No.101
No.101
大八車を一人で引きながら、えっちらおっちらやって参りました菜園場。
ふぅ、この辺まで頑張って道整備しよう。来るだけで疲れる。
荷物を下ろしていると、どこからやって来たのかユニ子が現れた。
そして始めて聞く、ダウナー気味のユニ子の声。
「ぶるる……」
「おう、おはよ。また来たぜ、今日も野菜もらうな」
「ぶるる?」
「今日は訳あって留守番だ。その代わり今日はこっちが来てくれた」
いつも居る筈のピンクサル達に警戒しつつ聞いてくるユニ子。
あいつら毎度来る度に食い荒らすから、ユニ子が姿が見えないことで逆に警戒したようだ。
ピンクサル達が居ないことを軽く説明して。いまだなにも手伝わず、頭に居座るトラさんを紹介する。
「にゃ~ん」
片前足を上げ挨拶するトラさん。
ユニ子はじっとトラさんを見て。
「ぶるる……」
「にゃ~ん」
心外とばかりに言うトラさん。
その「しないのー」は、畑を荒らさない事へのしないのか。
それとも作業は手伝わないから、荒らすことはしないと言うことなのか。
できれば前者であって欲しいんだが……。
「毎度言うんだが、何か手伝って欲しいこととか有ったら言ってくれ。丹精込めたものをタダで貰ってるんだ、それぐらいはするからな」
「ぶるる、ぶるる……」
それだけ言うとぷいっと体を向け。トポトポと歩き、畑の雑草を食みに行った。
あれを食事兼作業にするどうかと思うんだが。目の前の野菜食べればいいのに。
「おっし。こっちはこっちで気合い入れて収穫していくか」
「うにゃ~ん?」
ほほを叩き気合いを入れると。忘れてなかったのか、トラさんが作業確認をしてくる。
「うーん、そうだな。その体で出来そうなこと……」
猫の姿のトラさんに何が出来るかを考える。
考えた結果。
何が出来るんだこの体で? 無理だろう。
竹籠、背負えない。収穫、掘り起こしたりは出来るだろうがその後。野菜を引きずりながら持って来る姿しか想像できん。その上野菜は傷だらけ。
「…………頭の上にでも居てください」
「にゃ~ん?」
むしろそれ以外のトラさんの出来ることが思い付かない。
自分が頑張るしかないと言うことか。早く帰るって言ったけど、お昼までに終わるかな……。
☆★☆★☆
一方、別れたトウカの方は。
「がんばってお昼はトウイチロウと一緒に行くんだ。そう言うわけでおさるさん達。よろしくお願いします」
頑張るぞと言うように力を入れ、頭を下げるトウカ。
そしてその頭を下げた先には、変わった衣装を着たピンクサルがいた。
ハチマキにピンクサル似合わせた竹刀とTシャツ。背中には『熱血漢!』と書かれた文字。
以前統一郎に魔力操作の訓練をした時の姿をしている。
『パシッ!』と地面を叩き。「ウキキィ!」と声を上げるピンクサル。
「おさるさんも一生懸命教えてくれるってことだね。ありがとう」
ピンクサルは首を振り、再度地面を叩くが。トウカは首を傾げ「なんて言ってるんだろう?」と、思っていた。
それを見たピンクサル達は集まり、ゴニョゴニョと話あった。
「どう見ても話が通じないが、平気だろうか?」そういった感じに話あったが。トウカ自身はやる気に満ちた目をしてピンクサル達を見ているので、今さらやめるにやめられないだろう。
さあどうする、ピンクサル達。
「ウキ!」
輪の中から一匹のピンクサルが立ち上がり、トウカへと向かう。
そして「ウキ。ウキキ、ウィキィ」と、トウカの前でジェスチャーをしながら、何かを伝えようとするが。
「わあーおさるさん、踊り上手だね!」
全く伝わらず、拍手される始末。
ジェスチャーで伝えようとしたピンクサルは、膝と手を地面に着き。「……伝わらね」といった感じに嘆き。輪に戻っり、端の方で体育座りをしながら黄昏た。
他のピンクサル達はそれを見て「お前はよくやった!」「頑張った!」といった感じに励ました。
「なに? 何かの見世物?」
トウカの発言に恐れ戦くピンクサル達。しかしそんな中、二匹のピンクサル達がトウカの前に躍り出る。
「「ウキ!」」
一匹で駄目なら二匹でどうだと、トウカへジェスチャーをし始めるピンクサル達。
しかし。
「う~ん、ご飯が食べたい! 違う?」
「食べたいけどそうじゃねよ!」と突っ込むピンクサル達。
この二匹もトボトボと輪の中に戻ると。初めのピンクサルが手招きをしながら二匹を迎え。一緒に体育座りをして、遠くを見るように黄昏た。
その後もピンクサル達は頑張って、本当に頑張ってトウカに伝わるよう色々手を尽くしたが、駄目だった。
「「「「ウキ……」」」」
「面白かったよ、おさるさん達。それでいつトウカに教えてくれるの?」
打ち拉しがれるピンクサル達に、無邪気なトウカの言葉。
「もう自分達のHPは0だよ……」と言う言葉が聞こえてきそうだった。
そんな中一匹のピンクサルが、トウカに家の方角を指差した。
「え? なにお家に何かあるの?」
頷くピンクサル。
屍の如き歩みでトウカと一緒に家に戻る。
そして一階の統一郎が寝るベッドを指差し。
「ウキキィ……」
「あそこに、お前の希望がある……」といった感じに倒れるピンクサル。
「ベッドがどうしたの? お昼寝? ここじゃなくて、ちゃんとしたとこに寝ようよ」
最後まで伝わらなかったトウカに、結局自分達がやった方が早いと行動を起こしたのだった。
「ベッドに寝るんじゃないの? えっ? なにそれ、木の箱?」
統一郎がいつも寝ているベッドを動かすと、木でできたアタッシュケースが出てきた。
ピンクサル達はそれをポッンと叩き。「これが勝利の鍵だ!」と、言ったかはわからないが。トウカにケースを示したのだ。
「なにこれ? トウカにくれるの?」
「「「「ウキッ!」」」」
「いや違うから」と言うように、突っ込みを入れるピンクサル達だった。




