表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/38

11◇それぞれ思い出しませんかぁ?その4◇

遅れてすいません。予約投稿間違えてました。


ジェフ視点です。






バシャっと聞こえた水音でやっと顔を洗い出したことをしった俺は居間にもどった。

昨日のようなことがあんな狭い空間で行われでもすれば、止めるのに一苦労する。


まさか、アイリが説明に行くと思わなかったが、何もなくてよかった。

さすがに昨日の様にヒステリックになっているフィオナを止められるのはクレイじいさんだけだろう。いまはヒューと一緒の外にいる。まあ、いま見た感じくらいなら俺でも大丈夫だろう。

アシュは・・・、ムリだな。女同士の諍いなんてこんな朴念仁に止められない。なにせ理由がわからないからな。姉が2人もいるくせに何故、女心に疎い男なんだと思う。まあ、周りに()()()やさしい男だからなぁ。女の悋気なんて知りもしない見せられたこともないだろう。ある意味幸せだが不幸でもある。


4歳下のアシュもヒューも俺にとっては弟のように思っている幼馴染。いつも楽しいことを追及しているヒューに振り回されているアシュ、行き過ぎた時それを止めに入る俺。そこにいつの間にか入り込んできたフィオナ。フィオナはヒューよりも行動的で女のくせに男顔負けの負けず嫌い。ヒューといつも何をやらかすかヒヤヒヤすることが多かった。王宮の庭園で木登りを始めた時には肝を冷やした。城に上がっている時だ、いつもと違って貴族令嬢のように着飾った様相でだ!せっかくきれいに着飾ってくれた城の侍女たちの努力を瞬時に無駄にさせてしまう女、それがフィオナだった。もちろん本人には悪気はないし幼いころの話だから笑い話ですまされることだが、ヒューと二人で木に登り太い枝に腰かけてるのを見上げた時は、下から見えるいつもと違うフィオナの色々が一足早く思春期を迎えた俺には困ったことになって、いまだに笑い話になりがたい思い出話だ。

世話をする妹が一人増えたものだと面倒を見ていたが、やっぱり女の子なんだよなぁ。

いつの間にかアシュに恋愛感情を抱いていたようだった。自覚したころだろう、全く気が付かないアシュの紳士的な態度や親密なスキンシップに一喜一憂するところなど、フィオナがアシュに恋していると分かりやすかった。行き場のない思いを聞いてほしかったのだろう、いつだったかいきなり俺に話をしだしたときは、驚きよりもよりによってなんで俺に相談相手を指名してくるかなぁっと天を見上げてしまった。

男の子と一緒に駆け回って遊ぶことに隔たりのない、幼少の頃ならまだしも冒険者パーティーに押しかけ参加してきた12歳からはきっちり女性扱いをしてきた。

王都に住まい貴族の女たちを見てきた俺にとっては、森の中でクレイじいさんと貴族のしきたりなんて全く知らない自由なフィオナは最初から魅力的だった。幼少のころは妹のようなものと思っていたがやっぱり妹じゃない。


旅の中で野営もしていたが、そこはやっぱり意識する前から一緒のテントでは寝づらい。最初こそ同じテントで寝ていたが俺らだって年頃の男なわけで。いくら幼馴染とはいえ、本人は女性らしい丸みが付かない少年と変わらない体形だと言ってもそうはいかない。

何度かそれとなく、テントや宿屋の部屋を別にするように相談していたのだが、本人は全く意に介さず。宿代を浮かせたいだの、安全面的にみて同じテントがいいだの聞きやしない。俺だけでなくヒューやアシュだって困ってきたものだから、クレイじいさんに助けを求めれば、一度襲ってやれば女としての自覚が付くだろうと、大凡、自分の孫娘に関してとは思えない事を言い出す始末。

まあ、そのあとさすがに咎めてくれたおかげで何とか納得したみたいだが。相当、渋々だったけど。

日に日に、成長していくフィオナは本当に魅力的で本人が自覚をしないまでも、女性らしい色々な成長をしていた。

そんな変化を、意識して兄のような気持ちで見守っていた()()だった俺としては、恋愛相談するなよと恨みがましく思うのは仕方がない。いや、仕方ないはずはない、けどやめてくれっと思ったんだ。

