No.130
No.130
「謎の肉と晶石だけだったな……」
ドロップアイテムはこの二つのみで、肉の方は部位が違うのだろう。説明文に若干の違いがあるものの、全て同じだった。
「まあ、ノルマであった晶石集めが一日で終われたのは行幸だったけどな。それでどうする。何か調べたかったんだろ?」
今だ起き上がれないディータに聞くと。よいしょと起き上がり。
「この異界の門の中には、この場所とは違った場所があるみたいなのよ。そこには巨大な生き物が封じられるように居るみたいなの」
封じられ? どっかで覚えが? ああ! 北に在る門を調べたときに説明文にそんなのが書いてあったな。何が封じられているかまでは分からなかったけど。
「で、それを調べればもしかしたら。この異界の門や聖地に関して何か分かるんじゃないかと思っているのよ」
巨大生物か、【地図記録】にはそれらしい光点は…………無いな。小さいのなら幾つもあるから、さっきのカエルモドキ見たいのが居るんだろうけど。
「本当にそんなのが居るのか?」
「私が見た調査報告書にはそう書いてあったわ」
「ふーん、何時のだ」
「え?」
自信満々に胸を反らしたディータが固まる。
そしてディータは固まりながらも二本指をこちらに見せる。
なんだそれは。二日じゃないよな。お前ここまで来るのに三日掛かってるんだし。二週間? 二ヶ月?
ディータは首を振り続ける。
「おい、どれだけ前のだ。二年か、さすがに二十年はないよな」
ディータはいつもの元気とは裏腹に小さく。
「…………ねん」
「は?」
「だから、二百年前の調査報告書だって言ってんのよ!」
はあ!? 二百年!?
「お前馬鹿じゃねの!?」
「何でよ!?」
二百年だぞ、二百年。それだけあれば疑問に思った奴が調べないわけ無いだろよ。調査報告書なんだから。
ハァ、その思想は買うが。もう少し事前調査をしっかりしてから来いよ。
だけどなるほどな、そう言うわけならここは諦めろ。その巨大生物は居ないぞ、きっと。
「何でそんなことが分かるのよ! まだ入り口からそんなに歩いてないのに!」
「説明が面倒臭いので大まかに言うと、自分の力だ。ある程度なら分かるんだよ」
「ぐっ、またあなたのインチキ能力なのね」
インチキ言うなよ。まあチートって意味じゃそうなんだが。
「でもある程度なんだから、隈無く探したら居るかもしれないじゃない」
まあそうかもしれないけどな。ハルシオン達が話すとは思わないしな。
「約束は約束だ。少しずつ探索をして幾分には協力していく」
「助かるわ。このままもう来てくれないなんて言ったら。さっきみたいな状況、私一人じゃ対処できないもの」
下手に自分一人でも進むとか言わないでくれてだけありがたい。
とりあえず今日はこの辺一帯の調査だけしていこう。もしかしたら変わったものがあるかもしれないだろう。
「ええ、そうするわ」
「トウイチロウ、トウカ休んでいてもいい?」
「にゃーん」
ああ好きにしていてくれ。ただし遠くには行かないでくれよ。
「はーい」
「うにゃーん」
トウカ達はそのまま休憩を続けるようだ。
ディータは立ち上がってその辺を調べ始めた。
そして今回一切喋らなかったピンクサル達。
「ウキキ、ウキウキ」
「ウキウィキィー」
「ウィキィーウキキィー」
「ウキウキ、ウキキィ!」
などと既に肉の事しか考えていなかった。
ほんと、お前ら気楽でいいな。
だけど肉料理か、何がいいか。そうだな、ユニ子のところで野菜をもらって、バーベキューでもするかな。これから先も肉類が手に入るなら酒類が欲しいな。作れないものか?
今度試してみるかな。




