犬井彩夏&猫理冬美vs御堂谷エル
爆発。爆発。そして爆発。
無数の毒霧は刺激を与えあい爆発を続ける。爆発と共に毒ガスが増え続け、会場は紫一色。
ドームの中は御堂谷が退屈そうにあくびをかく。御堂谷の周り1メートルほどから、御堂谷を爆発から守る、紫色の結界が張り巡らされている。
「ん?何だ?この感触は?一人増えてる」
御堂谷が呟き指を鳴らす。音と共に爆発は止まる。毒ガスは直ぐに姿を消す。
視界がはっきりした時、物音が2つ聞こえる。1つは、気を失ってズタボロになった犬井。少し離れた所に制服もボロボロで傷だらけの猫理が意識を朦朧としながら地面に倒れ込む。
「あれ~?何か増えてる~」
御堂谷は微笑を浮かべ猫理に歩み寄る。辿り着くと、腰を落とし顔を近づける。
「何でここにいるの?」
「ハァ…ハァ…がはっ!!」
勢いよく飛び出したものの為す術なく猫理は戦闘不能にまで追い込まれる。実際、いくつかの爆発をくらい、毒ガスも少量は吸い込んでいる。それなのに、レベル1なのに、ギリギリ意識があるのは奇跡だ。
「ああ。助けに来たのね。了解、了解」
御堂谷は頷き、猫理を鼻で笑う。
レフェリーが犬井の前に突如現れる。瞬間移動だ。
「カウント10だ。起き上がれなければ、試合終了とする。1、2、ス」
「ちょっと、カウントストーップ!」
レフェリーのカウントを遮り、御堂谷はレフェリーと犬井の間に割って入る。
「何かね?邪魔をしないでもらえるか?」
「そっちこそ、僕達の戦いの邪魔をしないでよ。彼女はまだ戦えるよ?」
「気を失っている。続行は出来ない」
御堂谷はレフェリーの言葉を無視し犬井の前で腰を落とす。胸ポケットから1つ、何らかの蓋付のカプセルを取り出す。犬井の口とカプセルの蓋を開け、犬井に飲ませる。
「勝手なことをされては困る。カウント中だ」
「だから、まだカウントは早いんだって」
「ったく。」
レフェリーは仕切り直しで、もう一度犬井に語りかける。
「カウント10だ。起き上がれなければ、試合終了とする。」
その言葉に犬井はピクリと動き、体を支えるようにゆっくりと起き上がる。
「ほら、立った」
レフェリーは一度御堂谷を見るが、直ぐに姿を消した。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
「起き上がったねぇ」
軽々と笑う。
「ハァ…ハァ…どういうつもりですか?」
「ん~~。こういうつもりかな?」
御堂谷はニコニコしながら、猫理の元へと向かう。胸ポケットからまたカプセルを取り出し、犬井同様に猫理に飲ませる。
猫理は意識をはっきりとさせ、立ち上がる。
「ハァ…助けに来たのに、よりによって敵に助けられるなんて。屈辱なのだ…」
「あ~あ~。暗くならないで。楽しく行こうよ」
御堂谷は軽笑し、淡々と言う。猫理は犬井の元へと駆け寄る。
「大丈夫?」
「大丈夫だよん」
だが、犬井の息は荒く、今にも倒れそうにいる。気は確かではなさそうだ。
静寂が続く。それを遮るのは突如瞬間移動で現れる、二人の団体戦実行委員会だった。身長は凹凸で特徴が掴めやすい。
実行委員会の大きい方が猫理の方へ向く。
「結界が破壊されたと思えば、お前は何をしている?」
威圧的で低く良く通る声は猫理を脅かす。それに、屈せず猫理は途切れ途切れだが、絶対に引かない目線を送る。
「たす、けに、助けに、来ました!」
それに、動じず大きい方は威圧的な態度を続ける。
「認められると思うのか?お前の勝手な行動で、迷惑がかかるんだぞ!」
怒号をあげる大きい実行委員会。猫理はビクッとなり体を縮込める。
さすがに、恐いのか声を出せずにいる猫理。追い討ちをかけるように小さい実行委員会は言葉を付け足す。
「だいたい、2対1なんて御堂谷君が認めるわけが無いだろ?」
大きい方のしゃべり方を真似ているように威圧的に言い、御堂谷に返答を目で促す。
「いえいえ、認めますよ。僕は」
「何を言っている!明らかに不利であろう!」
認めたくないのか、大きい実行委員会は否定的に言葉を告げる。
「不利?ハハッ。」
御堂谷は軽笑すると、不敵な笑みを浮かべる。その笑みの裏側には誰から見ても不吉なものが感じられる。
「な、何がおかしい?」
御堂谷の笑みに恐怖したのか、こめかみからは汗がにじみ出ている。
「実力は僕が圧倒している。レベルの差は、実力の差。どう考えても僕の方が有利ですよね?」
「それが、『力』で物をいう世界の在り方だ。それに、俺が言っているのは、数的不利の事だ」
「数的不利ぐらい実力で埋められますよ。」
「だが、、」
言葉を遮り御堂谷は言う。
「今だけ、特別ルールです。ここは、生徒の自主性を採用してください。」
二人に実行委員会は何やら、話あっている。結論が出たのか、御堂谷と犬井と猫理を見る。
「ハァ~。分かった。だが、今回だけだ」
「ありがとうございます」
御堂谷が頭を下げ終わると、実行委員会は瞬間移動で会場から姿を消す。
「ハハッ。準備は整ったよ。どうする?」
「礼は言わないのだ…」
「ハァ…ハァ…。後悔させるよん…」
二人は支えあい、御堂谷を睨む。
「お~。恐い。恐い。」
御堂谷の笑みは絶えることなく続く。体力はまだ有り余っている御堂谷。フォースも体力も尽きかけている犬井。フォースも体力も使っていないがボロボロの猫理。いくら猫理が加勢するといっても、犬井が瀕死に近い今、1対1と変わらない。勝ち目は1%にも満たない。
御堂谷は懐からカプセルを取り出し、二人に見せる。
「これは解毒剤。さっきの毒はこれで治した。僕の毒はこれじゃなければ治らない。それに、治さなければ5分で死に至る。だから、次、これを使ったら負けとする。それで、言いかな?」
「分かったのだ…」
「りょう…かい…だよん」
会話の途中にアナウンスが入った。
ーーーーーー今回だけの特別ルール。2対1が適応されました。ご了承下さい。それでは、改めまして、試合を再開しますーーーーーー
「さて、始めようか」
御堂谷は不敵に笑った。
第19話 犬井彩夏&猫理冬vs御堂谷エル




