犬井彩夏vs御堂谷エル 3
ポイズンテリトリーで御堂谷の周りは半径10メートル範囲で毒に包まれていた。うかつには近づけない。それに、この毒は一滴でも当たってしまうと直ぐに中枢神経へと広がり激しい痺れをもたらす。
大量に浴びてしまうと数分後には「死」だ。
だが、御堂谷は解毒薬を持っているため、「死」は避けられる。だが、当たってしまえば敗けはほぼ確定だ。
ー毒素流爆破ー
御堂谷が右手をつきだすと周りの毒が蒸発したかのように霧になっていく。
「これは……まさか……」
犬井のこめかみからは汗が一滴垂れていた。
犬井は、瞬時に後方へと移動する。
毒の霧が一体に広がっていく。
団体戦の実行委員が察したのかドームに結界を張り、観客席まで充満しないように試みた。
ドームは完全に封鎖され結界内には二人の影しかない。遠くへと走り続ける犬井と、堂々と立つ御堂谷のシルエットだけしか確認できない。
「逃げても無駄だよ。この毒霧からは逃げられない」
「まだ、わからないよん!!フレイムレイド
!」
犬井の体内から炎が出現する。それは犬井を守るかのように包み込んだ。その炎で毒霧を防いだ。
と、そう思われた。
「残念。」
「え?」
犬井ははてな顔でキョトンとした。
「この毒霧に刺激を与えちゃうと爆発しちゃうんだ。1つでも爆発しちゃったら他のも刺激しちゃうよね?」
(それじゃ、始めっから打つ手なんか……)
炎と毒霧が交差する。
激しい爆発音がドーム中に鳴り響く。幾多もの霧が爆発し、爆発が爆発を生む。爆発からは毒ガスが発生し、呼吸もままならない。
(打つ手なんか…無かったんだ…)
「彩夏~~~~!!!!!!!!」
猫理が吸に叫びだす。
「彩夏!彩夏~~!」
涙を垂れ流し結界を何度も叩くが壊れない。逆に猫理は弾け飛ばされる。
「猫理!やめろ!危ないぞ!」
俺と鷹は直ぐに猫理を抑える。
「だって!彩夏が!彩夏が!!」
爆発音は未だになりやまない。永遠になり続けるとそう錯覚させるように、恐怖を刻みつけるように、爆発は続く。
「こんなの…こんなのおかしいよ!ここまでする必要あるの!?」
猫理は俺たちを振り払うように暴れる。
「あんなに練習したのに!あんなに頑張ったのに!あいつは、努力を踏みにじるような戦いをしてるんだよ!」
「仕方ないんだなぁ。これが『力』が全てな世界のあり方なんだ。」
「軌道院先生…」
軌道院はドームの中をしっかりと伺っていた。
「それでも…それでも…」
「しっかりと見とどけるんだ。犬井君はまだ戦っているんだよ」
「嫌だ……彩夏が傷つくのなんてもう見たくない…のだ~~~~~!!」
「猫理!!」
「冬美!」
「猫理君!」
俺と鷹を振りほどき猫理は結界へと近づく。
俺と鷹の手は伸ばしてももう届かない。呼び止めても止まらない。
「水流かんーー」
「やめなさい。冬美」
技を放つ前に猫理の前を先回りした澪と凛が技を遮る。
「どいて!澪!助けないと!」
「駄目よ。これは、彩夏の戦い。他の人が割って入ることは許されない。それにあなたの力じゃ、この結界は破れない」
第16話~犬井彩夏vs御堂谷エル 3




