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「ごめんももちゃん、元気出して」




数分後。


部屋の片隅で体育座りでいじけていると、太郎さんが困り果てて覗き込んできた。




「いえ、お粗末なモノを見せてしまって、私こそごめんなさい……」


「お粗末じゃねえって。だからってラッキーっつうのも変だけどなぁ」




あんなに気をつけてたのに。


太郎さんに申し訳なさすぎるのと、自分自身のショックとが混ざり合って、私にはどんよりオーラが漂っていた。


鬱陶しいことこの上ない。

私も自分で自分がウザすぎる。



太郎さんは私よりずっとずっと大人だしモテるだろうし、その……女の人の下着なんか見慣れてるだろうけど。


私みたいな小学生レベルの下着見たって、別に何とも思わないだろうけど。



ジローさんじゃなく、今日会ったばかりの男の人に見られたっていうのが……落ち込む。


それも、お兄ちゃんと仲良かった人に。



いや、ジローさんでも落ち込むけど、ね……。



「タマがいじけてるじゃねーか。俺の犬をイジめんなよ」



超鈍感なニブちんジローさんのセリフにいち早く反応した太郎さんの拳が、弟めがけ飛んでいく。



膝を抱えてため息をつきまくっている私のすぐ傍で、派手な兄弟ゲンカが繰り広げられていた。



「なんだよオメー、辛気臭えツラしやがって。やめろよ、こっちまでうつりそうだろーが。見れたもんじゃねーぞ。ついにジローとヤっちまったのか。ジローが未熟すぎて物足りなかったか」



根暗オーラぷんぷんな私の耳に、聞き慣れた声が届いた。



ますます、気が滅入る。


こんな時に、よりによってエロ大使が現れるなんて。




「オメデト~。ひーちゃん、こいつの処女喪失を祝して今度なんかうめえモン作ってやってくれよ」


「なんだそりゃ!?そーいうときは何作りゃいいんだよ、赤飯か!?」


「なに言ってんの、赤飯はセーリのときだろ」


「そうなのか!?なんでお前そんなこと知ってんだよ!?じゃあ何だ、なんつーか、まぁ……そ、そーいうときは何がいいんだ」


「ひーちゃんカワイーなぁ、顔赤えんだけど~。ナニ想像してんだよ。エロ~むっつり~」


「うるせえな、何も想像してねえよ!!っつーか、お前年下のくせに俺をからかうなよ!!」




いつの間にやら、タイガと飛野さんまでもがやって来ていた。


今まで何してたんだろう。

なんでジローさんを、止めに来てくれなかったんだろう。


それも二人して、ステキな勘違いをしてくれちゃってるし。



じっとりとした視線で見上げる私に気づくと、タイガは腰を屈めてにんまりと笑いかけてきた。


似てる。

憎たらしい、この笑顔。



アイツに。



どこまでも私をどん底に突き落とすのが楽しいらしい、緑のアイツに。




「初体験の感想は?」




そしてどうやらこの男は、『エ』と『ロ』の二つの細胞で体が成り立っているらしく。



口を開けば、『エ』と『ロ』に関する話題しか出てこないらしい。



まったくもって、有害な男だと思った。




「ええ、そりゃもう素晴らしかったわよ。若ダンナなんかより、よーっぽど夢見心地だったわ」




だから。


いつまでもやられっぱなしのバージンちゃんじゃ、いてあげないんだから。


ちょっとくらい、意地悪仕返したってバチはあたるまい。



「オイ待て待て待て。お前、そりゃ聞き捨てならねえ!!ドーテイレベルのアイツにこの俺が劣るわきゃねーだろうよ!?」



案の定食いついてきた、『エ』と『ロ』の単細胞。





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