文学の授業
エトワールが姿を魔法で変えるとリャイナは唖然とした後、ガタガタとカップを揺らしながら紅茶を口へと運ぶ
「おおおお、お嬢様???いい今、そちらの精霊様が見間違いでなければ姿を変えた気がしますが……???」
「えぇ、そうね。姿は変えていたわ。さっきの姿だと話しづらいでしょうし」
何事もないように振る舞うクリュッセルとは反対にマッサージ機かと聞きたくなるほど振動するリャイナは続ける
「た、確か変化や認識を変える魔法ってものすごい高度な魔法ではありませんでしたか??私の記憶違いでしょうか?」
「いいえ、その認識であってるわ。だってこの子、竜精霊の凍氷竜種で今回遠征に行くことになった理由の精霊ですもの」
その返答にリャイナは背景に宇宙を浮かべた後、しばらく黙り込んだ。そして、口を開く
「……お嬢様。お願いですからそこまで大きい事は私にお教え下さい」
「伝えようとしたけどリャイナが『私が選んだ精霊だから』って言って許可してくれたじゃない」
言葉を詰まらせるリャイナにエトワールが問いかける
「……で、契約者のメイドさんは私に何か?と言うよりもまずはこれから先について話し合わない?」
「あ、えっと……はい」
「えぇ、そうしましょう。」
エトワールの言葉に2人が賛同するとクリュッセルが続ける
「……とりあえず、食事の件だけどエトワールって何を食べれるの?」
「ん〜……熱かったり温かいものとか辛いもの以外なら基本的になんでも平気かな。なんなら水と氷があれば生きていける」
にこにことクリュッセルの質問に答えていくエトワールとそれを記録するリャイナは10分ほど同じようなやり取りを続け、ルールを決め始めた
「──それじゃあ、最後に2つだけ。エトワールはこれから基本的には私のメイドもしくはペット的なポジションで過ごすこと。滅多なことが無い限り学園には付いてこないこと。これが私たちの新しい暮らしのルールですわ」
翌日、クリュッセルが学園に出る際、エトワールが寂しそうな目でクリュッセルを見つめ、中々出ることが出来ずに居たが、リャイナに首根っこを掴まれ、部屋へと放り投げられた隙にクリュッセルは寮を出る
道中ロゼールと合流し、学園のクラスへと向かう途中、リリー先生に呼び止められた為、職員室へと向かい、書類(という名の課題)を取りに向かう
「ごめんなさいね。みんなが頑張ってきたことは分かるんだけども今度のテストは範囲を縮める訳にはいかないのよ。その代わりと言ってはなんだけども、私の方で冊子を作っておいたの。流石に数術や化学系統の問題は解説は作れなかったけど、外国語と文学、歴史なら作れたから。良かったら活用して頂戴」
そういうと大量の書類に軽量化の魔法を掛けて解説冊子をその上に載せる
「「ありがとうございます」」
2人で声を揃えて礼をすると職員室を後にする。教室に入ってバックに整理しようとすると、クラスメイトに取り囲まれ、身動きが取れなくなる……ということも無くすんなり机へと向かうことができた
(……これはこれで複雑だけれど、ありがたいわね……)
そんな事を思いながら書類を片付け、ホームルームもあっという間に過ぎると文学の授業が始まった
授業は自由席なので基本的にはグループやペアが作られている。例によってクリュッセルとロゼールもペアを作り、並んでいると斜め左前に1人で座っている生徒の姿がある。制服から察するに特待生の1人だろう。周りは貴族や大富豪ばかりだから浮いていたのだろうか
(……編入かしら?私たちが王都を出る前はいなかったはず。なら尚更この中で浮くわね)
何故か気になり、次の休み時間にでも声をかけようかと思うとリリー先生が入ってくる
「それじゃあ、30P.開いて。今回から【シュヴァリエ】の読み解き、読み取りに入ります──」
物語の内容は至って普通のものだった主人公が友人のため、家族のために強さを求め、騎士団へと入る話だ
(多分、前世だと銀河鉄道〇夜くらい有名なやつ……ジャンルは……国語、半分寝てたからな〜)
前世の作品と重ね合わせながら授業を受けると分かってきたことがある。前世の国語(現国)と大して変わらないということだ
(いや、簡単……! !国語はそれなりにできるからわかってるから……!!お願いだから同じ文法何度も解説しないで!分かりやすくするためなのは分かるけど──!!)
心の中でシャウトしながら授業を前世と同じように半分ほど流しで受けたクリュッセルは次の休み時間に特待生へと声をかけることをすっかり忘れていたのだった
物語の中の物語で題名を決めるのって何気に難しい気がします
ちなみに国語のくだりは作者の実体験でもあります。(古典ですが)
次回は……何にしましょう?特待生ちゃんは2〜3話後の予定なんですがね……




