フルール様の屋敷でお茶会です 1
今日は学園はお休み。そして、以前から話を進めていたフルール様主催のお茶会の日だ。
お茶会に参加するのは2回目だけど、前回はあれよあれよという間に気づいたら参加してたって感じだから、ちゃんとした心づもりで参加するのは今回が初めて。
ドレス…一応、何着かはグリモワールさんが用意してくれたものはあるけど、どうやって着れば良いのか私にはさっぱり。お茶会の話を進めている時にそれを伝えたら、フルール様が自分の屋敷で私の分のドレス一式を用意してくださる事になった。1回断ったんだけど聞き入れてもらえなくて、むしろお願いだから用意させて欲しいとまで言われてしまった…。ので、お言葉に甘える事にした。
オリヴィア様がこっそり「以前私達がドレスアップをお手伝いした事への対抗心かもしれませんわ」なんて耳打ちしてきたので、ヤキモチ妬いてるみたいで可愛いなと思ったのは内緒。
故に私は今、私服で寮の正門に立ちフルール様の屋敷からのお迎えを待っている。お茶会開始よりかなり早い時間だけど、あちらで着替える事を想定したらこんなもんか〜と思う。
思ってたら馬車来たわ。フルール様もスクレさんも屋敷で準備があるから迎えには行けません、と言ってた。以前城下町に行った時もお世話になった御者さんから声をかけられ、無人の馬車にドキドキしながら乗り込んだ。
「トゥシェさん!今日は私のお家にお越しくださって本当にありがとうございます!」
屋敷に到着したとの事で馬車のドアを開けると、そこには満面の笑みのフルール様と、一歩後ろで淑女の礼をとるスクレさんの姿が見えた。馬車から降りて、私もペコリとお辞儀を返す。
「おはようございますフルール様、スクレさん。こちらこそ招いていただいてありがとうございます。今日はお世話になります!」
顔を上げるとフルール様と目が合った。彼女が嬉しそうな表情をしているので、つられて私も笑顔になる。
「それでは早速ですが、着替えをするお部屋に案内致します。ついてきていただけますか?」
「はい、お願いします。」
2人に案内され、屋敷の入り口に立つ。
…でかい。何、このドア。
スクレさんがドアを開けてくれたので、恐る恐る足を踏み入れる。
…広い。この今見える範囲だけで私の実家、何個分?
玄関?で良いのかな、高い吹き抜けのロビーになってる。頭上にはきらめくシャンデリア、正面には横幅のある階段…絵に描いたような『お屋敷』!!
そりゃそうか、普段仲良くしてるから忘れかけてたけどこの人公爵令嬢だ。つまりここは、王国の公爵様のお屋敷…!
…なんか急に気後れしてきた。私みたいなのが立ち入って良い場所では無いのでは…?
部屋までの廊下もそれはそれは広々としていて更に身分不相応に感じてしまう。
部屋に到着したとの事で中に案内される。そこには、私の想像を超える数のドレス、靴、アクセサリー…とにかくいろんなグッズが所狭しと用意されていた。
「えっ、うわ、めっちゃ綺麗、すごい、可愛い、素敵…!!」
立場がどうかなんて忘れてテンションがぐんぐん上がっていく。限界ヲタクみたいな語彙になってるけど許して。いくら前世の記憶ありとはいえ、今の私はれっきとした15歳の女の子。この光景に胸が躍るのはどうしようもないと思う!
「よかった、トゥシェさんらしい顔つきに戻りましたね。」
「へっ?」
予想外の言葉を発したフルール様の方を見る。彼女は柔らかな眼差しで私を見ていた。
「屋敷に入る辺りからなんだか硬くなっていんように見えたので、緊張させてしまったのでは…と不安だったのです、いつもの明るいトゥシェさんに戻って良かったです。」
どうやら私の気後れを緊張と感じ取っていたらしい。ちょっとズレがあるけど、私の様子がおかしいって気づいてたのね。よく見てくださっているんだなぁ。
「これだけ喜んで頂けるとお嬢様も報われますね。ここにある物は全て、お嬢様が直々にトゥシェさんに相応しいのではと考えて集められた物ですから。」
「えっそうなんですか!?」
さらりと流れるようなスクレさんの発言にギョッとする。嘘でしょ、この量全部!?
「ちょっとスクレ…この前もだけど、どうしてわざわざトゥシェさんに種明かしみたいな事を言っちゃうの?恩着せがましく思われるかもしれないでしょ、遠慮して欲しくないのに。」
「これは失礼しました。ですが前回同様、トゥシェさんの為にあれでもないこれでもないと振り回されるこちらの身としては、ついつい文句や種明かしのひとつやふたつ、口から溢れてしまいますよ。」
フルール様、顔が真っ赤。一方のスクレさんは、文句言いたいと言葉にはしているけど楽しそうで、全然嫌がってるようには見えなかった。
フルール様は本当に私を大事に思ってくれてるんだな。そう実感出来て、少し後ろめたい気持ちが軽くなった。




