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不知の知

死んでいる男に手を触れる。

身体に傷は無かったが、魂は跡形もなく消え去っていた。

どうやら自分の炎で焼かれて死んだわけではないようだ。まあ、改造のせいだと考えるのが普通だろう。


そうだな、魔力切れを起こし魂の維持が不可能になった、といったところだろうか。新しく変えた時点で魔力の常時消費量が半端なかったしな。あれだけの巨大な魔法を使えば消費量は常人の比ではないだろう。


(それだけではありませんよ。精神魔法がまだ上手く使えていないのでしょう。心当たりはありませんか?)

心当たりは、あるな。魂の複製、破壊は問題なく出来たのだが再構築の段階で失敗をしたという自覚は少しあった。

まず、火魔法の威力を上げるイメージが上手く湧かなかったこと、魂が不安定な状態になってしまったことだ。

やはり、他の色々な魂を解析して、パターンを集めて改造の精度を徐々に高めていくしかないな。


と、そんなことを考えているとどこからかけたたましい警報音が鳴り響いてきた。


おいおいなんだこの音は!

(恐らく、ここから北にあるマクス王国のものでしょう。先程の火魔法を見られてしまったのだと思われます)

うーん、まずいなこれは。

大人達を奴隷にするつもりがさっきの魔法で焼き尽くしてしまったからな。

大軍で来られると戦力が足りないかもしれない。

取り敢えず、戦力の確認をしよう。

奴隷一人一人に手を触れ魂の解析をする。


結果、火魔法が九人、風魔法が六人、光魔法が三人、水魔法が二人であり、大人二人は腕力強化魔法であった。

威力は、勿論雀の涙ほどである。


では仕方ない。こいつらの魂にも手を加えるか。そう思って、まず一人に手を触れようとしたその時、後ろから


「貴様!その子供から手を離せ!」


と声がした。聞いた瞬間否応もなく体が言うことを聞かなくなり、手を離してしまった。

振り返ってよく見ると、そこには顔を真っ赤にした村長の姿があった。


「そこから動くんじゃないぞ!」


まただ。

先程と同じように体が言う事を聞かない。

こいつも精神魔法持ちなのか?


「なんだよその魔法、人に命令できるとか強すぎるじゃねーかよ」

「ふん!いつもはこんな強制力は働かんわ!」


いつもは出来ない?どういうことだろうか。こいつ、自分で魂の改造が出来るのか?


「お前達もここに来てじっとしておれい!」


そう言われると、俺の奴隷達は村長の方へ行ってしまった。

おいおい。精神魔法よりも強いのか?村長の魔法は。

(いや、他人の命令を聞くなという改造をしていないからだと思いますよ。あなたの命令に従うこと、としか魂には細工をしていないですから)

なるほどな。ふーむ、まだまだ魔法については知らないことだらけだな。


「貴様、覚悟は出来たか」

「何の事ですか?僕は何もしてませんよ?」

「とぼけるな!どう考えても貴様の仕業だろうが!待っていろ、今すぐ貴様の首を刎ねてやる!」


いやあ、首を刎ねられるのは困るな。


「お前ら、そいつを袋叩きにしろ」

「「「はい。分かりました」」」


そう言うと、奴隷達は村長ににじり寄っていく。


「お、お前達一体何をする気だ!ぐはぁっ!」


一発のパンチで倒れた村長を皆、足蹴にしていく。

「や、止めろ...お前達!な、何故だ。何故言う事を聞かん!」

「お前の事が嫌いなんじゃねーの?」

「ふざけるな!」

「お、体が動くようになったぞ。もしかしてお前、一度に一つしか命令できないのか?くっくっく、まあ、あいつらはその一つの命令も聞いていないようだが」

「だまれ...」


ああ、喋れなくなってしまった。

だけど、こっちは声に出さなくても命令出来るからな。

お前らもっとボコボコにしてやれ。

死なない程度にな。


(((はい。分かりました)))


そしてさらに強くなった暴行に村長はなすすべもなく、その内に気絶してしまった。


「あー、あー、あー」


良かった。喋れるようになったようだ。

一生喋れなくなったら面倒くさいからな。

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