「何でここにいる?」
──ブチッ、ブチッ、ブチッ
「はぁ、かったりい」
俺は今何故か校舎裏の草むしりをしている。
めんどくさい……
奏のことは白咲に頼んだから、多分大丈夫。
何故こうなったかというと、さっき……
───久しぶりね比呂
「お前は……雪代エリナ。何でここにいる?」
俺は久しぶりに驚いた。
エリナは俺の返答にむすっとして、腕を組んで少し怒ったように言う。
「何でって、私はここの生徒よ。しかもここの生徒会副会長。何で知らないのよ。て言うかすぐに私のところに来なさいよ」
副会長?マジか……
「悪い、全然知らなかった」
エリナは呆れたようにため息を吐く。
「まあいいけど、その代わり!」
エリナは俺に迫る。俺は苦笑を浮かべて、
「その代わり……?」
「草むしりお願いね?」
エリナはニコリと笑う。かなり怖い……
「は、はい」
と言うわけで今草むしりをしている。
簡潔に言うと雪代エリナは俺の従姉妹。歳は俺の一つ上。お袋の旧姓が雪代だからお袋のほうの親戚だな。
エリナは白銀の背中まで伸びた長い髪が特徴的。エリナ曰く容姿端麗、成績優秀らしい。
まあ容姿端麗は認めるけど。普段は優しいけど怒ると怖い……さっきみたいな笑みは特に。
──ガラガラッ
「草むしり終わりましたー」
生徒会室に行くとエリナともう1人……
「って、何でお前がいる」
俺はエリナの横にいた人物を指差して言う。
今日だけで2回も驚いた。どうなってんだ。もう疲れるこれ以上はやめてくれ。
エリナの横にいた人物は髪を踊らせながら振り返り、
「あら、比呂くん。お久しぶり」
そう言うのはエリナに良く似た風貌の大人の女性。髪は白だがエリナよりは短い。
身体も……うん、エリナの2倍ぐらいの大きな実を実らせている。エリナもそれなりに大きいけど。
優しい雰囲気を醸し出し、大人独特の色気があるこの女性は雪代杏香エリナの姉だ。
「何でいるんだ。杏は生徒じゃないだろ」
俺の問いに杏は惚けた表情を浮かべて、
「何でって、言われても……私、ここの先生だし」
「は?杏が……先生……?」
唖然だ、何も言葉が出ない。
「そうよ比呂、姉さんは1年生のクラスの担任よ」
「ふふっ、比呂くん驚いた?」
杏は花が咲いたように微笑んだ。俺はなんとか落ち着きを取り戻し、
「ああ、まあな。じゃあ俺はもう帰る」
「あ、待って。比呂」
エリナが俺を呼び止める。
「何?」
エリナはうつむいて、言いにくそうに口を開いた。
「その……、学校での調子はどう……?」
「大丈夫だ。心配すんな」
「でも……」
「気にすんなよ。あれはエリナの所為じゃない」
俺はそれだけ言って生徒会室を後にした。
「エリナ、気にしてたの?」
「……うん、だって比呂は私の所為で」
「大丈夫よ。比呂の言う通り心配ないわ」
杏香は優しくエリナの頭を撫でた。
「姉さん……」
うーん……