No.343
No.343
シュゥウウウ!!
エンジン内の蒸気を抜き、圧力を下げる。
この蒸気を抜く度にピンクサル達が蒸気車が「鳴いた!?」「叫んだ!?」「煙を吐いた!?」と、騒いでいた。
大森林での出来事はすっ飛ばして家に到着。まあ木を切り倒して来ただけだからな。
ほら、お前ら降りろ。家に到着したぞ。
ピンクサル達やトウカ、トラさんが降りていくなか、ディータ一人がまだ荷台の上にいた。どうした? と聞こうとディータに近寄ると。
「………zzz」
寝てんのかよ!?
まったくこいつは、また美少女がしちゃいけない顔をして寝よってからに。
ディータは半目を開けて涎を垂らしながら寝ていた。
自分はなるべく見てないと言う体裁をとりながらディータを起こす。
おーい、ディータ起きろ。家に着いたぞ。
「………zzz……ぐがぁ、えぁ? あれ? 私寝てた?」
ああ寝てた寝てた。疲れてるなら部屋行って寝てて良いぞ。
「そう言う訳じゃないんだけど。なんかこの乗り物馬車より乗り心地良くて、いつの間にか」
そうか? 自分としては衝撃吸収のサスペンションの効果はまだまだと思うんだが。乗り心地が良いと言われるのは悪い気がしないな。
「…何かしてあるのね。でもこれ良いわ。普通の馬車乗ってるとおしり痛くて。座るところも固くなくて座り心地悪いのよ。でもこれは本当に良いわ」
座るシートにもモンスターから得た弾力の有るアイテムを利用してるからな。
しかしお前が自分の作ったものでそこまで絶賛するのも珍しいな。
「それだけの物ってことよ。これも世に出したらとんでもないものね。でもモンスターから得た物を利用して作った方は出した方が良いのかしら?」
何やら真剣に考え出したディータ。
そうこうしているとピンクサル達が急かすように「早くロボットを作ってくれ」と言い始めた。
ハイハイわかったよ。
自分は蒸気車の後ろに連結してある荷車に載せてきた丸太を鬼紋闘法術を使い担ぎ上げる。
……こんなでかい丸太を以前の自分なら担ぐことすら出来なかったのにな……。これが人外言われる行為なのかな。
よいしょ、よいしょと川原に持っていくと、例によって例の如く幽霊組がいつの間にかそこに居て、ボードゲームをしていた。
『ウキキ。兄ちゃんお帰り』
『お邪魔していますわ』
『お帰りなさいです~』
『優雅に華麗に大胆に! 颯爽と僕が来た!』
『なんッスか!? さっきの音は!? 力ッス! 力を感じたッス!』
『…………zzz』
「ウキ~。ウキキィ♪」(おおッ~。やんややんや♪)
ああただいま。なんかお前ら出てくるの早くないか?
『また私達の仲間の一人を見つけたでしょう。そのお陰ですわ。私達が集まれば、力の集まりも楽になりますから』
確かにこの間石もらったけどな。それしても早いわ。まだ一月経たないだろうに。ああハバリー、あっちに今朝出来たばかりの移動用に作ったやつがあるんだ。見るんだったら見ても良いぞ。
『そッスか! 自分見てくるッス!』
『……まあその見つけたのがあの子だとは思いませんでしたけど……』
ハバリーはドスドスと音が立ちそうな走り方で土手を上がって行き。
エヴァは疲れたような顔をして言う。
そして自分も見つけてからあえてスルーしていた人物に目をやる。
そこには白ランを着た、水色の髪を持つ美形がいた。
ハルシオンとはまた違った美形だな。こっちはジャニーズ系か? 何となく女顔っぽいな。
そして居る場所がトイレ小屋の屋根の上で、ジ〇ジ〇ポーズかと言うくらいの決めポーズをしている。
それを居残り組のピンクサル達が何かの出し物かと思って要るのか、トイレ屋根の上に居る奴に対して拍手喝采をしていた。
『僕には聞き飽きた美辞麗句だが、しかし許そう。僕を称える言葉は、天の星の数ほど多く有っても足りないからね。ああ! 僕はなんて素晴らしいだ!』
自分の言葉に酔いしれ自分の体を抱き締める奴。
見ていて、あああのキザ蛇の親玉だなぁと思ってしまう自分がいた。
それにしても煙と何とかは高いところが好きってタイプの奴なのか、あいつは?
『ええ、まあ、高いところは好きですわね。自分を良く見せるために高いところにはいますから』
何となくエヴァの言葉が歯切れが悪いな。問題児か? お前らのところはそんなんばっかだな。エロに力バカに寝太郎にドリルか。まともなのはマリーだけか?
『ちょっと待ってくださいまし!? 何で私も入るんですの!?』
この間川原を破壊したからだな。
『うっ……あれは、不可抗力ですわ……』
エヴァが若干涙目になって申し訳なさそうにしてるから、からかうのはこの辺にしておこう。ロボットを要求しているピンクサル達がまだかと騒いでいるしな。
さて、トイレの上に居る奴の紹介はロボットを作り終えたあとだ。
ほんと、人が多く出てくると話が進まないな。




