第四話 初めての友達
めっちゃ遅くなってごめんなさい!
「ロゼリッタッ!!忘れ物はないか?」
お父様が心配そうにこちらをのぞいてきた。
「はい!忘れ物は多分ありません!!
お父様、心配しないでください。夏季休暇の時には帰ってきますので。」
「ロゼリッタ…!」
「ロゼリッタ様、お時間です。」
レイが時計を見て言った。
私もレイの時計を覗き込んだ。
—— 出発予定時刻を10分も上回っていた。
「お父様!シェリア!みんな!!いってきます!!!」
私はそう言って馬車に乗った。
(このお家ともしばらくお別れね…)
「ロゼリッタ!!婚約者様にはよろしく頼むぞ!!あと、変な男には気をつけなさい。学校生活楽しんできなさい!!」
窓からお父様の顔を見たら、少し涙目になっていた。
私は見えなくなるまで手を振っていた。
「ねぇ、レイ。私、友達できるかな?クラスで浮いたりしないかな?」
私は最近悩んでいたことをレイに聞いた。
「ロゼリッタ様なら大丈夫ですよ」
レイは、最初に会った時には考えられないような優しい笑顔を見せた。
(ダイエット頑張ったけど、過去に読んだ漫画とかだと未来変わんない場合もあるからなぁ……)
「ロゼリッタ様!!見えてきましたよ!ヴェルクレア学園が!!」
(『ヴェルクレア学園』ここで私は……最悪だ。原作のロゼリッタには絶対になりたくない。絶対に……)
「ロゼリッタ様。寮に荷物を置いたら、街に足りないものを買いに行くんですよね?」
「ええ、そうね。……誰にも会わないといいけど」
(無意識のうちに本音を出しちゃった……よかった。レイ聞いてないみたい。)
ガタッ!
馬車が大きく揺れた。
「お嬢様、着きましたよ。」
ドアが開いた。
っ!!目の前に生前、何度も読んだ漫画の世界が広がっていた。
私の寮はヒロインと同じ東棟の寮だった。
「レイ!すごいね!!みて、このベッド!!すごいふかふか!!」
満面の笑みでレイの方を見た。
……なんか、顔が赤くなってる?
「ロ、ロゼリッタ様!よかったですね。荷物運び終わったので、街に出かけましょう。」
レイはいつもより早口で、そっぽを向くように廊下に行ってしまった。
気のせいだったのかしら。そうね、気のせいだった気がする!
それにしてもほんとにいい部屋!!漫画にはあまり出てこなかったから!
私はスキップしながらレイの後を追いかけた。
「戸締まりオッケー!!」
私は上機嫌で階段を駆け降りた。
「おいっ!テメェ聞いてんのかよ!」
「商人の娘のくせに、偉そうにすんじゃねーよ」
「あ、カトリーナ、先生来たかも。」
「チッ、身の程は弁えろよ。"凡人"」
(やばい。めっちゃあからさまなイジメみたいなの見ちゃったんだけど……レイ〜どこにいるの〜)
私、レイが鍵を閉めてる間に勝手に走って階段を駆け降りたからまだ2階にいるのかも……
(さっきイジメられてた子、しゃがんで泣き出しちゃったよ。え、さっきまで立ってて見えなかったけど、キミセカのヒロインのチェルシーじゃない!?絶対そうだよ!!)
綺麗な薄ピンクの髪、まるで動物のしっぽみたいな小さいポニーテール。
うさぎみたいに小柄で鳥みたいな可愛い声!!
ぼーっとチェルシーらしき人物をずっと見ていたら、耳もとに話しかけられた。
『ロゼリッタ様。どうしますか?』
わっ、びっくりした。レイだったのか。
私はもちろんなるべく誰とも関わりたくないから、もっかい2階に戻って反対側の階段から降りるつもりだった。そのはずだったのに……
「ねぇ、君!大丈夫?ここじゃ、あれだから、私の部屋に行きましょう!」
なぜ、私はカッコつけてしまったのだろうか。
弟的なレイに優しいロゼリッタって思われたくて、そしたらなんか勝手に口が先走って……
最悪だ。
せめて、仲良くならなきゃ。嫌われないように——
「あのっ!ありがどうございまず。落ち着いてぎまじだ。ズズッ あたし、チェルシーっていいます!あなたは?」
さすがヒロインって思うくらい、笑顔が可愛くて同性の私もキュンってきた。
「私の名前はロゼリッタ・ヴァレンティア。後ろにいるのはレイ。私の専属従者。」
私が紹介すると同時にレイはお辞儀をした。
「ロゼリッタさん。えぇぇぇ!!ロゼリッタさんってあのヴァレンティア公爵家の!?お恥ずかしいところをお見せしてすみませんでしたっ!!」
「チェルシーさん!顔を上げてください!私たち、もう友達じゃないですか!!」
頭を下げられたらたまったもんじゃない。原作のロゼリッタみたいになっちゃうもん!
