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No.102





 No.102




 ベットの下からアタッシュケースを取り出したピンクサル達は、ケースのふたを開け。中に入っているモノを確認する。


 「ん~何が入っているの?」


 トウカも一緒になって覗き込むと。そこには黄色、深緑色、薄緑色をした珠のような石が丁寧に置かれていた。


 「わあぁ、きれいな石だね」


 トウカはその一つ黄色の珠を手に取ろうとしたが。


 「ウキ……ウキキ……」


 途中でピンクサルに「それには触っちゃなんねえ」と、いった感じに止められた。


 「触っちゃダメなの?」

 「ウキャ」


 頷くピンクサル達。

 しかし触るなと言ったピンクサル達は、珠を平気で触っているから。「どうしてトウカはダメなんだろう?」と思っていた。

 もしここに統一郎が居れば「トウカが触れば()()()が喜ぶだけだ。ナイス判断、お前達」とサムズアッブして、ピンクサル達を誉めていただろう。


 「ウキ?」「ウキキィ」「ウキウキ」

 「ねえねえ、おさるさん何をお話ししてるの?」


 ピンクサル達がそれぞれの石を持ち、見比べ、話し合っているところに。トウカも加わりたいらしく。「まぜてまぜて♪」といった感じに、ピンクサル達の輪の中に入っていく。

 その様子に若干迷惑そうな顔をしたが、まあしかたがねえなといった感じに、トウカも輪の中に迎えられた。

 「ウキキ」と、三つの石を見比べていたが。トウカが触ろうとした黄色の石をケースへと戻すピンクサル。


 「あれ? それは戻しちゃうの?」

 「ウキ」


 頷き黄色の石を指差すピンクサル。

 指差した黄色の石の中には、光の粒のようなものが、止まりそうになりながらも緩やかに動いていた。


 「……なんか元気ないね」

 「ウキ……」


 「きっとお疲れなんだよ」といった感じに声を出すピンクサル。

 本人が居れば「俺っちのお疲れの原因のひとつは、お前達のせいだからな!?」と、喚いていたことだろう。

 次に戻したのが深緑色の石だった。こちらは先程の黄色の石に比べれは光の動きは止まる、と言うほどではないが。緩やかに動いていた。


 「それも戻しちゃうんだ。一個だけ残ったね。それはどうするの?」


 トウカが言う通りに薄緑色の石が残った。

 これは前二つに比べればかなり活発に、いや、何か途端に光が緩やかになってきた。


 「ウキキ!?」「ウキ!?」「ウィキー!?」


 ピンクサル達が「あれ!? 可笑しいさっきまで平気だったのに!?」と、いった感じに騒ぎだしていた。


 「どうしたの? これもダメなの?」


 と、今度はピンクサル達に止められること無く薄緑色の石を手にするトウカ。

 石の中を覗き込むように見つめるトウカに、ハラハラとした様子で見るピンクサル達。


 「ええっとね、何かこの光、()()とゆっくりした動きになってるよ」


 トウカのその言葉に驚くピンクサル達。

 言われて自分達も覗き込むが、トウカが言う通りにわざと緩やかな動きをしているのかわからなかった。

 トウカもトウカで石に対して「変だねー」と、揺すってみたりして光が早く動くか試していた。


 『はぁ、誤魔化していれば諦めてくれると思ったんだがな。意外に勘が鋭い上に諦めが悪い嬢ちゃんだな』


 石の方から男の声がするとティグリスが現れたのだった。


 「「「「ウキキィ~……」」」」


 ピンクサル達がティグリス題して抗議の声を上げるが、その声はいつもの勢いは無く。何処かよそよそしい。


 「え? 何でこんなとをしたかって。寝てたら嫌な予感がしたからさ。お前ら俺になんか面倒臭い事頼もうとしなかったか?」


 ピンクサル達はそんなティグリスの言葉に、口々に何かを言い、説得し、土下座をして。仕舞いには、統一郎が使っているベット一式を差し出そうとしていたピンクサルまでいた。


 「いやそれ昨日の奴のだろう。確かにその寝具は良さそうだけど、持っていけないからな。まあ出てきちまった手前、何かあるなら聞いてやるよ。じゃないと後でエヴァ辺りがうるさいから…………ふぁあああ、でなに? 俺が起きている間に出来ることか?」


 ピンクサル達はティグリスにトウカに力の使い方を教えてほしいと願ったのだ。自分達ではどうにも伝わらないからと言う理由で。


 「はあ、やっぱり面倒臭い事だよ。…………仕方ねぇ」


 ティグリスは面倒臭いなと言う顔をしながらトウカに向き合うと。


 「嬢ちゃんどこまで出来るか知らないが、取り合えず出来るところまで星術をーー」

 「ウキ!」

 「あ? なに? あの兄ちゃんは魔術、魔法って呼んでる? いや俺の時代はこう呼んでたんだか……」

 「ウキキキ」

 「統一しとかないとそろそろ怒られる? 誰にだよ? ああ、わかったわかった。じっと見るなって。はあ、ほんと面倒臭いなぁ。ああ寝てたい……」


 ぼやきながらティグリスは話を進めていった。

 しかしその間トウカはティグリスとの対面で話の半分も聞いていなかった。


 (うぅ……この人誰だろう? おさるさん達が親しそうにしてるから、トウイチロウの知り合いの人?)


 頼みの綱として呼ばれたティグリスはやる気がない。

 トウカは人見知りで緊張して話を聞いていない。

 万事にこんな感じでトウカに術の使い方を教えることが出来るのだろうか?

 がんばれピンクサル達。やはり最後の希望は君たちしかない。



















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