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Parallel(パラレル)  作者: 神山 備
第二部指輪の記憶
71/71

『朝』

『これが僕の本当の気持ち。でも、君が覚えているのは少し辛すぎるかな。だからこれは僕がみんなあっちに持って行くよ』

長い長い龍太郎の『告白』が終わった後、龍太郎はそう言って夢を見ている夏海の前からすっと姿を消した。


 その時、夏海の耳元でペールギュントの「朝」が流れた。家族の弁当を作るために五時半にセットしてある携帯のアラーム機能が作動したのだ。耳の良い夏海は、無粋な目覚し時計のベルの音が嫌いだ。その代わりに携帯を耳元にボリュームを落として置いているのだ。その方が横に寝ている雅彦を一緒に起こしてしまわない。

 

昨晩は龍太郎の夢を見ていたような気がする。しかし、夏海は内容をちっとも覚えてはいなかった。たった一つ覚えていたのは、龍太郎が亡くなった日に見た夢と同じ、

『海、僕は最初から君を、君だけを愛しているよ』

という言葉だけだった。


 さぁ、朝の用意をと思って台所に出た時の事だった。いつもは最後まで寝ているはずの明日香が、トイレから出てきて、夏海の顔を見た途端泣き顔になった。

「お母さん、血が出てるよ。私、病気になったのかな」

そうか、明日香も……私には母としての仕事もまだ残っている。夏海は明日香に微笑むと、

「明日香、それは病気じゃないのよ。大人の仲間入りなの。心配しないで、教えてあげるから。まずは、きれいにしようね」

そう言って、夏海は明日香を洗面所に向かわせ、下着を取りに行った。


 ねぇ、龍太郎、あの時あなた『待ってる』って言ってくれたんだよね。でもゴメンね、私もう少しだけ行けないわ。

 私にはこのパラレルワールドで、迷子になった私を助けてくれたマーさんや、子供たちへの恩返しがまだ残ってるの。それが終わったら迎えに来てくれる? 私も『待ってる』

 夏海は窓から見える東京に続く空に向かってそっと囁いた。

                               ―――Fin――

神山でございます。


以上をもちまして、「Parallel」完結でございます。


……ですが、いきなり明日から、Parallelのパラレルワールドに突入いたします。


しかも、元々ブログでは夏海と龍太郎が別れるまでは同じ展開なので、分岐後しか書いていなかったこともあり(以後、かなりプチな変化ですが別物として加筆しました)分岐までを明日、一挙掲載し、明後日から分岐後を連載いたします。


タイトルは「my precious」彼ら二人に龍太郎の親友梁原健史が乱入してきて、「Parallel」とは全く違う人生を二人は歩むことになります。


よろしければ引き続きお読みいただけましたら幸いです。

                     神山 備

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