No.150
No.150
「ハア、ハア……」
「ウモ……。ウモッ」
肩で息をしているトウカに、軽く息を吐いただけのランボが、手で制止鍛練の終わりを告げた。
それが理解できたトウカはヘタリ込むように倒れた。
「ふひぃ~疲れたよ……」
「お、おうお疲れさん。スゴい事やってたな。ほら、タオルだ。汗拭け」
余りにも掛け離れた鍛練をしていたため、驚きながらもトウカへと近づき。持っていたタオルを手渡し、その後水筒を渡す。
「あっトウイチロウ! ありがとう。いつ来たの? んぐんぐ。ぷはぁー」
汗を拭き水筒の水を飲むトウカ。
何となくその仕草おっさん臭いな。自分のせいか?
「ああついさっきな。それで何であんな事やってたんだ?」
「ウモウモ」
トウカに聞いたらランボの方が答えてくれた。
「……そうですか。それで調子は……あれを見る限り良さそうですね」
「ウモウモウモッ」
それであの殴り合いですか? トウカも納得してやってるみたいだから良いけど。
普通はああやって覚えるものなんだろうか? 自分の場合は無理だな。チートバンザイだ。
「ねえねえトウイチロウ。牛若先生何て言ってるの?」
「トウカは筋が良くて教えがいがあるってさ」
それを言うとトウカは照れ「えへへ、そうかな」とはにかんで笑っていた。
「そうだトウイチロウ、お迎え?」
「まあそれも込みかな。こいつらが腹へったらしく。何か食べたいって言ってな。じゃあトウカを迎えに行ってからにしようてことに」
「そうなんだ。わかった」
「よいしょっと」と立ち上がり。ランボに「ありがとうございました」と頭を下げるトウカ。
それに対して「気が向いたらまた来いと」相変わらずな受け答えをするランボ。
そのランボが帰ろうとしたので。
「もしよかったら一緒に食べますか?」
「ウモウモウモゥウモッ」
そう言って駆け出していく。
「ストイックな人だ……」
「ウキッ! ウキーウィキィー!」
うん。そうじゃないだろう、お前ら。
拳を握りしめたり。笑顔で見送るピンクサル達。
もしかしてこいつらを気にして行ったのかな? だとしたら悪いことしたな。
「ウキウキウキー?」
まったく悪びれもなく聞いてくるなお前ら。
どちらにしても行ってしまったからな。それにこっちをどうにかしないと、騒がしくなってきた。
「ええーい! わかったから落ち着け!」
そうだな……砂糖モドキで作ったジャムがあったよな。あとこの間持ってきてくれた牛乳。ホットケーキ、いやクレープになるかな、を作るか。卵が無いけど。
「麦から作るやつとトウモロコシから作るやつ。どっちがいい?」
「「「「ウキッー!」」」」
ですよねー。まあ上手くいくか知らんけど作ってみるか。
「トウイチロウ、トウカもお手伝ーーっほよ?」
言葉の途中でふらつくトウカ。慌てて支えてやり。
「無理しなくていい。今日は休んでろ、な」
「ううぅっ、でもお手伝い」
上目でこちらを見てくるトウカ。
やめなさい。目をうるうるさせてこっちを見るのは。思わず了承しちゃうだろうが。
「自分の時も休んでろって言ったんだから、トウカも無理しない」
「ううぅ……………………………………わかった」
ずいぶん長い間のわかっただな。本当に分かったのか?
その後一旦荷物が置いてある空白地帯まで戻り。ピンクサル達に麦とトウモロコシを持ってくるように言う。
「お前らくれぐれも言っとくが、途中で食ってくるなよ」
「「「「ウキッウキキ。ウィキウキキッ!」」」」
何で二度も言う? 余計に心配するだろうが。
ハア、仕方ない自分も取りに行ってくるか。
「虎丸、トウカと一緒にいてやってくれ」
「にゃーん」
ピョンと頭から降りると、トウカのところに歩いていき。トウカにも一緒に待ってるように言っておく。
「はーい。じゃあ虎丸と待ってるね」
「うにゃにゃーん」
トウカ達には簡易テーブルと椅子を出し。そこに座り、手を振って見送る。
それを見ながら。
「さてこっちはどっちから集めるかな」




