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ラパンレシの森と魔物


 サクサクと霜の降りている地面を踏みして逸れることのないように、遅れることのないように気をつけて進む

 時折茂みの奥からこちらを眺める一角獣やフラパンが視界の端に映るが直ぐに反対方向を向いたり、森の奥へと駆けて行った

 敵意を見せる魔物と遭遇することなく進み続けると身体から少しづつ体温が奪われ、冷えていくのを感じる

 (寒い……防寒しているのに、指先や顔から熱が奪われて冷えてきている)

 僅かに身を震わせながら周りを見回す。その時、強く風が吹き、雪が吹き付けながら地上の雪も舞い上がり目の前が白に遮られた

 (何も見えない……これは……)

 目を細めながら動くことが出来ずに立ち竦んでいると何処からか呼びかけるような声が聞こえる

 「その場から動かないで下さい!」

 「いや、ここからまっすぐ進むぞ!」

 「騙されるな!左へと進め!」

 「何を言っている!右に進むんだ!」

 「このままだと逸れる!森を出よう!」

 前後から矛盾している指示が飛ぶ。その時、誰かが前へと進むのが分かった。追いかけようとしたが、強い風に煽られて体勢を崩す

 「大丈夫か?」

 誰かに手を差し伸べられ、その手を取って体勢を整えてから顔を上げると、どうやらガスティンが手を差し伸べてくれたようだった。吹雪で目を細めているからかよく見えないが傍らにも1人居るようだ

 「ありがとうございます……」

 「ああ、……この吹雪だ。しばらくは動かない方が得策かもな」

 その言葉に私ともう1人も賛同し、クリュッセルたち3人はその場でじっとしていた









 どれくらい経ったのだろうか、吹雪が止むだけではなく、すっかり高い空が広がり、地面は眩しいくらいに輝いていた

 ふと、ガスティンの他に居たのは誰だったのだろうかと顔を横に向けるとガスティンの隣にはラスティークが座っていた。2人は空を見上げてただ呆然としていた

 (え〜っ!嘘!最高なんだけど!は?ラスティーク様とあの困難を乗り越えたって訳?なにこれ神シチュ?あ、でもガスティン様が居たんだった。それでもガスティン様はこういうの気にしないタイプだし、なんなら本編でもラスティーク様への対処が1番マシなラストだったから!そのルートの人なら大丈夫でしょ!まぁ、マシとは言っても爵位剥奪の上島流し【国外追放】だけれど……)

 「……綺麗な空ね」

 「……えぇ、そうですわね。さぁ、私が仕切るのもどうかと思うけれど碧の洞窟へと向かいましょう!」

 ラスティークがぽつりと零したその一言に高い空を見上げながら賛同しつつ、進むことを促す。そして、ラスティークとクリュッセルが立ち上がり、座ったままのガスティンに違和感を抱いていると

 「待ってくれ、そうしたいのは山々なんだが、皆の姿が見えない。逸れてしまった今、俺たちはどうすれば!?」

 「「え?」」

 慌てながらガスティンが告げたその事実にクリュッセルとラスティークは声を合わせて辺りを見回す。そして、人影が自身を含めた3人の他に居ないことを理解すると顔を蒼くして項垂れた


 「ど、どどど、どうしましょう……!わ、私、こんな所で死にたくありませんわ!」

 「ラ、ラスティーク様、お、落ち着いいて下さいませ。き、きっと大丈夫ですわぁぁ」

 「2人とも、少し落ち着いてくれないか?ほら、息をゆっくり吸って、吐いて、吸って、吐いて……」

 ガスティンの言葉通りに深呼吸をして気持ちを落ち着かせ改めて辺りを見回す

 辺りには木が十数本生えているだけで、吹雪の前のように茂みや陽の光が届きそうにない森の道とは異なった

 「先程とは違う所の様ですわ……」

 「……ふむ、恐らくだが、俺たちは皆に置いていかれたのではなく、招かれたのでは無いのだろうか?」

 腕組をしながらガスティンがそう告げる。クリュッセルが疑問をぶつけると

 「理由としては文献だ。俺の家は騎士の家系だが、祖母の家系が文官の家系だから家には祖母の本などが沢山あったんだ」

 「それと、この場所が何か関係あるのですか?」

 「あぁ、勿論だ。祖母の持っていた文献の1つにラパンレシの森についての記述があったんだ。【その森、北の大地にあり、気に入ったものを奥深くに眠る地に吹雪とともに招くであろう】と」

 『そんな事……有り得るはずがない……!』と言いかけた口を噤んで下唇を噛むと、ラスティークが1つの結論に至った

 「精霊……その土地に住まう精霊なら!そのくらいの力なら獣型でもできますわ……!」

 ガスティンはラスティークの言葉に無言で頷くと、立ち上がって雪をほろう

 「……とりあえず、奥へと進もう。ここに招かれたという事なら精霊たちが導いてくれるだろう」

 ガスティンがそう言うと同時に雪の中から1匹の獣と少年が現れた。3人が驚愕のあまり固まっていると、少年は無言でラスティークの袖を引っ張り、獣は後ろからガスティンを押す

 緊張と不安を胸にクリュッセルはその少年と獣に問いかける

 「あ、あの、あなた達が私たちを此処に連れて来たの?」

 少年と獣は無言で頭を縦に振ると、少年が右手の方向を指さしてラスティークの袖を引っ張る。3人は右も左も分からないため、ふたりについて行く








 さく、さく、さく と雪を歩く3人とふわふわと浮かぶ少年と獣は時折振り返りながら奥へ奥へと進んでいく。すると、突然茂みの中から1匹の銀狼が姿を現した。クリュッセルはふたりの仲間なのかと警戒せずに近付こうとすると、ガスティンに制止された

 「待て。こいつは精霊なんかじゃない。魔物だ……!」

 目の前の銀狼は『グルルルル……!!』と低い唸り声を出しながら毛を逆立てている。その気迫に足が竦み、呼吸が自然と浅くなる

 緊張が走る中、もう1匹の銀狼が奥から姿を現すと、先の1匹が襲いかかってきた。ガスティンは剣でその爪を受け止める

 クリュッセルとラスティークは手を前に翳し、詠唱を始める

 「光を灯し続ける炎の精よ、私の声に答え給え!ファイアショット!」

 「形を変える空の精よ、私の呼び掛けに答え給え!ウィンドウェーブ!」

 2人の放った魔法はあとからきた銀狼に見事に当たると銀狼から鈍い音が聞こえると同時にその身体が炎につつまれ、聞くに耐えない咆哮をすると絶命した

 一方で先の銀狼は遠吠えをすると奥へと姿を消した

 どうも、1週間ぶりの花弁阿奈羽です。今回は戦闘シーンを入れましたが……だいぶあっさりしてしまいました(^^;

 次からは気を付けたいと思います


↓↓↓作者から (3.11についてです)

 もう、11年になるんですね。皆さんはあの頃、あの時、何をされていたのでしょうか?私は炬燵に入ってニュースを見ていました。揺れがとても強くて炬燵の中で私の身体がふわりと浮いた感覚は未だに残っています。揺れが1番強かった地域だったこともあったからかも知れませんね

 沿岸部の皆様とご遺族の方々には友人やご家族のご冥福をお祈りします

 3.11を忘れない。これが災害対策の1つになる事を信じています

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