15◇隠れた池にいきませんかぁ?◇
幼児が1人増えます。
説明話になるのかな?
木漏れ日がキラキラと降り注ぎ森の中の池の水面を眩く反射させていた。
ギルドのある町から歩いて1時間、舗装された道から逸れてしばらく歩くと突如現れるある池は、条件を満たした人しか行きつくことのできないエリアになっていた。
比較的、魔物も魔獣も出ない森だが、その代わりに妖精の住処として有名な妖精の森は誰でも入れるものではないらしい。
妖精の森を抜けるための舗装された道は、保護魔法がされているためそれを辿れば迷うことなく森を抜けることができるが道から逸れれば、妖精の仕掛けた罠にはまる。
罠と言っても、歩いていたらいつのまにか入り口に戻っていたり、薬草だと思って摘めばとても苦くて堪らない雑草だったりといった無害な悪戯程度のものらしい。
妖精と相性の良い魔力もちだけが池まで辿り着けるらしい。
その属性も何かはわかっていない。
水だったり火だったり土だったり、希少な光だったり・・・妖精の気まぐれとも言われているが、一度辿り着けば迷うことは絶対にない。
この池のほとりには月の雫という希少な薬草がある。
他にも巨人の足跡と呼ばれる薬草も天使の涙と呼ばれるものも自生している。他にも希少な薬草はたくさんある。
単独では薬草とはならないがほかのものと複合することですごいポーションができるらしい。ここにある植物のほとんどがそういう薬草みたいだ。
今日はアシュトンさんたちが魔石採取のクエストをすると言ってくれたので私は離れて薬草採取のクエストと一人で引き受けた。
というよりもギルド長から頼まれた。
この森の池の薬草採取は、冒険者レベルは高くないがそこまで辿り着ける人がいないので依頼がいつも溜まっていた。ここ最近森に入れるの様な冒険者はこのギルドに立ち寄っていなかったらしく気が付くと3件溜まっていたらしい。
ラビットジャガーは行動が素早く軌道を読むのが難しいので子連れでは危険だからと尤もらしい理由を付けて依頼を受けてほしいと言われた。
いいんですけどね。
あそこは案外安全だから日の高いうちに帰ってくれば大丈夫。町からそうは慣れていないから私一人でも大概の事には対応ができる。攻撃は本当に苦手だけど必要なら戦う・・・あれが戦うのうちに入るのかどうかはさておき何とかなるまでには経験を積んできたと思っている。
私しか行けないからアシュトンさんたちとは森の中で別れて一人で作業している。
一人でも行動できるんですよ。
周りの人たちに私はアシュトンさんたちがいないとなにもできない子に思われているみたいですが、案外強いんですよ。
一人でも大丈夫だもん。
「まぁま、まなちゃんおなかすいたよぉ」
・・・・・・一人じゃないんだった、マナがいました。
マナもこの森に入れるんです。
元々は道から見えた薬草を摘んで舗装された道から逸れてしまったことがはじまり。
生えていた薬草を順々に摘んで奥に奥に進んでいって、気が付いたら池のほとりに出ていたんです。
その時にマナは背中におんぶ状態でスピスピ鼻を鳴らして寝ていました。
そこに着いた瞬間に、池の傍に咲く花々の蕾が一斉に開き光の粒が放たれた。
舞い上がった光の粒は、ふわふわと虹色に輝きながら、こちらに寄ってきて気が付くと光に囲まれる状態でした。
背中にマナがいる状態で、一瞬にして警戒で体を固くしましたが、目の前の開けた光の中から人の姿をした妖精が出てきて話をしてくれたことでここが噂に聞いていた“妖精の森の隠れた池”なんだと知った。
そこでこの森での過ごし方を教えてもらって、池に来る許可を得ました。
妖精の隠れた池まで来れる人たちですので、大概はこの約束を守っています。
まあ、大まかにいえば薬草の乱獲はしないこと、この場所について広まっている以外のことを言いふらさないこと、妖精に会ったことを言わないこと、ですかね?
