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覚醒石

「あなたは優しく強い子よ。この数ヶ月で実際に見て一緒にいてそのことはよく分かったわ。」


「師匠。」


「だからもしかしたらという希望がなかったわけではないの。あなたならもしかしたらって。でも、今のあなたの瞳を見て感じたわ。アデルには根拠のないことをいうなと何度も言ったけど、言わせて。あなたならきっと宝玉の乙女になれるわ。それこそ初代様と同じ、いえ、それ以上の。だから打ち勝って。もう二度と会えなくなるのは嫌よ。」



師匠は笑う。

私を信じてくれている。

それがよく分かる。

嗚呼、私は私を信じてくれている人のためにも。



「宝玉の乙女になります。必ず。そして、師匠。なった時には宝玉の乙女として修行をつけてくださいね。」


「えぇ、勿論よ。」



にっこり笑う師匠に私も笑みをかえす。

そしてアデル様の持っている箱から覚醒石を手に取り、口に入れる。

少々、飲み込むのに苦労するが、飲み込めた。



「えっと。」


「嗚呼、大丈夫。すぐに起きるわけじゃないから。」


「えっ?」


「覚醒石が馴染むのは丸一日かかるから明日のこの時間に始まるはずだよ。だから、今日の夜からレイちゃんのお部屋には強力な結界を張らせてもらうよ。なんたって、初代様の宝玉の欠片だからね。何が起きるか分からないから。そして、結界を張ったらその後はレイちゃんが中から開けないと誰も開けれないからね。だから、ちゃーんとレイちゃんが起きてね。」


「はっはい。」



何起きないから唖然としてるとアデル様が説明してくれたが、そうか、飲んだからすぐ始まるわけじゃないんだ。

1日。

そうか、今はまだ朝。

だから、今日寝たらきっと、もう私は目覚めずに覚醒への試練が始まるんだ。



「だから、もし、誰かに何か言いたいことがあれば、今日のうちに話しておいてね。」


「言いたいこと。」


「そう、例えば、他の宝玉の乙女達や、アーニャ。それに勿論、リュウ君とかね。」


「…。」



リュウ様に、か。

何を伝えると言うのだろうか。

多分、きっとリュウ様はこの行為をとても怒ると思うから言いたくはない。

リュウ様に知られるときっと面倒なことが起きる。

それが分かっているから、決心してからリュウ様に見つからないようにすぐに師匠のもとにやってきたのに。



「嗚呼、リュウ君にバレたくないんだっけ。そうだよねー。でも大丈夫。」


「えぇ、私達は何も言わないわ。それにリュウには明日の朝から帝国の方に行くようになっているわ。レイの覚醒がどれだけ時間がいるかは分からないけども、とりあえず邪魔されることはないわ。」


「そうですか。良かった。」


「さてさて、じゃあ、僕達も準備があるし、レイちゃんも色々と合う人がいるだろうし、解散としよう!」


「そうね。レイが夜戻ってくるまでには全ての準備を整えておくわ。だから、部屋に戻る前に1度ここにまた来てくれるかしら。」


「はい、分かりました。」

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