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No.136

今度は間違いなくトウイチロウφ(゜゜)ノ゜





 No.136




 光の雨を降らせた後。全速力でディータの後を追う。


 「飛んでる奴を追うんじゃ敏捷値を上げなきゃ無理かな。レベルも上がってる事だし振っとくか」


 入ったばかりのEXPポイントを敏捷値に全て入れる。

 そうすると駆けるスピードが上がった。。


 「おっ、魔力値のときほどじゃないけど速くなったな。さてどれくらいかな……」


 追い付く方も足止めの時間も、そしてそれ以外にも出てくるモンスター達も。

 時間は限られる。それまでに無事ディータを門の外へ送り届けなくてはならない。


 「やれやれ、護衛ってのは面倒臭いんだな」


 走り出してそれほど経たない内にディータの背中が見えた。

 ただし飛ぶスピードを落とし、こちらに反転しそうな雰囲気だったので。


 「馬鹿なにやってんだ! 何があっても振り返らず飛べと言ったろうが! 鳥頭かお前は!」


 そういつものように言葉を掛ける。まるでさっきのやり取りはなかったかのように。

 そうするとディータも。


 「誰が鳥よ! 後ろであんな音が聞こえたら一人で残ったのかと思っただけよ!」


 同じように憎まれ口を叩きながら返すのだった。

 だからそのまま。


 「おおおう、泣いたカラスがなんとやらだ。もう悪態がつけるようになったか」

 「だ、誰が泣いたよ!?」


 反射的に振り返りそうになるディータに。


 「だから前を向いてろって言ってるだろうが! 『煌めけ光弾』(タスラム)!」


 ピストルのように構え、横から飛び出てきたモンスターを撃ち抜く。

 ディータは驚いているようだが今度は振り返ろうともせずに。


 「何で一撃で倒せるのよ!? さっきは出来てなかったじゃない!」

 「ああ!? さっき出来るようになったんだよ! 努力の賜物ですぅ。悔しかったらお前も努力てみろ。中途半端がイヤだったら、な!」


 本当は努力なんて言葉とはかけ離れたものなんだが。今後本人のやる気に繋がるなら今は嘘でも構わない。

 それより後ろの追ってくる奴が以外と速い。もう光の雨を越えて追い付いてきた。

 自分は後ろを振り返ること無く。煌めけ光弾(タスラム)を連続に撃ち込む。

 何匹かは仕留めたみたいだが、追ってくるのがまだいる。いい加減諦めてくんないかな。

 でも追ってくるならこの先手段を考えなければ。

 輝き照らせ(クラウ・)光剣の道標(ソラス)は溜めに時間が掛かる上、撃ったら撃ったで腕が使い物になってるからな。これもどうにか為らないかな。


 「むっかぁあああ! 言ったわね! 私だって好きで中途半端でいる訳じゃないのよ! ただ興味の対象が色々移ちゃうだけなのよ!」


 話をしながらも追ってくる奴、横から出てくる奴を煌めけ光弾(タスラム)で撃ち倒していくが。手数が足りなくなってくるな。なんかないか? う~ん…………そうだ!


 「五指より放てし光よ。敵を追い貫け。『轟け五星の光輝』(ブリュナーク)!」


 煌めけ光弾(タスラム)を五本指から放ち。尚且つ追尾弾のように敵を追いかけ撃ち倒すように構成してみた。

 そうすることで自分がいちいち狙いをつけて撃つよりは殲滅度が増した気がする。


 「また新しい術……。あなたいったいどれだけのものを持ってるのよ!」

 「これは自分の中途半端な知識や技術を総まとめして今作ったもんだ。知識や技術が中途半端でも、それまで得たものが無駄になる訳じゃない。そいつを無駄にしてしまうのは、それらを活かしきれない自分自身なのさ。だかーーっぐぁ!? うらぁああ!!」

 「どうしたの!?」

 「な、何でもない、前、向いて飛んでろ!」


 しっくた……。話しに気をとられ近寄ってきたモンスターに気付かなかった。

 背中に取りつかれた奴は引き剥がしたが。この痛みからすると肉を少し持ってかれたか? 痛みがズッキンズッキンどころじゃないな。痛すぎる! くそっまだ何匹も追ってきてるって言うのに!

 体を癒す方法は以前見てるから、何となく術は作れるんだけど、あれ痛そうだからな。できれば別のにしたい。なんかないか? なんかいま自分、劇場版の未来ロボットみたいだな。ついでだ、カウンター系の術も何か思いつけ!