会った妖精はこの森の番人だと言いました。
妖精の中でも高位に当たると言っていました。
とってもえらい妖精らしいです。
「ボクも食べたいゾ!」
えらい高位妖精は、5歳児くらいのちびっこでした・・・・・・
ちっちゃな体で偉そうなしゃべり方
カワユス
◇
光の粒を集めたような金の髪はうねりが強くくりんくりんで宗教画などでよく見ていたような天使そのままな姿をして、池の水面と同じアクアマリンのような瞳も大きくて、ふっくらほっぺにバラ色の頬、プルプルの唇。ボクというだけあって男の子らしいキュッと上がった眉。
幼児の独特のポッコリちゃん体系は、白いワンピースのような服からもわかります。妖精の羽は今は仕舞ってありますが広げるとそれは綺麗な虹色の蝶の羽のような姿をしています。
マナが羽を力一杯掴んだことがあり、それからマナを見るとショッと素早く仕舞われてしまいます。
羽を広げた姿はかなりレアです。
こんなにかわいい幼児でも高位妖精なんです。
幼児だからと子ども扱いはしちゃいけないですよね。
いけません!
相手は見た目は子供でも中身はえらい高位妖精です。
えらいんですよ!
「マナほっぺにパン屑ついてるわよ」
薬草の群生地から少し離れて敷物を敷いて持ってきたお弁当を広げてランチタイムです。
食堂のキッチンを借りて作ったサンドイッチとキッシュ、それから果物をいくつかと果実水をバスケットに詰めて持ってきました。
マナがいるのでサッと行ってサッと帰るなんてできないのでお弁当も結構な量を詰めてもらいました。
かわいらしい妖精さんはマナと並んでちょこんと敷物に座って揃ってサンドイッチを口いっぱいにほおばっていた。
かわいらしい幼児2人を眺めながら持ってきた果物の皮を剥き、できたものから皿にのせていく。
両手が果物の汁でベタベタしていたから、マナの柔らかほっぺにキスするようにパン屑を口で取った
「・・・ん~、いいなぁ。ボクもとってほしいゾ」
「え~、えたはだめぇ~。まなちゃんのままだよぉ」
「マナだけ狡いぞ。ボクだってほっぺにチュウしてほしいゾ」
むぅっと口を突き出して頬っぺたを膨らますこのかわいらしい幼児が高位妖精のエタです。
最初は『エタ様』って呼んだら様はいらないって言われてしまって恐る恐るエタと呼んだら喜んで下さいました。
それから来るたびに、マナと一緒に駆けっこしたり木登りしたり池に入って水浴びしたり・・・今日は池に入るのはやめてよ、いくら晴れてるからってもう寒くなってきてるんですからね!
えらい妖精のエタは何でもマナと一緒がいいらしい。
私にチュウして欲しいのではなく、おそらくマナがするならボクもって言うことだと思います。
もう完全に幼児らしくてかわいらしいけど・・・えらい妖精さんなんだよね?
目の前でマナの!ボクも!って言い合いが始まって、もうどう見ても子供のじゃれあいだわ。
思わずクスクス笑いだしてしまって益々ふくれっ面になる二人。
あらあら、すいませんね。
「うふふ、ごめんごめん。あんまりにも二人がかわいらしくてね。これで許して」
そう言って二人の両ほっぺにチュッて口付ける。
するとそれまでかわいらしく膨れていたほっぺは、にっこり笑顔に
これでご機嫌な二人。
なんてかわいらしいんでしょう。
ご機嫌な二人は再びパクパクと食事を再開。
午後からも薬草採取して早く町に戻らないと!
読んでくださりありがとうございます。
ストックがなくなったので、次は水曜日に投稿できたらと思います。
これからもよろしくお願いします。




