生還の約束
俺は酒の瓶を取りに行くために席を立ち、料理の並ぶテーブルに向かった。
「お、メープル。」
「あ、恭弥だ。お酒取りに来たの?」
「そうだよ、メープルも酒の補充か?」
すると彼女は小さく首を横に振り、
「私はあんまりお酒が飲めないから…代わりにブドウジュースを取りにきたの」
なるほど、確かに見た目はワインのようだから周りに溶け込みやすいだろう。
「じゃあ、アリスに持っていってやると喜びそうだ。俺もブドウジュースをもらうとしよう」
彼女は猫耳をぴょこぴょこと動かしながら嬉しそうに頷く。ブドウジュースが好きなんだろうか。
××××
「お、おぅ、キョーヤ。…酒とブドウジュース…?一体どうしてそんな組み合わせなんだい?」
「あ、ノームさん。ロイとの飲み比べは終わったんですか?」
「たいしたことねぇ奴だったよ、あたいの半分も飲めやしない」
樽一つ空けているはずなのにノームの顔は全く紅潮していない。
「よかったらキョーヤも飲み比べするか?」
「遠慮しておきますよ、あんまり飲めないんで」
「…話は変わるが、それはアリスさんの為のジュースだろ?」
流石にアリスのことになると鋭い。
「まぁ…あの人は飲めないからな…。まぁ、目を離さずに一緒にいてやるこった」
××××
「戻ったよ」
「遅い。唐揚げが無くなっても良いのか?」
「もう半分食べたのか、他の料理持ってこようか?」
しかし放置されていたことに拗ねているらしく、
「別に良い、座れ」
しばらく無言の時間が流れる。
「……ん」
アリスがブドウジュースに気付いたらしく、笑顔をこぼす。
「あぁ、メープルも飲めないみたいでね、見た目だけでもワインみたいなジュースを持ってきたんだ」
「…礼を言う」
アリスのグラスにブドウジュース、俺のグラスにワインを注ぐ。
「じゃあ、乾杯」
「乾杯」
ガラス同士のぶつかる音が響く。
「なかなかあいつらも休ませてやれんからな…今回の宴会は本当に有意義だろう」
「…まぁ、今日は仕事を忘れて楽しんでるね。」
「そうだな、もうすぐ世界が…」
アリスの言葉を遮る。
「アリスも、今日は仕事を忘れて楽しもう。最後になるかもしれないし…」
「…縁起が悪いな、次の宴会は全てが終わった後、全員参加だからな」
「一人も欠けることなく、だね」
窓から外を眺めながらアリスは笑う。
「…その通りだ。…絶対に」
【死ぬな、頼む…死ぬな恭弥ぁっ!…】
「………っ!」
「どうした?恭弥。ちゃんと聞いてたか?」
「あ、あぁ。死なないから大丈夫だ」
「ふふっ、誰も恭弥が死ぬなんて言ってないぞ」
強烈なデジャブ。
それはまるで俺が死ぬような…
やめよう、折角の宴会だ。楽しまないとな。
「アリス、ラルクさんがプリン作ってくれてたよ、二人で取りに行こう」
「あぁ。ラルクのプリンは絶品だぞ」
そうして俺たち二人は席を後にした。
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