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No.103





 No.103




 何とかピンクサル達の努力の甲斐があって、トウカのティグリス対しての人見知りだけは何とかなった。

 そして現在ティグリスの指導の下、トウカは魔力操作の訓練をしていたのだった。


 「うぅ~……」

 『オオー上手上手。その調子その調子』


 トウカは目を閉じ難しい顔をしながら唸り声を上げていた。

 そんなトウカに対して、統一郎のベットに横になりながら。なんともやる気のない声で応援するティグリス。


 「ウキ……」

 『ちゃんと指示してるって。俺ぐらいになると相手を見てなくても相手の、何だっけ?』

 「ウキ」

 『ああそうそう、その『魔力』な。を、感じるぐらいは分けないさ。ほら言ってるそばから()()が出てきたぞ嬢ちゃん。体全体に行き渡るように魔力を満たさないと意味ないぞ』


 ティグリスに言われさらに険しい顔になり。唸り声もだんだん大きくなっていく。

 しかしそれも数秒と経たずトウカは目を開き、ティグリスに食って掛かる。


 「こんな初歩的じゃなくて、トウカは術の使い方を教えてほしいの! お昼になったらトウイチロウと一緒にお出掛けするんだから!」


 そんなトウカにティグリスは欠伸をしながらも答える。


 『嬢ちゃんはその初歩的な事すらできてないんだ。それができなきゃ、この聖地で歩くことすらできないぞ』

 「うぅぅ…………でも」


 唸るトウカにさらに言葉を続けるティグリス。


 『聖地を歩きたいだけなら、これが一番近道なんだよ。術なんか使わなくてもな。言いか。膨大な星力(プラーナ)がある聖地は、居るだけで自分に合わない力が無理矢理体に入ってきて、体に変調を起こす。だから先に自分に合った魔力で常に体を満たしとくのさ。見ろこいつらだって頷いてるぞ』


 そう言われピンクサル達は慌てて頷き、トウカを励ます。


 「…………おさるさん達、これでトウカ。トウイチロウと一緒に行けるの?」

 「「「「ウキ!」」」」


 力強く頷くピンクサル達。それにより再びやる気が戻ってきたトウカだが、やはり実感が持てないせいで疑問にも感じていた。

 そんな様子を見ぬいていたティグリスは、面倒臭いなと、寝転がりながらもトウカに指示をする。


 『実際嬢ちゃんは術士としての素質はある方だぞ。できない奴はできないからな。その証拠に自分の髪を見てみな。上達してるかは髪の変質を見ればすぐわかる』


 言われて自分の髪を見てみる。黒い髪がいつの間にか半分ほど朱に染まっている。


 『そいつは嬢ちゃんの中で火と雷の力が満ち始めた証拠さ』

 「雷? トウカ火の力があるって言われたよ」

 『ああそいつは色属の見方が悪かったんだろうな。特に嬢ちゃんの色は赤に近い。だが確かに嬢ちゃんは雷の力も持っている。二色持ちなんてのは特に色が混ざっているから、余程の奴じゃなきゃ強い力の方に目が行くのは仕方ないさ。兎に角だ。髪先まで色が行き渡れば問題なく聖地を歩けるさ。ふぁあああ~。さて、俺は寝たくなってきたから。後そっちで頑張りな』


 言うが早いか、ティグリスはその姿が消えていく。

 慌ててピンクサル達は声をかけるがティグリスは、『こっちも久しぶりに師の真似事がやれて、楽しかったさ』と言って完全にその姿が消えてしまった。


 「ありがとうございました」


 トウカは消えていったティグリスに対して頭を下げお礼を言ったのだ。


 「ウキキ?」

 「え? これ? これはね、かあさまが誰かに何かをして貰ったらお礼を言いなさって。でもお礼の前にあの人消えちゃたけど届いたかな?」

 「「「「ウキ!」」」」


 トウカの言葉に力強く頷くピンクサル達。

 その後トウカはピンクサル達に見守られながら、ティグリスに言われたやり方で、体に魔力を満たす方法を学んでいった。




 ☆★☆★☆




 ガラゴロガラゴロ


 「ふぃ~。やっと到着。お昼までには間に合ったよな?」

 「にゃーん?(おなかはすいてないよ)


 腹時計ですか。しかしトラさんは頭の上にずっといたからお腹すいてないんじゃない?


 「うにゃーん(おてつだいしたよー)


 確かに。最初は頭の上に居るだけで言いと言ったんだが。途中トラさんが収穫の仕方がわかったのか、手伝いをしてくれた。

 しかも思いもよらぬ方法で。


 「う~ん、風を使ってあんな収穫方法を思い付くとは、お見逸れしました」

 「にゃーん!(えっへん)


 頭の上で胸を反らすトラさん。

 どんな方法かって、それはなーー


 「あっ! トウイチロウお帰りなさい」

 「ウキ(本当だ)ウキキー(おかえりー)


 トウカが帰ってきたことに気づく。それに続いてピンクサル達も挨拶をしてきた。


 「おう、ただい、ま? あれ? トウカ髪の色が」


 トウカの髪は毛先に至るまで全て朱に染まっていた。

 トウカさんの時でも半分ぐらいまでたったよな? あれって全部染まるもんなのか?


 「うん! あのねトウカ頑張って体全部に魔力が行き渡るようにしたんだよ。これでトウイチロウと一緒にお出掛けできるね!」


 ん? どう言うことだ? 自分がピンクサル達に頼んだのは、トウカに聖地でも歩けるような術の使い方を頼んだ筈だが? 

 魔力が体に満ちるやり方って、【魔力操作】を習得したときのやつじゃなかったか。


 「おいおいどう言うことだ。自分ちゃんと頼んだ筈だろう」


 ピンクサル達に近寄り耳打ちするように聞く。


 「ウキ(だいじょうぶ)キキ(せんもんかに)ィー!(まかせたから)


 誰だよ専門家って……。


 「誰か来たのか?」

 「誰も来てないよ? 誰か来る予定なの?」


 人見知りのあるトウカがこう言うってるんじゃ、誰か知らない人が来たって訳じゃなさそうだな。

 まあその辺は食事をしながら聞いてみるか。


 「取り合えずお昼にしよう。他の食材集めはそれからだな」

 「「「「ウキィー!(イエーイ) ウキキー(めしだー!)」」」」
















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