No.151
No.151
「「「「ガツガヅガツ!! ウキキッ!!」」」」
山とあった筈のクレープモドキとトルテーヤモドキを、物凄い勢いで食べ尽くしたピンクサル達。
「待て! 今作ってる!」
「「「「ウーキーキ、ウーキーキ、ウーキーキ、ウーキーキ」」」」
「ええーい! 皿を叩くな! 合唱するな! 待てと言ってるだろうが!」
フライパンにタネを落とし。それを薄く伸ばして焼いていく。それが何枚、何十枚と焼き上がると。
「ほい! 後はお前らが勝手に巻いて食え! そんでしばらく大人しくしていろ!」
「「「「|ウキッキィ! ウキッー!」」」」
差し出した皿に群がり自分達で勝手に食べていく。
薄く焼いてやるより、ぶっ厚くして出した方が喜ぶか、こいつらの場合は? ああでも焼きにムラが出来そうだな。
「ふぅ、ピンクサル達は一段落だな。トウカの方はどうだ食べてるか?」
「うん! 美味しいよ! こっちの果物のやつだったり。お野菜が巻いてあるのとかも美味しい!」
そうか。まあひとつづつ食べてるようで良かった。
さて、そんな食事時間をしているところに。
脈絡もなく、唐突に、どっから出てきたと言いたいぐらいに。自分達が食事をしている席に珍客がいるんだが。
「……えっと…………あ、あの、……その、それで……」
その珍客とは見知らぬ獣頭人族と呼ばれる種族だ。
ええっと、それで姿はブタだな。うん。何て言うかファンタジーにいるオークって言うモンスターを、思い浮かべて貰えれば分かりやすい。
西遊記に出てくる猪八戒でも良いぞ。え? 片眼鏡を付けた美形で声が素敵な人を思い出す? それは別の猪八戒さんだ。それは今関係ないから忘れなさい。
で、このブタくん。さっきからしどろもどろで一向に会話が成り立たない。
あまり話が進まないし。食事を作らないからピンクサル達が暴走しそうになってな。仕方ないから作りながら聞いてるんだか。
「あーつまりだ。オルテガさんは予定日より十日ほど遅れてやってくると。それで君がここへ伝言としてやって来たと」
ブンブンと、首が取れるんじゃないかと言うほど激しく振る。
大丈夫か? そんなに振ったら脳がシェイクされないか?
「わかった。伝言は確かにありがたい」
だけどもうちょっと会話をしてくれるとありがたい。言葉の節々から読み取るのも苦労をする。
「それで君はこれからどうするんだ。すぐ帰るのか?」
そう聞くと。ポシェットのようなバックから手紙をおずおずと言った感じに渡してくる。
それを受け取る。手紙と言っても木簡のような物を渡されたんだか。
細長く切られた木片には紐で巻物のように幾つも連なるように結ばれている。
外側の紐を解き。丸まっている木簡を広げ中に書いてある文字を読む。
………………………………………………これは。
「…………読めねぇ」
異世界だし、日本語で書けと言うのは無茶なのは分かっているけど。言葉の疎通が出来るんだから文字だって分かっても良くないか? 何でこう言うとこだけダメなの?
「……トウカ、これ読めるか?」
トウカに読めるかどうか見せてみると。
「どれ? ええっと、ねえ。『この、を、んでいるーー』」
うん。もういいや。多分難しいのは読めてないな。言葉が途切れてるから更に分からん。
「……あ、あの、それ……ぼ、ぼくが……読みましょう……か?」
おお読めるのか! ならありがたい読んでくれ!
自分は手渡された手紙を再度ブタくんへ返す。
ブタくんはおどおどしながら受け取り。やっぱりしどろもどろで読んでいく。
また言葉を読み取らなきゃ駄目か……。しかし伝言だからと言っても何だってオルテガさんは、こんな気弱そうな子を自分のところに寄越したんだろうな? 人材不足なのかな?




