?」
「いや、先輩がお姉さんを見る目が優しいのできっとお姉さん想いで、きちんと家のことを考える凄い人だなって思ったので感心してました。あと1つ、どうしましょう?」
フィリオスは頭に置かれた手を払い除けながら問いかける
「何が?」
「いえ、あのお姉さん、少し前というかさっきまで強気で苦手な人って認識だったんですけど、めちゃくちゃ可愛い人だな〜……って」
イメリードが気まずそうに目を逸らすとフィリオスの顔は真顔になり、つい姉から目を逸らしてイメリードの肩を掴んだ
「いいか?姉様はとても素敵な方だが恋路を邪魔しようものなら排除しようとする人だ。惚れたら最後なんだ。先輩として、弟として警告しよう。何をされようが愛せるならいいが、無理なら諦めてくれ」
「は、はーい……」
そう返事をしたイメリードの視界の端には風によって舞い上がった花片が映し出された
よく考えたらイメリードくんもフィリオスくんも久しぶりだったね。最近きゃっきゃうふふしか書いてなかったね
次回!また授業……という訳ではなく、テスト直前まで時間を飛ばす予定です




