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0/暗闇
僕は最低の人間だ。きっと生きている価値なんてない。
僕のしたことは決して許されるものなんかじゃない。僕も僕が許せない。
だから、償うんだ。僕は僕のしたことを。
暗闇の世界。光のない世界。そこを僕は歩いている。
闇は深く、前も後も分からない。ただ、自分が歩いている道だけが確かにそこにある。その道を僕はただ歩いて行く。あの場所に向かって。
暗闇の中、辿り着いたその場所は、やはり光一つない暗闇だった。
何も見えない暗闇の中、ただ川のせせらぎのみが聞こえてくる。
「……もう、蛍なんかいるわけないよな」
一カ月前まで幻想的な光の粒が舞っていたこの場所も、その名残すら残っていない。
この場所があの日と同じ場所とは思えない程、変わり果ててしまった。
けれど、確かにあの日、僕は彼女とここを訪れ、あの幻想風景を一緒に見た。
そして、僕は彼女に――。
僕は暗闇の中に身を投じるように一歩踏み出した。