刀×精霊=雅
やっと雅が書けました( *`ω´)
割りと作者のお気に入りなキャラです。
「うーむ、どうしたらいいのだろう」
ルリディア城の門の前で人が寝ている。しかも立ったまま居眠りをしている。よく倒れないなこの人。
見かけは背が高く、引き締まった腕には槍を持っている。
どうやらこの人がアリスが言っていた門番らしいのだが…起こしていいのかな?
「…っ。…ね、寝てません、寝てませんからねっ!」
急に男が起きた。俺をアリスと見間違えたんじゃないか?
「…って、ただの民間人か。ここはただの城だぞ。」
「いや、アリスに手紙をもらったんだが…」
アリスの名前を出した瞬間、彼の表情が変わる。
「あ、アリスさんが?ちょっと見せてくれ」
白髪の男は素早く手紙をひったくると、内容を理解したらしく、
「…俺はシュルツ=テッペイだ。王国騎士団の分隊長をしている。今日は挨拶回りってことか。これからよろしくな。」
と、右手を差し出してきたので、俺も握手をする。
「俺は恭弥です。こちらこそよろしくお願いします。」
「今日はとりあえず中を紹介すりゃ良いんだな。なぁに、ガキの職場見学のせいで慣れてるから心配すんな。」
××××
ルリディア城の門をくぐると、まるでゲームの世界のような、真っ白の高い城がそびえていた。
「凄いだろ?ルリディア城は建てるのに13年掛かったらしいからな。」
「そうなんですか…国王はどんな人ですか?」
「ああ…最強の魔法剣士、だな。それも雷の魔法を使う。雷魔法は最上級魔法の一つだぜ。」
「今もルリディア城に居るんですか?」
それを聞いたテッペイの表情が曇る。
「いや…しばらく前に行方不明になっちまった。何しろ国王様の顔はおろか、声までも聞いたことがないな。いつも精霊に代弁させて喋っていたぜ」
「……謎ですね」
「謎だな」
××××
その後はテッペイに城の内部について案内してもらった。
他の部隊の人への挨拶はまた次にでもしよう。
「じゃあな、恭弥。無理に敬語使わなくてもいいからな。」
「分かった。次からはそうしますね」
そしてアリスの家の部屋を思い浮かべ、そのまま転移した。
××××
「………。」
現状を整理しよう。俺はきちんとアリスの家に戻ってきた。靴も玄関に置いてきた。
「あ、どうも~。おかえりなさいです~。見てください。城下町で美味しいパン屋さん見つけちゃいました~。」
「………。」
おかしい。何故俺の部屋に、人が、雅がいるんだ?
「あれ~?いらないんですか?このパンとっても美味しいですよ~?」
「…なら、そのメロンパンを貰おうか」
「恭弥さんはメロンパン好きなんですねぇ~」
うん。なかなか美味しいメロンパンだ。今度買いに行ってみよう。
「で、一つ聞いてもいいか?」
「どうぞ~。」
「何故お前がここに?昨日少し会っただけじゃないか?」
すると彼女は少し考え、
「もしかして、刀が入っていた箱みたいなもの持ってます~?」
「あ、ああ。それがどうした?」
「じゃあ、それを持って来てください~。」
仕方がないのでベッドの下の刀の箱を取って来る。
「これか?」
「そうそう、それです~。箱の蓋の裏を見てください~」
言われるがままに蓋をとって裏を確認すると、金箔で「雅」と刻印されている。
…まさか。
彼女の方を見やると、自分と刀の箱を交互に指差している。
「…お前は一体何者なんだ?」
「やだなぁ、雅ですよ~。恭弥さんの刀です」
彼女が立ち上がり、何かを詠唱する。すると彼女の身体から煙が立ち上り、煙が消えた頃には彼女の代わりに一本の刀が転がっていた。
「これで分かりましたか~?私こと雅は刀の精霊ですよ~」
「ああ、何となく、認めたくないが分かった。」
「それは良かったです~。では、これから私の主としてよろしくお願いします~。」
こうして意思を持つ、というよりほぼ人間に近い刀とこれから戦っていくことになった。
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