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No.131





 No.131




 ギュッギュッ、ギュウゥゥゥ。


 「ふう、これでよし」

 「何してるのトウイチロウ?」


 ああこれか。倒したカエルモドキのドロップアイテムを袋詰めしているところだ。

 謎の肉は十キロ程あったが、ピンクサル達(あいつら)なら一食で食べきってしまうだろうな。もっとも全部出せばの話だが。

 それより問題は晶石の方だ。

 オルテガさんに渡すのは『晶石(小)』で良いと言われている。

 それでドロップアイテムの中には『晶石(微小)』何て言うのもあった。

 なのでそれらを仕分けしているところだ。

 これがまた面倒臭い。同じサイズの物でも『微小』なんて書かれている物もあるから。【地図記録】(マップログ)で周辺を気にしながらの作業をしていると、たまに間違えるときもある。


 「そうなの? トウカお手伝いしようか?」


 そうか? こちらは助かるが。そうだな。自分の方で仕分けをするから、トウカはその仕分けしたやつを袋に詰めてくれ。トウカに鑑定してくれと言うのは、少し無理があると思うからな。


 「はーい」


 トラさんが昼寝を始めて、ピンクサルは肉の事で頭が一杯。話せるディータはその辺の草花を今調べているみたいだからな。休憩だけしていると飽きてきたんだろう。


 「それじゃあ二つに分けていくからそれを別々の袋に入れといてくれ」

 「うん、わかった」


 自分が鑑定した晶石をトウカは袋に入れていく。


 「さっきのすごかったねトウイチロウ。あのプヨプヨしたのなに?」


 ん? 自分はカエルモドキとしか認識していなかったが。そうか。あれにも【万物の瞳】(ロゴス)

を使えば名前くらい在るかもな。

 そうだな。RPGでも敵の情報を知るのは基本だったな。実戦だっとそんなことを考えてる暇もなかった。ありがとうトウカ。今度試してみるよ。


 「えへへ、良くわからないけど。どういたしまして」


 トウカと一緒に袋詰めをしていると。トウカは少し沈んだ顔をして。


 「あのね、トウイチロウ。トウカもきっちりとした術覚えたい。それでみんなの役に立ちたいの」


 トウカはあの大量のカエルモドキを相手にしていたときに、自分は足手まといだと思ったようだ。

 確かに主に相手をしていたのは自分やディータ、トラさんだけだったが。三人の攻撃を抜けて襲ってくるカエルモドキの相手ができたのは、トウカやピンクサル達だけだった。

 抜けてきたカエルモドキまでこの三人で相手にしていたら、さすがに被害は免れなかったろう。

 そう言った意味ではトウカ達のフォロー役はなくてはならない存在だった。

 トウカにはそう説明したのだが。


 「ううん。トウイチロウがそう言ってくれても、トウカがもっと頑張りたいの」


 ディータの望みで、今後もこうやって門の中の探索に出掛けることはあるか。

 なら、トウカにも遠距離攻撃の手段を持って貰うことは、マイナスにはならないか。


 「わかった。トウカにもやる気があるみたいだし。自分が分かる範囲で良ければ教えるよ」

 「本当!? トウイチロウ! ありがとう!」

 「ああ、今教えるのはなんだから。帰ってからにしよう」

 「うん! トウイチロウ」


 気分が晴れやかになったのだろう。先程とは違い。いつもの笑顔のトウカの顔になっていた。


 「ウキキ、ウキ(なあなあ、まだ)ウィキッー?(帰らないのか)


 トウカとそんな話をしていたら、肉の入ったバックを両手で大事そうに抱えて持っているピンクサル達がいた。

 なんだお前ら肉の話はもういいのか?


 「ウキ(話してたら)ウキ(腹へった)


 そうですか……。

 はあ、わかった。じゃあディータを呼んで帰る仕度を…………で、そのディータはどこだ?


 「ウキ(さあ)?」


 さあ、じゃあなくてさ。


 「トウカ」

 「ううん、トウカもあそこに居たのは知っていたけど。それからはわからない」


 トラさん、は寝てるから余計に分からないか。ったく、あの馬鹿は、遠くへ行くなと言ったのに何処へ行ったんだ。


 【地図記録】(マップログ)から検索事項を呼び出し『ディータ』で探す。

 そうするとどう言うわけか。こちらが作業していた時間は五分も経っていなかった筈なのに、ディータの位置情報はここから一キロ以上離れた地点で光点が点滅していた。

 何でこんなに離れて!? 

 歩いては無理だ。走っていくにしても運動能力が低いディータじゃ考えられない。…………飛んでか!? そうか! あいつの加護状態での姿は鳥だった! それなら可能か! 調査はこの辺だけにしろと言ったのに!


 「全員直ぐ様に(ここ)より離脱する。荷物は置いてけ、と言いたいが……」

 「「「「ウキキッ(これを置いてく)ウィキィー!(なんてとんでもない)」」」」


 だよな、分かってるよ。しっかり持っていけ。


 「お姉さまはトウイチロウ?」

 「あの馬鹿(ディータ)はどうやら迷子だ。自分が迎えに行ってくるから、トウカ達は先に離脱してくれ」

 「だったらトウカも一緒に!」

 「自分一人の方が動きやすい」


 トウカの頭にぽっんと手を置き。


 「ちゃんとディータを連れて帰ってくるから、先に行っててくれ」

 「…………うん、わかった」

 「「「「ウキー?(死亡フラグか)」」」」


 不吉なことを言うな! 生きて帰ってくるに決まってんだろ! 大体言ったからって必ず死ぬ訳じゃないだろう!


 「「「「ウキウキ(九割近くは在る)」」」」


 どこの統計だよ!? あとお前らは自分に死んで欲しいのか!?


 「「「「ウキキ!(とんでもない)ウキ(そんな事)キキッ(になったら)ウキィー(この先誰が)ウッキキィ(旨い飯を作る)!!」」」」


 自分は飯炊き要員か……。ハァ、ハイハイ必ず帰ってくるから。お前達も荷物(それ)をしっかり持っていけよ。


 「「「ウキキッ!!(何を置いても必ず)」」」」


 なんとも頼もしい返事だよ、ほんと……。

 さて、いっちょ迷子のお嬢ちゃんを迎えにいきますか。





















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