なにせ相談されてから気が付くほど、鈍かったんだからなぁ。


まさか、自分がフィオナを最初から女として意識していたなんて・・・

人のことを言えやしない、俺も鈍感にもほどがある。






コトっと目の前に湯気の立ったカップが置かれた。

『アイリ』が戻ってから冷めた飲み物を入れ替えてくれたらしい。


「ありがとう」


同じように入れ替えられたカップを嬉しそうに受け取ったアシュ。

アイリはそれに微笑んでから、また炊事に戻っていった。おそらくはフィオナの朝食の準備だろう。

その後ろ姿をさっきから飽きることもなく、眺めているこの男もフィオナがこちらに来るまでどうにかしたほうがいいだろう。

こんなにわかりやすいやつもいないだろう。

アイリに好意を持っていることがこんなに駄々洩れ状態だと、フィオナがまた暴走しかねない。こいつもこんなに女好みの容姿をしている癖に俺の知る限りだと恐らくはこれが初恋じゃないかと思う。

20歳になったんだよな。遅い初恋だなぁ。浮かれるのも仕方がないかもしれないが今はこのままは良くない。


「アシュ、気持ちはわかるがそんなに()()()()ばかりいるのはどうかと思うぞ」


机の下で足を蹴り、注意をこちらに向けてから小さく一言注意しておく。

ちょうどよくフィオナが、出てきたばかりでタイミング的にもよかった。

フィオナは顔色もいいし、とくに強張った様子もない。一晩眠って少しは落ち着いてくれたみたいだ。

アイリは、フィオナがアシュの隣に座ったのを確認してから、朝食を前に並べた。

フィオナもそれを並べられている最中から、黙々と口に運び出す。

この間、誰も口を開こうとしない。


並べ終わると今度は、自分の分のカップを手に持ち、おれの隣に座りフィオナの食事が終わるのを大人しく待っている。

アイリが入れてくれた飲み物は、薬草茶だと言っていた。

クレイじいさんの薬草を使って、アイリがブレンドしたと言っていた。

体にいいからと、味を考えずになんでもぶち込む爺さんの薬と違って、普段から嗜好品として飲めるように合わせましたと昨日言っていた。薬草の効果を爺さんに聞きながら試行錯誤したとか言ってたな。

確かに甘い香りに爽やかな味、かすかに苦みはあるがじいさんのアレを思えばいつも飲めるような味だ。なんでも朝にぴったりに爽やかで落ち着た、それに少しスパイスの効いた目覚めの一杯らしい。

それを口に含んで、この沈黙の状態をどうしたものかと思案する。


「・・・で?あんたは何者なのよ」


沈黙を最初にやぶったのはフィオナだった。

この空気に耐えられなかったのか、いつも話しながら食べても早食いが今日は無言であったことでさらに早く、もうすべての皿は空になっていた。


「言っとくけど私はあんたの事、信用してないから・・・」


いや、その食事は『信用してない』と言っているアイリが作ったんだぞ。それなのにきれいに平らげるなんて・・・なんと言うか。

アシュも同じことをおもったのだろう。何か言いたげにしたが俺がそれを睨んで制した。

この場合、当事者以外は必要とされていない限り口をはさむもんじゃない。ただ脳内突込みが多くなりそうだが。

薬草茶をフィオナも口に含み、ふうっと息を吐く。


「・・・あの、私はアイリと言います。えっとフルネームは越智愛李というんですけど、アイリとよんでください。おじいさんから詳しくはみんなさんが集まってから話すように言われていますのでそうしたいとおもいます。すいません」


そういえば、じいさんから昨日そう言われていた。

自己紹介として名前だけは明かされお互いに名乗りあいはしたが、それ以外はフィオナも交えてにしようと言われてしまった。

その後、いろいろ・・・そう色々、びっくりするような内容を見聞きしたのでわすれていた。


「フィオナさん!でいいんですよね?自分の家に見知らぬものが勝手に居ついて、よくない感情があるのは承知していますが、申し訳ないのですがもうしばらくここにいさせてください。」


