午後の過ごし方リニューアルです 5
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【フラムside】
トゥシェが俺を見てくれない。
初めて彼女に会った日、太陽のような笑顔を見た時に、全身に雷で撃たれたような衝撃が走った事は今も覚えている。心のままに動いて表情を変えて言葉を発する、今まで自分の世界にはなかった生き生きとした輝きに一瞬で恋に落ちた。
トゥシェが自分のままでいるのなら、俺だってそのままの自分で隣にいたい。そしてまた、あの時のような笑顔で俺を見て欲しい。そう思い『魔法王国ソルセルリーの第一王子』としての仮面を外して彼女と会っているのに、あの時以来、彼女は俺に満面の笑みは見せてはくれない。
適当に過ごしていたランチの時間は、トゥシェと出会った事で1日の中で最も待ち遠しい時間へと変わった。俺の隣で美味しそうに食事をする彼女はとても可愛らしい。俺はこの時間をもっと楽しみたくて一生彼女に懸命話しかける。彼女は返事をしてはくれるが、何故か時折困った顔をする。俺と話す事で困る事でもあるのか?何かあるなら俺に相談してくれたら良いのに。
困る事…ここ最近、俺にも困る事、新たな悩みが出来た。
オルロージュ=ド=アルブレ。俺が心を許している数少ない人間の1人、昔からの気心知れた友人だ。オルの事は人間としては好いているが、女性に対する考えだけはどうしても相容れない。
アイツは基本的に来るもの拒まず自らも狩りに行く女好きだが、誰にも本気にならない。乱れた性活に苦い気持ちで注意をしたこともあるが、「深入りされそうな子、関係持つと面倒になりそうな子は避けてるから大丈夫♪」と軽くかわされてしまう。その中でオル自身が本気になったりはしないのか聞いても、本人曰く絶対ないとの事だ。
そんな女たらしの親友が、先日トゥシェと会ってしまった。
学園に来ていないアイツはトゥシェの存在を知らなかった。…のに、俺の失態で彼女という存在に興味を持たせてしまったのだ。
不安は的中した。オルは王城での俺とのやり取りの翌日にトゥシェに会いに行き、その翌日以降も学園に登校するようになったんだ…彼女に会う為に。
俺の気持ちを知った上でからかっている?まさか、オルに限ってトゥシェに本気になるなんて無いよな?
悶々と過ごしていたある時、ランチにトゥシェが来ない日があった。俺が唯一彼女と会える時間、まさか、この時間までオルに奪われた…?その可能性を考え勝手に焦って苛立って。後日彼女に会えた時、俺はその気持ちを整理しきれず態度に出してしまった。だからだったのかー…あの時、
『オルロージュ様とフラム様、どちらの方がタイプですか?』
『オルロージュ先輩ですかね!』
なんでだ!?!?
俺の方が先に出会っているのに、俺の方が一緒に過ごした時間は長いのに。トゥシェは俺を見ないどころか、出会って間もないオルに惹かれている?
この事実が歯痒くて、万が一の事態を否定したくて、俺は今晩ある場所を訪れていた。
「…ーで、結局何が言いたい訳?」
不機嫌オーラそのままに出されたお茶をいただく俺を呆れた目で見るのは、この部屋の主であるオルロージュ。なんで不登校じゃなくなった、そもそもこの時間に外出していない、離れにいないのは以前のお前では考えられない〜などと回りくどく吠えていたら、要約しろと釘を刺された。
トゥシェに会ったんだろ。学園に来るようになったのは彼女の影響だろ。
彼女はお前を見ているかもしれない、お前はー…
「…ーお前は、誰にも本気になったりしないよな?」
「…あったりまえじゃん!あ。もしかして俺にトゥシェちゃん取られたらどうしよう〜とか思っちゃった訳?」
「…。」
図星だが、素直に肯定するのも癪で黙り込む。俺の反応を見てオルロージュは言葉を続けた。
「そこは安心してよ、『親友の好きな女の子』なんて面倒くささトップクラスの子、俺絶対手出さないから。」
鼻で笑いやがった…。
そう、だよな。オルに限って、誰かを本気で好きになるなんて事はないよな?トゥシェは今まで俺達が出会った事のないタイプだけど、オル本人が断言しているんだ。信じて良いよな?
トゥシェ、こんな奴はやめておけ。俺はお前だけを見ている、お前しか見えていない。だからお願い、俺を見て?俺だけを見てくれー…。




