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帰路につく 2

        ───魔力供給───

・魔力枯渇状態から脱する際に利用する手段の一つ

・本人の体を媒介として相手に魔力を送り込むこと

・体液の交換によって魔力を補い合う事


 「〜っ!馬鹿なことを言わないで頂戴!!なぜ私なのです!?星の魔力と相性のいい魔力が月と太陽と言うならばシャラナーダ様でもよろしいんではなくって!?」

 若干声を荒らげながら抗議するラスティークをダリアは慌てて宥めながら理由を話す

 「ラスティーク様。貴女がそう思うのも無理ありません。しかし、未婚の、しかも貴族の女性に親族でもない男性が口付けするということは例え緊急時であったとしても令嬢の名に傷が付きます」

 「しかし……!」

 「ですが、同性であれば人命救助の行為として助けられた方の名に傷が付くことは無い上に、助けた方の名声にもなり得ます。お願い致します、彼女(クリュッセル)をお救い下さい!」

 ゆっくりと何事も無いように走る馬車の中、ダリアはラスティークの前に跪くと恭しく礼をする。それに倣うようにロゼールもその形をとる

 「ラスティーク様。どうか、どうかクリュッセル様をお救い下さい……!!」

 涙ながらに発せられたその言葉は、彼女の身体は微かに震えていた

 (何故、私はあの人(母)のことを忘れていたのでしょうね……あんな事があったというのに)

 ラスティークがその姿を見て思い出したのは、嘗ての母の姿であった。ナニカに怯えて震えていたその身体で、“愛”という馬鹿げた感情を語ってから去った母。彼女の死因は魔力の暴走から起きた魔力枯渇だった。|あのおぞましい姿《この世のものとは思えぬ姿》はもう二度と見たくない。そう思っていたのに、今、目の前には母とは異なる原因で枯渇を起こしている憎い女(主人公)がいる。もし、彼女(クリュッセル)を助けなければ、また死体(化ケ物)を見ることになるのだろうか。どんなに憎い人間でも、その姿(死体)は見たくない。そう思ったラスティークは渋々といった風に魔力供給を引き受けた

 「……はぁ…分かりましたわ。ここまでされているのに断ったらナリュータ家の名に傷が付くでしょうし、此方が馬鹿馬鹿しく思えてしまうんですもの」

 ため息を吐きながらそう告げると、2人の表情は一気に安心して緩む。2人は立ち上がると礼を告げ、ダリアは早速り魔力供給についての詳細説明を行う

 「あ、ありがとうございます!ラスティーク様!」

 「感謝致します。ラスティーク様。……魔力供給についてなのですが、この量であれば20秒程触れるだけの口付けをしていただければ問題は無いかと」

 説明を受けたラスティークは頷くと一つだけ要望を話した

 「えぇ、分かりましたわ。……そこで、魔力供給をする上での提案…と言うよりも要望ですわ。例え人命救助だとしても口付けをするのです。じろじろと見られるのは嫌ですわ。だから、その間と前後は見ない様にして下さる?」

 その要望に2人は『もちろんです(わ)』と快諾すると、ラスティークは一度ロゼールを座らせてから自身の座っていた位置にダリアを座らせると魔法で布を2本取り出して2人の目を覆い隠した

 2人に何も見えない事を確認させるとクリュッセルへと向き合った

 (ここで口付けをしなければ魔力の増加量でダリア様にバレることは明白。……はぁ、やっぱりやるしかありませんのね……)

 覚悟を決めて息を吸うとその唇にそっと触れる。優しく触れたそこ(唇)は柔らかかった

 魔力が巡り、身体からは少しずつ力が抜けるが、何処か心地良いような、そよ風が吹き抜けるかのような感覚がする

 (……何故かしら?何処か安心する気がしますわ…)

 頬が桃色に色付きはじめる。すると、ダリアが告げた

 「ラスティーク様、そろそろ20秒経ちました」

 ラスティークはその言葉で一気に現実に引き戻され、急いで唇を離すと、自身が先程まで思っていた事に頬を真っ赤に染め上げた

 (〜っ!!わ、私はいま何を思って……!!)

 すぐに何事も無かったかのように振る舞うために2人の目隠しをとる

 ダリアは立ち上がるとクリュッセルの顔を覗き込む。その様子をラスティークとロゼールは息をのんで見守ると安心しきった表情で口をそっと開いた

 「…魔力枯渇気味から無事に脱したようです」

 その言葉に安心すると、ロゼールはスっと目を瞑り、ラスティークは安心して座り込んだ

 ダリアがラスティークに近付くと一つ礼を告げた

 「ラスティーク様。本当にありがとうございました」

 「べ、別に良いですわ。こ、この女に恩を売ることも出来た事ですし。…そ、そうだわ!今回の事は私がした事を伏せて頂戴。噂になったら面倒なんですもの!」

 ラスティークがそう言うとダリアは優しく微笑んだ

 「……えぇ、分かりました」

 そう告げるとクリュッセルの体勢を元に戻してダリアも座る

 馬車は順調に進み、もう一度ノースフィールの街へと向かって行った

どうも!花弁阿奈羽です!最近テンションおかしくなったので友人にガチ目で心配されました!

 本編について

 今回はちゃんと百合回になるように頑張ってみました。ボーダーラインが難しいですね( ¯꒳¯)ウーム

 ちょっとラスティーク様の過去を挟んだのはこれから少しずつ必要になってくるからです

 次回からはだいぶ時間を進めてノースフィールや宿屋さんなどの足跡を辿りたいな〜って思ってます

 ↓↓↓作者からの一言

 最近本当に暑いですね。ι(´Д`υ)アツィー

 麦茶が恋しくなってきました。読者の皆様も熱中症や脱水症状に気をつけてお過ごし下さい

 ちなみに作者は1度だけ(冬に)脱水症状気味になりました

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