魔力
「な、の、で!」
話をしていたリィナさんが急に満面の笑みを浮かべて近寄ってくる。
えっと、一体、なんでしょうか・・・。
「レイ様に私のパートナーになっていただいてもー。」
「リィナ!!」
「なんですかー?」
「なんで、レイがお前のパートナーにならなくてはならない!っというかまだ言うか!」
「何度だって言いますよーだ。私だってパートナー欲しいですもん!!」
怒るリュウ様に対して、リィナさんは素知らぬ顔で対応している。
そんな様子をライアさんは苦笑してみている。
「ライア!止めろ!」
「えっ、これに関しては無理ですよ。宝玉の乙女にとってパートナー選びは真剣で、リィナも冗談で言ってるわけではないですし。」
「えっ!?」
今、ライアさん、なんて言いました?
リィナさんが冗談じゃないって・・・?
「レイ様、一応リィナは冗談で言ってるわけじゃないんです。」
「えっ、えっ?そうなんですか?」
「えぇ、一応リィナも宝玉の乙女なので、パートナーになってほしいっていうのは冗談では言えないですよ。」
「そうですよー!私たちにとってパートナー選びはそれこそ生死を分けるぐらい大切なことですから!冗談なんかじゃ言えません!」
驚いている私にライアさんが苦笑しながらも真剣であることを説明してくれる。
宝玉の乙女にとってパートナーは基本生涯1人。
パートナーの持つ宝同石は仮の宝同石とは違い、その宝玉の乙女が生涯唯一作ることができるたった一つの宝同石。
この宝同石を持つことはお互いのつながり強くなる。
それは感情であったり、心情であったり。
お互いがお互いに分かってしまう。
隠したいことさえも。
故に、パートナー選びはとても真剣で。
冗談では言えないのだという。
「それこそ、旦那選びよりも真剣ですよー!」
「えっ!?そうなんですか!?」
「そうですね、宝玉の乙女にとってはパートナー選びの方が大事ですね。旦那は途中で別れたりできますけど、パートナーはできませんから。」
「え、でも、それこそ旦那さんがパートナーでは?」
「まぁ、その場合が多いですけど。それ以前にパートナーを見つけているものも居ますから。」
「そうなんですか?」
「えぇ。うちにも居ますよ。姉が宝玉の乙女で妹がパートナーっていう人たちも。」
姉妹でパートナー。
そんな人たちもいるんだ。
ん・・・いや、でも!!
「そんな大事なパートナーを何故、私に!?」
「えっ?だって、私、レイ様ならお渡しできるって思ったんですもん!」
そうにこっり笑って言うリィナさん。
いや、いやいやいや!
「なんの理由にも、説明にもなってません!!」
「えー。そうですかー!?」
「そうです!第1、私は異世界の者で、魔力もないですし!!」
そう、私は違う世界からきたやつだから、魔力無しですし!
魔力がないと意味がないですよね!
神力がないと困っている宝玉の乙女に魔力を受け渡すのがパートナーっていう関係なのに!
なのに、魔力無しじゃパートナーの役割はできません!
「えっ?レイ様、魔力ありますよ?」
「え・・・え?」
何を言って?
「だーかーらー、レイ様、魔力ありますって!」
「何を言ってるんですか!?」
私に魔力があるわけ!
「ん?レイに魔力はあるぞ。」
「はっ?リュウ様、今なんて?」
「レイに魔力はある。この世界に来た当初から。」
「そんな・・・馬鹿な・・・。」
私に魔力があるわけ・・・。
そんなことがあるはずが。
だって・・・、前回の世界で。
「私に魔力は一切ないって診断されて・・・。」
そう、そうなのに・・・。
「菫はあって、でもおまけの私には一切なくて・・・。だから、だから。」
思い出される前回の世界での最初の記憶。
忘れたいのに、忘れられない嫌な記憶。




