まさかの再会に心臓が跳ねました 5
「えっ?話って昨日のお茶会での事、ですよね?」
あれっ、そっち!?
確かにそれも気になってた。あの後どうなったかとか、私変な事して迷惑かけたよね〜とか思ってはいたけど。
私の反応が思ってたのと違ったからか、フリュ殿下は頭の上にはてなマークを浮かべている。これは…彼に話を合わせるべきですね。ダンスの件は一旦置いておこう。
「殿下が謝る事じゃありません。私の方こそ、せっかく用意していただいたケーキと紅茶を駄目にして、無礼ばっかりしてすいませんでした。」
頭を下げて謝罪したけど、殿下は気にしないで良いと、顔を上げるように言う。
「あの、私達が帰った後ってどうなったのか聞いても大丈夫ですか…?」
「勿論です…と、言いたいところなんですが、実は特にこれといった進展も無くて。」
「そう、なんですか?」
私の能力と行動、証言を踏まえて、調査が開始されているのは間違いない。王城で捜査します!ってなって丸一日以上経ってるはずだから、何かしらの進展があると思ってたんだけどな。
「はい。僕を狙ったとしてそれは誰なのか、動機はなんなのか。そして狙われたのは本当に僕だったのか…その辺りも考えながら調査すると、なかなかスムーズにいかなくて。」
「はぁ。」
わかったような、わからないような…。とにかく王城事情は私が思うよりもややこしいのだろう。
「フリュ殿下が個人的に怪しい、と思っている人はいるんですか?」
「…いない訳では無いんですが、ここまでの事をする人物では無いと僕は思っているのでなんとも…。」
いるんだ。王家、ややこしいだけじゃ無くて闇も深めですか…?
「犯人早く見つかると良いですね。私に手伝える事って、本当に無いんですか?」
事の発端は私だもん。やっぱり何かしらの力になりたい。改めて聞いてみたけれど、フリュ殿下は困ったような表情で首をゆっくりと横に振る。
「王家の騒動に、一般人であるあなたをこれ以上巻き込みたく無いんです。」
「そんな…。」
私の身を案じての心遣いなんだろうけど、どうしてもスッキリしない。こうなったら個人的に捜査開始しちゃう?でもどうやって?
「この話はここまでにしましょう。何か新しい情報が入ったらお伝えします。」
「…わかりました。」
煮え切らない、もやもやする。フリュ殿下は会釈をして立ち去ろうとしている。私も会釈を返し、作り笑いを浮かべながら彼を見送…
っちゃ駄目ー!!!!
「殿下待って、まだ話終わってません!!」
慌てて声をかけると、彼は『ん?』といった顔をして戻ってきてくれた。
「…他に何の話がありましたか?」
「ありますよ大アリです、最後のダンスの話です!」
「ああ…その話もするべきでしたね。」
何でキョトンとしてるのこの人…しかも私が必死で言った最後のダンスというワードに対して「ああ」って…反応薄っ!!自分から誘ったくせに興味無いって事!?
殿下の興味の程度は気にしないでいよう。誘われたからには、私は返事をしないといけないんだ。
「…あのですね殿下。最後のダンスって、特別な意味があるじゃないですか。」
「そうですね。」
「誘いを受けて踊るという事は、そーゆー事になると思うんです。」
「はい。」
返事がそっけない。
聞き役モードなのかもしれないけど、これだと私ばっかり焦ってるみたいで余計恥ずかしい!
…うん、ここはもう、恥ずかしいとか言ってらんないな。勢いで言っちゃうしかない!
「私、殿下とはそういった関係にはなれません!誘って頂くなんて身に余る事なんですけど…お断りさせてください!!」
「わかりました。」
「ありがとうございます!…って、え??」
え゛っ!?!?
待って、そんなすぐ受け入れられるもんなの!?流石に塩過ぎません!?!?
予想外にすんなり了承を得てしまい逆に困惑。私、何か好感度下げる的な事した?心当たり…あったわ。お茶会での奇行で好感度落ちたんだきっと。いやでも、今日先に声をかけてきたのはフリュ殿下からだったよね…避けられる程好感度は落ちてない、とか?わかんないけど!
「トゥシェさん、百面相になってますよ。」
「あなたのせいですよ!」
「僕の?」
なんっっで心当たりが無いみたいな表情になるんですかー!?自分の言動振り返ってくださいよー!!
…落ち着け私。ちゃんと思ってる事を言葉にしよう。
「最後のダンスってそーゆー意味だって、今言ったじゃないですか。私をダンスに誘った殿下には、そう言った気持ちがあるのかなって思ったんです。だから断られたら普通傷付きませんか?そんなにあっさり受け入れられるものじゃ無いと思うんですけど…。」
「トゥシェさんは僕を傷つけたかったんですか?」
「そうじゃ無くてぇえ!!」
なんだろう、殿下と私のこの話題に対する熱量が根本的に違う…というかズレてる?
「失礼を承知で聞きますけど、フリュ殿下って私の事…。」
…ー本当に好きなんですか?
聞いて良いのかな。彼が私を好きならば、これこそ彼を傷つける言葉の刃になりかねない。
でも本当にわからない。今の態度も、あの日私を最後のダンスに誘った時だって、フリュ殿下はハッキリ『私を好き』だとは言っていない。
だから、殿下の気持ちを私が疑っても仕方がないと思うんです。あなたの本心はどうなんですか?どうして…私を最後のダンスに誘ったの?
「…僕はトゥシェさん、あなたの事をー…」




