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友達との放課後 その3


 小鳥が二人から離れて飛び立ってから約一時間。既に二人はゾーンに入り、走り出したペンは止まらなかった

 しかし、時間は過ぎ去るのが早く午後五時に図書室が閉まってしまい、二人は図書室から借りた本と勉強道具を手に図書室から追い出されてしまった

 図書室から出るとサロンが目に入り、ふと視線を向けると確かに居たはずの席には既に別の人物が座っており、ラスティークの姿は取り巻きと共に忽然と消えていた(恐らく移動しただけ)

 (どうしましょう!!!ラスティーク様を見失ってしまいましたわ!!!あぁ、なんてことでしょう!!ラスティーク様ファンクラブメンバーNo.00001の名が泣きますわ!)

 「これからどうしましょう?……ロゼール、なにかいい案ってないかしら?」

 「そうですね……中庭に行ってみるのはどうでしょう?そこなら今の時間は人が殆どいなくて静かに過ごせますよ」


 “中庭”その言葉を聞いて胸がチクリと痛んだ


 (中庭……あの時の言葉をラスティーク様へと告げることができていれば今の関係は変わっていたのかしら……)

 心に影をおとし、こころなしか表情も暗く沈んでしまっていたのだろうか。ロゼールが『クリュッセル様?具合が悪いのですか?』と、心配そうに覗き込んでいた

 「…あっ、えぇ、大丈夫よ。少し疲れてしまったのかもしれないわね。中庭で休憩しましょう」

 (とはいえ、体調がすぐれないと言うよりは心の調子の問題なのよね)


 中庭であの思い出と共に全て流してしまおう。全て忘れてしまおう。と決意して彼女は中庭へと向かった



 彼女達がその場を離れてから数分後、そこには異形のモノが居座っていたが、何を考えたのかすぐにその場を後にして、影の中へ忽然と姿を消した




 中庭へと向かう途中で偶然ラスティークと取り巻き令嬢達と遭遇した。先に口を開いたのは向こうの令嬢(マニカ)だった

 「あら?誰かと思えば調子にのってるクリュッセルじゃない?隣にいるのは……あぁ、あの地味女のロゼールね」


 鼻で笑いながら明らかにマウントをとってくる。この言いようにはロゼールも怒りを露わにしているが、相手は自身よりも爵位が上。言い返す事もできない

 (っ!ここでクリュッセルの爵位が侯爵ほどあれば多少は窘めることができたかもしれないのにっ…!)

 ギリッと奥歯を噛み締め、怒っていることを悟られないようにロゼールを窘める

 「早く避けなさいっ!ラスティーク様が通るのよ!あんたみたいなのがいるから邪魔で通れないじゃない!」

 噛み付くようにアイリスも吠え始める。人通りが少ないとはいえ渦中の人物は目立つ人選。否応なしに人から注目される。この中どうやってこの場を切り抜けるか考えを張り巡らせていると

 「ねぇ、お姉様方、何をしてるの?」

 廊下の向こうから聞こえてきたのは声変わりし始めたばかりの少し高めの声。声の主の方へと視線を向けるとそこにはラスティークの実弟であるフィリオス・ナリュータが歩んできた

 「……フィリオス。貴方、もしかしてこの騒ぎを止めに来たのかしら?…立派なものね。流石、お父様が認めただけあるわ」

 「姉さん…っ!……ここで騒がれる方が余計に邪魔になるし、そこの令嬢には前に助けられた御礼があるからね。あっ、貸しを作るのが嫌だし、もちろん騒ぎを止めに行く事になっていたからなんだけど……まさか、渦中に姉さんがいたなんて」

 重い空気が漂う。余りの重さに息が苦しくなって口を開いたのはクリュッセルだった

 「お久しぶり。貴方が…ラスティーク様の弟だったのね。あの怪我、もう大丈夫ですか?魔法で治したので傷は残らないはずですけれど…」

 「あぁ、その件なら大丈夫だよ。じゃあ、僕はこの騒ぎを収めるまでここにいるから姉さん達とクリュッセルさん達で何とかしてね」

 そう言うとフィリオスはその場から少し離れたところで此方の様子を伺い始めた

 「ラスティーク様。このような騒ぎを起こしてしまい、大変失礼致しました」

 そう言うとクリュッセルは一礼して、それに倣ってロゼールも一礼した

 その様子にフィリオスは少し目を見張った

 (報告では姉さんの取り巻きが原因だった様だけど……波風をできるだけたてないようにしたのか……思慮深いな。是非とも生令会に欲しい人材…って!無い無い!どうせまた姉さんに(特に取り巻き)に絡まれるだけだ)

 「いいえ、此方こそ、ここまで騒ぎになってしまって悪かったわね」

 ラスティークがそう告げるとその場を立ち去った。取り巻き令嬢達はすれ違いざまに『運が良かったわね』『調子に乗り過ぎたらどうなるかわかってるわよね?』と圧力をかけてラスティークを追いかけて行った


 彼女たちがその場を後にすると、壁にもたれかかっていたフィリオスはクリュッセルに近付き

 「これからは騒ぎが起こりそうだったら人を頼ってください。…っ!べ、別に貴女の事を心配して言っているわけではありません!これ以上、生令会の仕事が増えないようにする為だからっ!」

 と、自分でデレておきながら“墓穴を掘ってしまった”と言わんばかりに慌ててツンを出してその場を離れてしまった

 最後に残ったクリュッセルとロゼールは『お互いにもう疲れてしまったから中庭はお預けにして部屋で休みましょう』という事になり、そのまま自らの部屋へと戻って行った

 次回は乙女ゲームイベントのドラゴン退治編への導入予定です。

 最近思ったけど、これ、そういえば乙女ゲームだった。(恋愛要素書けなくて忘れてました(´>∀<`)ゝ)

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