チェルシーの方に顔を向けた。
また泣いていた。
「大丈夫?明日入学式なのに目、腫れちゃうわ!」
私が泣かせたみたいになってるし!
「う、嬉しくて…… あたし、3日前に来たんですけど、上級生に目つけられちゃって、楽しみだったから、余計につらくって、友達できるかも不安になってて……でもロゼリッタさんに会って、こんな私でもいいんだって思ったら、嬉しくって……」
「そうだ!!チェルシーさん!!この後、街に買い物しに行くんだけど、一緒に行かない?気分転換にもなるし!」
『いいわよね!レイ!』
小声でレイに伝えたら、少し、ほんの少しだけ不満そうに頷いた。
「行きたいですっ!!」
私とレイとチェルシーで3時間くらい街をぶらついた。
明日の制服をとりに行ったり、新入生歓迎会の時のためのドレスをチェルシーと二人で選んだり、日用品を揃えたり、食べ歩きをした。
「ロゼリッタ様。チェルシー様。暗くなってきたのでそろそろ帰りましょう。」
「そうね。今日は楽しかったですわ!!ありがとう、チェルシーさん!」
「あ、あの、」
チェルシーさんがモジモジしていた。
今日も買い物している途中、たまにモジモジしていた。
(なにか、言いたいことあるのかな?)
「ロゼリッタさん!あたしのことチェルシーじゃなくて、チェルって呼んでほしくて……あ、あの、違くて、家族とかそう呼んでくれてたから、ロゼリッタさんにも呼んで欲しいなぁって思っただけでして。決して、親友になりたいからとかそんなおこがまし——」
「チェル!!私たち親友だよ!敬語も、もうやめよう!同じ年だもん!!私のことは好きに呼んで!!」
「っ!ロゼちゃんって呼んでいい?」
チェルは生き生きした笑顔をしていた。
「うん!!」
このとき、私も生き生きとした笑顔をしていただろう。だってロゼリッタにとって初めての友達、親友ができたから。
「また、明日ね!チェル!!」
「おやすみ!!ロゼちゃん!!明日寮の前で待ってる!!!」
私はまたスキップをして階段を駆け上った。
「ロゼリッタ様!ロゼリッタ様!起きてください!!今日、入学式ですよ!」
「んん、ねむ—— っ!レイっ早く準備して!!」
「よしっ!!いくよ!!レイ!!チェル!!」
寮の前で無事に時間通りに合流でき、そのまま学園に向かった。
「レイ、歩いて5分くらいよね?」
「はい、昨日の夜、測った時はそのくらいでした。」
「えぇっ!レイさん夜、測ったんですか?すごすぎ!!」
「レイ、チェル!見えてきた!」
「すごい人……やっぱり新入生って多いんですね!!」
私は周りを見渡した。チェルが言っていた通り本当に人が多かった。その中に一人だけ頭がぴょこっと飛び出ている男の人がいた。
(ん?なにあの人?新入生かな?新入生にしてはガタイが大き——)
(んんんん?今、完全に目が合ってびっくりした顔してた。
なに??私変なところある?)
そう思い、自分の身だしなみ、周囲の目線を見た。
私に変なところはなかったみたいだった。
「ロゼちゃーん!!入学式始まるよ!早く来てー!!」
このとき、すっかり忘れていた。婚約者のことを。
本当に2週間くらい出してなくてごめんなさい!!
毎日投稿は諦めました!!
……1週間に一回は頑張ります!!
あ、私のもう一つの作品も読んでみてください!!
生まれて初めて、ブクマが一つついてやる気が出ました!!ブクマつけてくれた方、本当にありがとうございます!!




