No.319
No.319 【幕間】そのいち
竜………ドラゴン………竜精魂………玉?………七つ………願いを叶える…………神、うん。これはダメだな。
オッス。オラ統一郎。何を初っぱなからやっているかと言うと。この右腕に宿る竜の名前を決めてるいるところなんだ。
この間来たディータのじいさん。ダァーファのじいさんから聞いた話し。
「なんと!? その腕には何か宿っているとは思っていたが、本物の竜の霊獣とは。まだ契約していない? 宿る器が気に入りそこに居るのであれば、仮契約は出来ている。あとは対話。特に相手は名を欲する場合がある。それを与え、答えればあとは対話も順調に行くであろう」
とのことなので、今この右腕に宿る竜の名前を考え中と言うところだ。
「ウキキィ。ウッキィ~?」(籠手に宿る竜だろう。乳に関する名前のやつか?)
「ウキッ。ウッキキィー。ウキウキ?」(待て。話から聞くに白っぽいやつだと聞く。なら尻の方ではなかろうか?)
「ウキキ、ウキウキ」(漢字ではなく、横文字でもいいのではなかろうか)
とまあ、こちらでも相変わらず好き勝手に話し合っている。
お前らその赤と白の竜は、赤い竜の宿主のせいでそんな名前が定着しただけだぞ。それに精神崩壊させては話ができんだろうよ。
「にゃーん?」(お魚釣れた?)
釣りをしながら考えていたからか、トラさんが釣れたか確認しにやって来た。
ボチボチかな。そこのバケツに入ってるよ。
そう言うとトラさんはバケツを覗き込むように見つめ。
「うにゃ~ん」(小さいの~)
ガッカリしたように呟く。
その辺は申し訳ない。そうだ。時にトラさんなら竜の名前はどんな名前をつける?
自分の質問に小首を傾げ。それから元気よく。
「にゃーん!」(強そうな名前なのー!)
どんな名前がと聞いたんだけどな……。でも強そうな名前か。強そうな名前? バハムートとか。ありきたりだな。
それからもうーんうーん唸りながら名前を考えていた。
「ウキィ、ウキウキ?」(いっそのこと、ネタに走るのはどうだろう?)
「ウキィー。ウキ」(ネタと言われてもな。色々あるぞ)
「ウキウキ、ウキキィー」(エロネタは鉄板として、そんな名前があり得るのか系とか)
お前らほんとそれをこの竜に付ける名前にするのか? それをお前らに付けられたらどう思うよ?
「「「「ウキキッ!」」」」(そんなの付けられら二度と外を歩けない)
胸を張って言うんだったらまともなのを考えてやれ。うちには自分の名前が嫌なサルバトールもいるんだから。
「ウッキキッー! ウキッー!」(まだそれを引っ張るのかー! もう忘れろー!)
話し合っていた一人が悲鳴に近い声をあげた。
お前自分の名前が嫌なのに人にまで付けようとするなよ。
「ウッキッキッ。ウッキキィー!」(クックックッ。俺と同じ苦しみを味わえばいいのさ!)
歪んだ考えだな……。まあ最終的に決めるのは相手だろうから候補としてあげといてくれ。
と言うわけで女性陣は何かないか?
「メェメェはそう言うのは思い付かないですよ」
「竜の名前でしょう。あんた達が納得するものでいいじゃないの?」
「う~んとねぇ、竜之介!」
トウカありがとう。とりあえず候補に上げとくよ。
そっちもなんか良さそうなのあったら頼むよ。一人で考えてると煮詰まってな。
「わかったですよ。何か考えとくですよ」
「竜の名前ねぇ。何かいいのあったかしら?」
よし。これで色々な名前が出てくるだろう。まあ変な名前にはしないから安心してくれ。そして出来るなら自分と契約してくれることを願うよ。
「ウキィ? ウキキィ?」(なんだ? 魔法少女にでもなりたかったのか?)
ちげぇよ! 男なのに少女ッてなんだ!?
「ウキウキ」(時にはそんな需要もある)
無いから! そんな需要は来ないから! こっちを見るな! 期待した目を向けるな! 女装も性転換もせんからな!
騒がしくも平和な日常を過ごす中、右腕の義手に宿る竜はどうか変な名前で呼ぶことの無いようにと、必死に祈っていた、かどうかは分からない。