 「よし、即席だが行けるだろう! 傷付き体に活力を与えよ。『偽りの義体を我に』(アガートラム)! 其は主に代わりし代弁者なり。『応答せしは(アンサラー)光楯の刃(フラガラック)』!」


 偽りの義体を我に(アガートラム)は光を体全体に包み込むようにして、回復を込みで組んでみた。

 応答せしは(アンサラー)光楯の刃(フラガラック)の方ひし形の光の楯を数枚、自分の周りに展開させ。襲ってきた相手の攻撃を自動防御&カウンターを行うように組んでみた。


 「またなんか新しいの使ってるでしょう!」

 「へへーん。羨ましいか。羨ましいかったら自分でもやってみ。うぅっ、中途半端な知識でもここまで出来るんだからな。ッッ!」

 「むきぃいい! あなたね、どこまで私を怒らせたいの! そんなことできれば苦労はしないのよ!」

 「そ、そいつは、お前の要領の悪さだ……はあ、知識は持ってるだけじゃ知恵にはならない。はあ、はあ、技術もただ持ってるだけじゃ意味がない。使いこなしてこそ意味が出てくる」


 まずい。体がフラついて息があがってきた。

 思った以上に背中の傷が深いみたいだ。偽りの義体を我に(アガートラム)の回復じゃ追い付かない。

 だけど副作用か何なのかは分からないが、右腕が動くようには為った。もっと若干の違和感があるが、煌めけ光弾(タスラム)だけなら放てる。これなら両手で術が使える。

 しかし幾らかも行かない内に体の変調は更に酷くなってきた。

 目が薄ボンヤリしてきたな。出血多量で視力が落ちたか。その割には【地図記録】(マップログ)はしっかり見えるんだよな。まあ、ありがたいんだけど

 どうせ見てるものは同じだ。3Dマップに切り替え。目の前に表示する。こうするとゲームのよう感覚がしてくる。

 ははは、ゲームか。久しくやってないな。帰ったらボードゲームでも作ってピンクサル達やトラさん、トウカやディータも誘って遊ぶか。


 「あと少しよ! ついてきてるわよね!」


 そんなことを考えていると前を飛んでるディータの声が聞こえてきた。


 「はあ、はあ、ああ安心しろ。ちゃんといる……」

 「なに息切れしてんのよ! あと少しよ頑張りなさい!」


 なんとか返事をするが。段々と喋るのさえ億劫(おっくう)になってきていた。体力の限界が近付いてきている。


 「はあ、はあ、はあ、そうだな。ッチ! まだでかいのがついてきてるのか!」

 「どうしたの!?」


 しかしそんなことはお構いなしに後方から大きな光点が近付いてきていた。


 「問題ない! そのままお前は飛び続けろ。こっちはもう一発でかいのを撃ち込んだ反動で、門へと飛び込む。だから先に行け」


 言葉を振り絞り。ディータに有無を言わさず先を急がせる。こっちの最大の目標はディータを無事、門の外へ送ることだ。

 自分は立ち止まり。後ろから追ってくるものに対して準備をする。


 「はあ、はあ…………ふぅ…………右腕でもう一発撃てるか…………行けそうだな」


 息を整えた後、魔力を練り始める。そうすると偽りの義体を我に(アガートラム)の影響でか、魔力は右腕での細部にまで行き渡り。確認するともう一度だけ右腕で輝き照らせ(クラウ・)光剣の道標(ソラス)を放てる状態にまで為った。


 「両手を犠牲にするより、片手の方が幾らかマシだな。さて、でかい奴はどんな奴だ…………象!? こんな奴までいるのかよ!?」


 【地図記録】(マップログ)の画面から見た相手は象のような姿をした奴だった。今までの奴はカエルモドキだの狼だの鹿だの途中には熊まで居たが、象は想像していなかった。


 「やるしかないのは同じだからな」


 自分の位置と門の位置、そして象の位置を【地図記録】(マップログ)で確認しながら位置取りをする。

 そして、今日二度目の輝き照らせ(クラウ・)光剣の道標(ソラス)を解き放つ。

 だが、放った瞬間。象が思わぬ攻撃をしてきた。象の持つ鼻が、まるでゴムのように伸ばしてきて。避ける暇もなく、それが自分の腹部へ突き刺したのだ。


 「ーーーっがあ!!」


 象はそのまま輝き照らせ(クラウ・)光剣の道標(ソラス)に当たり、その存在は消えた。

 そして自分はそのまま自ら放った術の勢いと、象の攻撃により門の外へ放り出されるように飛び出したのだった。














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