アイリはいきなり立ち上がり、フィオナの傍に行くと両手を胸元に握りしめて必死な顔でお願いをしてくる。

零れそうに大きな瞳はツンとしているのに、ハの字の形になった細い眉が弱弱しくアンバランスで庇護欲をそそる。その上、緊張から少し青ざめた頬や赤く小さな唇は震えている。

こんな姿を真正面からとらえた男は、一二もなく承諾するだろう。

これ程の美少女の必死なお願いだもんな。

現に隣に座っているアシュに至っては、頬を赤く染めているし。

フィオナがアイリのほうを向いているからそれに気づく様子もない。

よかった。

そんなアシュの姿を目に入れた時は、昨日の二の舞だ。


フィオナはというと、こういう仕草は従来同性には効かないという定説通りつーんと澄ました表情は変わらない。

そういえばこいつは昔から俺ら、主にアシュだが絡んでくる女たちをあしらうのがうまかった。それこそ近づくためにフィオナに媚を売るのもいたなぁ。そんな女たちはいつもフィオナに返り討ちにあっていた。普通に女性として男性から魅力的でも、女性目線ではそうでないということが間々あること。

フィオナにとっては、この子のこの仕草もあざとく見えるものなのか?


「・・・・・・・・・・・・好きにすれば」


プイっと顔をそむける。

その顔は少し赤らんでいた。

いつもと違う反応にこっちも戸惑うが、この子は違うのか?好きにしろってことは許諾したでいいのか? 

しかも、なんでそんなに顔を赤くしてるんだ?

フィオナにそういう種のことはないと思うが・・・この子相手ならあり得ない話ではないな。

いろんな意味で、このアイリとフィオナは混ぜたら危険だ!


「ありがとうございます!!!」


フィオナのぶっきらぼうな言い方に比例して、跳ねるように嬉しそうに礼を言うアイリは表情も少しゆるんでいる。


「っ、それより!あれなんなの?ジャグチって何?なんであんなとこから水がでるのよ?付与って何?」


気になるところはそこかっ!

確かに俺らもそこは気になっているが・・・


「えっと、それも含めて皆さん一緒がいいかと思います。あっ!お帰りなさい」


魔術バカなヒューのいないときにそんな話をしないほうがいいだろうと俺も内心同意していると、建付けの悪い扉が開き外に出ていたヒューとクレイじいさんが戻ってきた。

ヒューの手には大きな木箱があった。

あれは物置に置きっぱなしにしてある、雑魚魔石を詰めたもののはず。


「ねえねえ、早く見せてよ。付与ってどうやるの?早く」


入ってくるなり、抱えている箱をアイリの前に置き、頬を紅潮して嬉しそうに詰め寄るヒュー。

やっぱり魔術バカだった。

昨日、家に入っていくつかの家具に仕込まれた魔石が、この少女の仕業だと聞いた途端すごく興味を持ったが、フィオナがいないときに話をすれば二度手間だとじいさんに一喝されて、仕方なく口をとじていた。

そうか、これを取りに行っていたのか。


「えっと、あの?」


グイグイくるヒューに圧倒されているアイリ。ヒューのあとからゆったり入ってきたじいさんがフィオナに一瞥する。


「・・・やっと起きたかバカ娘。」


「娘じゃないわよ、くそジジィ。」


昔から見慣れた、いつもの挨拶。

アイリははじめはその言い合いに目を見開いて驚いていたが、フィオナの使い終わった食器を片付けあらたなお茶を2人の前に出した。


「さて、どこからはなそうか」


クレイじいさんの声に、やっと『アイリ』について話してもらえることになった。

お茶と共にアイリがテーブルにお茶請けを置いた。緊張した面持ちで椅子に座りゆっくりと話し出したことは、俺たちが思っていたよりも大変な話だった。



そりゃ、保護するはずだと俺は納得したが他がそうとも限らないことをもっと考えてみればよかった。


アイリとの埋まらない溝はその時にできた。


あのとき俺は、なんで離れたんだろう。





アシュには姉が2人の末っ子長男

ジェフは2人兄弟の次男

ヒューは2人兄弟の長男

今はフィオナは一人っ子ですが弟を亡くしています。

いずれ兄弟も話に出てきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