魔法学園での生活が始まります 3
「ハイッ!!」
さっきから私はハイハイ星人になっているけどもうままよ。
扉を開けて、教室に入り先生の横でストップした。空間はひそひそとした話し声に満ち、痛いほどの視線が突き刺さる。村の人達は皆知り合いだし、前世で転校生になった経験もないから、こんな風に多くの知らない人達から注目集めるのは初めてだ、うぅ…
「後期の授業から、この第3学年に編入することになったトゥシェ=ルルーさんだ。ルルーさん、挨拶を。」
「ハイッ!…はじめまして、トゥシェ=ルルーです。学園のことも魔法のこともからっきしですがよろしくお願いしみゃっ…します。」
噛んだ。最悪だ。しかもからっきしとか言っちゃった。貴族様ならこんな言葉遣いしないよね…初っ端から雲行き怪しすぎでしょ私。
「じゃあルルーさんは空いている席に着いてください。本日は歴史の授業からとなりますので、教科書の128ページを開いてください。」
先生に軽く会釈して空席に向かって歩き出す。教室は大学の講義室のようになっており、生徒は各々好きな場所に座っている。お貴族様の隣にわざわざ座る勇気は流石になかったので、後方の空いたスペースに着席した。移動中も視線とひそひそ声はつきまとった。…そんなに田舎臭い?
最初の授業が終わった。…ほとんど何言ってるかわかんなかった。
ランのところに家庭教師が来る日は必ず一緒に勉強教えてもらってたんだけどな…知ってるワード片手くらいしかなかった気がする。さすが王都の金持ち学園、勉強もハイレベル!
いやそんなこと言ってられないぞ、このままではヤバいのでは…?魔法はどうなるかさておき、座学で赤点連発してたらグリモワールさんの顔に泥を塗ることになるんじゃ…。
「…トゥシェ=ルルー様。少しよろしいでしょうか。」
「!?」
オロオロモードな私に声をかけてきたのは3人の御令嬢だった。
「はい、なんでしょう。」
今回はどもらなかった。偉いぞ私。
それにしても3人共綺麗な方だなぁ。この3人以外の人もなんと整ったお顔立ちをしていることか。お金、かけてんだろうなぁ…。村では私、割と美人の代名詞で通ってた(らしい)けど、こりゃ自信消失しますわ。
美術品を眺める感覚に陥っていると、先程の御令嬢達が口を開いた。
「…失礼ながら、何故この時期に学園に入られたのですか?社交会でお会いしたこともありませんし…病で伏せっていた、とかですか?」
「もしくは私達が出席した社交会にはおいでになっていないのですか?お名前も初めて聞いたものですし…繋がりのある方はどなたですか?」
「言葉も聞いたことのない訛りがありましたわ。王都から離れたところで暮らしていたのですか?」
…ん?これもしかして私どっかの貴族の親戚とか思われてる?名前に『=ド=』ないのに?じゃないとこんなところいないもんね普通。最後のご令嬢の質問だけ正解だけど。訛ってるの?自覚ないなぁ。
これどこまで言っていいのかな。流石にグリモワールさんの命の恩人だってことは黙っておいた方がいいか。
「…私、魔力が人より強いらしくて。それが発覚するのが遅くてこの時期に編入することになったんです。」
「この学園には魔力が弱くても入学出来ますわ。それだけならもっと早く学園に入っていたでしょう。」
鋭い。その通りすぎてぐうの音もでない。まぁ平民ってこと隠すつもりはないし、いずれわかるだろうから言っとくか。
「私の実家、国の端っこの小さな村で、畑仕事をして生計を立てているんです。私自身魔力は昔からあったんですけど、その、通える状況じゃなくて。でもいろいろあって今日から学園に通えるようになったんです。だから皆さんが行くような社交会には行ったことありませんし、貴族の知り合いもいませ」
「ということは貴女、貴族ではないということですの!?」
御令嬢が声を張り上げた。教室内が一気にざわつく。まるで見世物。
あれかな、平民は帰れー的な虐め発生!?もしそんなことになったらできるかわかんないけど口でねじ伏せてやる…。
「貴族ではない…だからなんだというの?」




