神様
「最初の最初の宝玉は神力だけだった。それは知ってるかな?」
「えっ?」
目の前の神様はにっこりと笑って私に近づいてくる。
「あのね、宝玉はね、僕たちの一部なんだ。」
「えっと?」
「一番初めの宝玉はね、この世界を救いたいと願った女性を愛した神が自分の一部を切り離して渡しことが始まりなんだ。」
えっとえっと、それって。
宝玉は、神様の力を形にしたものじゃなくて、神様の一部分?
えっ、それって。
「自分の一部を切り離し、その女性に埋め込んだことによってその女性は神の力を使うことができた。それが始まりなんだ。」
「神様の一部を埋め込んだ?」
「うん、そう。だから彼女たちは普通の力よりも強い力を使える。なんたって神様の一部を入れた、神に近い人間だから。」
えっと、えっと、えっと?
宝玉は神様の一部。
それを埋め込んだのが宝玉の乙女。
つまり、一部分は神様?
だから宝玉の乙女は普通の人とは違う?
「神に近い人間。」
「いや、違うな。人間とは違うものとなってるね。人間というのは少し可笑しい?でも、まぁ、説明としてはそれであってるかなぁ?」
「…でも、今は…。あの。」
「うん、今のある宝玉はね、長い年月が流れ、最初の宝玉が細かくなってしまったものなんだ。」
最初の宝玉が細かく?
えっ、だって初代様の宝玉はちゃんと帝国が持って。
「嗚呼、あれは外側だけだから。一応あれも少なからず神の一部だけども。それでも皮でしかないんだ。本来の宝玉は目に見えないものだよ。なんたって神の一部なんだから。人間でもちゃんと価値が分かるように目に見えるようにしたものでしかないから。」
「えっ?えっ?」
「本来、宝玉は最初の女性の中にある。体中を巡っていたんだ。」
えっとー。
それって一体、どういうこと?
じゃあ、今いる宝玉の乙女様達はなんで生まれた?
初代様は神様から貰ったから宝玉の乙女となった。
でも今いる宝玉の乙女様達は?
生まれにして宝玉をもっていたと言っていた。
「嗚呼、不思議に思ってるね。つまり、今、宝玉がある女性は、皆、最初の女性の子孫なんだ。」
「えっ!?」
「まぁ、子孫でも、宝玉を受け継ぐかどうかは確率でしかないみたいだね。しかもその確率はどんどん低くなってるね。」
「え?」
「まぁ、どんどん分けているからね。だから外に現れるほどの力もなかなかないし、現れても弱くなってるんだよ。」
なるほど?
力が弱くなってるのは、神力が弱まっているのは少し違って、どんどんどんどん最初の宝玉を分けているから?
「まぁ、力が弱くなったから、誰か他のものに力を注いでもらわないといけなくなったんだ。」
「パートナーに魔力を分けて貰う。」
「そうそう。最初の女性はその必要もなかったんだけども、さらに力を出すためには貰った方がいいよーとはいったそうだけど。」
「えっ、そうなの?」
「うん。だから宝同石の作り方を教えてあげたそうだし。まぁ、だからこそ、今の現状が生まれたんだけどね。」
「へっ?」
今の現状?
それってどういうこと?
「宝同石って、パートナーに渡すってなってるでしょう?」
「うん、そうね。」
「そのパートナーは宝玉をもった人を心の底から愛しているものじゃないと魔力を渡せない。いや、寧ろ、魔力を吸い取りすぎて死んでしまうこともあるってのは知ってる?」
「えっ?」




