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第八話 伝説の武器

この世界アメハシラにおいて


至高の道具は磨製石器であるが、

究極の武器は磨製石器ではない。


位階によるステータス補正に、

ムスヒによる筋力上昇があるため、


石槍や石斧ではどうしても耐久性に難がある。

そもそも敵対生物の防御力も問題だ。


毛足の長い毛皮

厚い皮下脂肪

硬い鱗


このどれもが、刃物で切り裂く武器の優位性を貶める。

必然的に、膂力を活かした打撃武器の衝撃力が求められる。


もちろんウサギを狩るのに優秀なのは解体も出来る石のナイフだが、

戦闘能力を求める上位者は【石の柱】を武器とする。


『硬い・重い・長い!』

これが武器の優秀さを図る基準だ。


しかし【石の柱】ですらも、

欠けることもあれば、

砕けることもある。


その欠点すらも克服した究極の武器が存在する。


優れた英雄にのみ使用を許される伝説の武器、それは―――





木の棒である!





もちろん、ただ拾ってきた木の棒ではない。


ムスヒによる生命活動の強化を施された、究極の木の棒だ。


この木の棒は、ある英雄の夢によって作り出された。



ただの木材となった木の棒は生命活動を終えており、ムスヒは無効である。


ならば生きている木にムスヒを施そうとしても、


抵抗されてしまうために、上手くいかない。


そのため長年の間、木材をムスヒで強化するのは無理だと考えられていたが、


80年ほど前に現れたある男は、樹木との対話を試みた。


ダンジョン入り口から3kmほど離れた場所にある大木へ足しげく通いつめ、


その半生を賭して、ついに樹木との対話に成功した英雄である。


思考の速度を10分の1ほどに落とせば意思疎通が可能...らしい。



樹木は新たな枝の数本に対してムスヒを施す事に同意し、


長い年月を掛けて真っ直ぐで強靭な枝を伸ばした上に、


切り落とした後にも生命活動を続け、ムスヒによるメンテナンスも可能な武器を授けた。


人間は対価として、接ぎ木や挿し木の手法で、離れた地に植生を拡げる協力を行う。


Win-winである。



最初の一本は5年物の試作品だったが、それでも規格外の有用性を示したため、


1人の狂人の夢から、人類を前進させる希望へと発展した。


現在では複数の職人が技術を発展させながら、


10年育成の枝や20年育成の枝なども生成中である。




最初の技術者は【ヒタチ】

その大木は【気になる木】

と呼ばれている。

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