罠か、そして消費量
確認のために顔だけを出せば、繋がった先はどこかの無人の地下牢内であり、ひとまず安心する。
「(にしても何階のどこら辺だ?)」
牢はどれも同じ造りのせいで一見では把握出来ない。
しかし壁に水垢とシミがあるので、少なくとも六階層以下というのは分かる。
『天眼』を壁に沿わせるようのして進ませ、階段の有無を確認する。もし先程の牢が一番奥であったなら左右か反対側に階段があるはず。
そうして見て回ってもこの階に階段はない。
これにより六、八、九階ではない。
「(だとしたら七階が一番可能性が高いな)」
当たりをつけてから階下に視点を移す。
するとすぐ下の階にブライアンたちはいた。
「(階数を間違えていただけか)」
場所が判明した安心したが、看守がいる部屋にゲートを繋げるのではないかとコランドさんを疑ってしまった罪悪感に挟まれる。
その気持ちを隠しながらゲートから顔を抜き、コランドさんの方を見る。
「申し訳ないけどここは七階みたいだ」
「おや、それは失礼」
彼は少しだけ驚いた表情を浮べ、謝罪と共にゲート閉じる。
その様子からは意図的に階を間違えたのかどうかも分からない。
「(疑い過ぎか……?)」
分別のつけ難い事態に頭を悩ませる。
対して彼は、すぐに男女が手を繋いで並んで通れる程の大きさでゲートを開いてくれる。
「ふむ、流す魔力で大きさが変わるのですね」
「ああ。他にも繋げる先との距離を広げればそれに応じた魔力が必要になる」
「そのようで。たった一階層分を変えるだけでもそれなりに多くの魔力を流しました」
「……」
ゲートの使用法についての話かと思ったが、共感の難しい体験談を告げられた。
「(一階層なら百程度の消費で済むはずだけど……)」
話が噛み合っていないために胸の奥がむず痒い。しかしこの話を広げている暇もないため、何も言わずに頷いて返す。
そんなことよりも今度こそブライアンの所にゲートが繋げられたかを確認する。
『天眼』を彼の元に送れば、その牢の内部に不透明の輪が浮かんでいる。
確証を得たのでコランドさんに別れの挨拶を送ってからゲートを潜る。
「──何者だっ」
「っと、待った待った」
しかし俺が姿を現したと同時に、ブライアンと一緒にいた女看守が先程までは確かに持っていなかった小刀をこちらに向けて問うてくる。
突然出来た輪っかから現れた人間。そんな怪しさしかない存在だが、とりあえず両手を挙げて降伏の意を示す。
が、当然ながらその程度では警戒を解かれることはない。
「……お、やっぱり坊主か。どうした?」
そんな彼女の背後からひょいと顔を出したブライアンがそれを一変させてくれる。
彼が俺を知っている様子に女看守は戸惑いながらもしっかりとこちらを警戒している。
しかしこれで話くらいは聞いてくれそうな雰囲気くらいにはなっただろう。
「(ありがとう、ブライアン)」
心の中で彼に感謝する。




