覚醒石
アーニャさんがそれほど時間が経たずにアデル様がやってきた。
アデル様はにこにこ笑いながら師匠の横に行きこちらを見る。
「どーしたの?サーちゃん。」
「分かっていて聞くな。本当にあなたの思った通りになってるのね。」
「そっかそっかー。やっぱりレイちゃんは、初代様と同じ優しい子だね。だからこそ、初代様の宝石がきっと合うよ。」
「初代様。」
初代様って、神様から力をもらったという宝玉の乙女の初代様のこと?
しかし、初代の宝玉が合うって一体。
「アデル、持ってきてるのでしょう?」
「あぁ。もちろん。」
そう言ってアデル様が出したのは頑丈そうな鍵が着いた箱。
それにアデル様が何か呟くと、箱は自然に開く。
そこにあったのは黒く輝く宝石の欠片。
「それは?」
「初代様の宝玉の欠片だよー。これねー、帝国の方に保管されてたんだけどねー、初代様並の力をもつものがいるから頂戴って貰ってきたんだー!」
貰ってきたんだーって軽いですけど、とても大事なものではないですか?
そんな簡単に貰ってきていいんですか??
「大丈夫大丈夫ー!見届け人として、帝国から王子様が来てるわけだしー。」
「だから来たんですね。」
「そうそう。」
「っで、アデル、それをどうするのかしら?」
師匠はアデル様を見ずに続きを促す。
アデル様はそれを気にせずににこにこと笑っている。
「これをねー、レイちゃんが飲むの。」
「えっ?」
「ゴックンって飲むんだよー。」
「飲む?」
「そう、飲む。」
えっ?えっ?
飲むって?
その欠片を?
飲むことは出来そうですけど、それを飲んで大丈夫なんですか??
「大丈夫じゃないわ。だから、危険なのよ。」
「うんうん、宝玉を飲む混むんだから危険だよねー。だって、あれ、力の源だし。飲んだら体に悪影響を及ぼすよねー。」
「力が体を蝕むし、それよりも精神を蝕むわ。だから、この方法をした者たちは無事には居られなかったのよ。」
「でも、レイちゃんならきっと大丈夫ー。」
「大丈夫、なんでしょうか?」
「レイ、アデルの言うことをまともに聞くことはないわ。危険はレイ、あなたも確実にあるのだから。」
「もうサーちゃんは、怖いこと言うねー。」
「当たり前でしょう!!そんななんの根拠もないことを!!」
師匠が怒るが、言っていることはその通り。
根拠はないことではあるんだ、アデル様の大丈夫は。
私もほかの人たちと一緒。
まともに覚醒出来るかは分からない。
でも、私は。
「覚悟は出来ています。だからこそ、この宝玉の欠片を見せてくださったんですよね?」
「うん、そうだよー!だからサーちゃんは呼んだんだよね!」
「はぁ、確かにそうだけど。」
ため息をついて、ようやく師匠は私を見る。
「レイ。あなたの覚悟を私は信じたい。いえ、信じてる。」
「師匠。」




