第十五話 いいから
カヅチと二人、拠点へと戻って来た。
イツキはヒカリに棒を振り回させて遊ばせていた
「いけ!」
の声と共にシノブの脚に向けてヒュッと棒が振られる
まさに天の使いである
抱き上げて「ただいま」と声を掛けた。
「とと」と応じる声がする。
これは死ぬ。
いや死ねん。
今回は熊肉を多めに持ってきたためトイシにも熊肉を与える。
いや、新たに位階3になったとは言え、
カヅチの筋力でも無理なんだ。すまんな。
さらに前回と違うのは背中側の傷が無いため
背面部分の毛皮を、ひとつなぎで入手できたことがある。
これにより、熊の大きさが飛躍的に想像しやすくなるだろう。
カヅチが羽織ってみせているが......流石に一人では足りない。
後ろにもう一人が入った。
シノブも入った。
なかなか楽しい。
食事が済み、子どもたちが場を離れ、大人の時間である。
特に12歳となったタケルは、この時間に残れること自体に興奮している。
その心の内は手に取るように分かる。
全体への情報共有とは言え、どうしてもタケルへ伝える意識が高まる。
特に作戦が上手くいった部分に入ったところで......
左右にコノハたちがスッと出現した。
いつの間に。
「いや、いま良いところ......」
「いいから」
「まだはや」
「いいから」
まさか......
目を向けるとイツキもカエデも笑っている。
シラウメの目に火が灯った気配がする。
タケルは目を輝かせている。
カヅチは...おいやめろ憐れむような眼をするな。
「話はついているのよ」
翌朝にイツキが言うことには
「有効性が高かったなら......再現だろう?」
「聞いていなかったぞ」
「黙っていたからな」
「そうか......」
「タケルには『まずは死なないことだ』と念を押しておけ」
「わかっている」
こうして『いいから』は文化となった。




