No.128
No.128
「ディータからのご要望だ。本当は引き返したいが、これから作戦を話す。聞いてくれ」
「誰がわがままよ!」
聞けよ……。
先ず自分が中心で範囲攻撃を行う。
その攻撃から漏れたモンスターをトラさんとディータで迎撃。
さらにこの二人をガードしつつ。トウカとピンクサル達が、この二人の攻撃も抜けてきたモンスターだけを相手にする。
こちらから打って出ることは決してしない、来た奴だけを相手をしてくれ。
「以上だ。何か質問はあるか?」
「範囲攻撃出来るなら、あなただけで何とかならないの?」
「軽く叩くレベルで倒せる相手なら問題ないが、相手がどんな奴か分からない以上。用心に越したことはない」
圧縮玉ならそれなりに威力はあるが、あれは十秒程時間がかかる。数が多い時には無理がある。
それぞれに役割を説明し終わり、陣形を組むように指示する。
そうするとこちら側が相手を認識している事に気がついたのか。周囲がざわめき始める。
「わ、わわ、すごいよ!? 周りからいっぱい音がするよ!?」
「ちょっと!? これ本当にどうにかなるの!?」
こっちとしては今からでも引き返しても良いんだぞ
自分は魔力を練り始め、イメージするは天に輝く星々。
「ウキキッ!」
「ウキウキ。ウィキィー!」
「ウッキキィ、ウゥキィイイ!!」
「うにゃーん!」
トラさんやピンクサル達もやる気があるようだが、ひとり気合いを入れすぎだ。少し落ち着け。
イメージが固まり、右手を掲げる。すると自分達の頭上に光の粒が生成される。
そして騒がしくなっていた周りがピタリと止まり。
「え? なに?」
ディータが周りが静かになった事で疑問の声を上げだが、すぐに。
GAAAAAAA!!!
獣のように吠える声が響く。
「くるぞ! 全員各々の役目に集中しろ!!」
全員に改めて指示を出すと当時に。草むらから、木々の間と、あらゆる所から以前見た緑色のカエルモドキが出現した。
「ひぃいい!? な、何あれ!? キモチワル!」
「うわぁ、なんかブヨブヨしたのがいっぱい」
カエルモドキを見て感想を述べてる二人だが、今は構っている暇がない。
迫り来るカエルモドキに掲げていた右手を振り下ろし。本来は言わなくてもいい必殺技を叫ぶ。
「『天より降り注ぐ星の光』!」
豪雨の様に自分達の周りにだけ降り注ぐ光の雨。
その勢いに晒され、何十匹かのカエルモドキが光となり消えていった。
しかし何匹かは光の雨を通り過ぎ、自分達に迫るモノもいた。
「ッチ! やっぱり抜けられたか。くるぞ! 虎丸! ディータ!」
「だ、大丈夫。任せない。『華麗なる魔術士ディータ』の力、見せてあげるわ!」
「うにゃーん!」
そう言うと先ずトラさんが「えーい!」と、前足を振るうと。カエルモドキが引き裂かれた様な姿に変わった。
おおっ!? もしかして風の刃? いやどっちかと言うと風の爪か? 前足振るっていたし。
そしてディータの方も、直ぐに術文の詠唱に入る。
「『我は乞い願う。大地に在りし植物よ。我と力を合わせ。その葉を固く鋭き刃と化し。刀林の如く、汝等を踏み歩くモノを刺し切り裂け』!」
唱え終わると。自分達が居る以外の雑草の葉がピンッと立つ。
そしてその上に踏み込んだカエルモドキが、雑草の葉に貫かれ。切り裂けれていった。
うぉおお……えげつない術だな。
草のトラップでは相手を転ばせたりするのとかはよく知ってるが。あれはどっちかって言うと天然のとらばさみ、もしくは地雷だな。
そんなトラさんやディータの攻撃も凌いでやって来るカエルモドキもいたが。
「ウキ~キィ♪」
「ウキー。ウキキー」
「ウキィ! ウキキィー!」
ピンクサル達に囲まれ一方的に攻撃ていた。
お前らやり方の手段は問わないが、やり方が何かザコっぽいぞ。
「うぅ~、おさるさん達がするから、トウカ何もすることがないよー」
嘆くなトウカ。何もない方が本当は良いんだから。




