エピソード6
「なんですって? 結婚?!」
目の前で口を大きく開けて目を見開いているのは、友達のルビア。
ひとつ上の彼女の家は侯爵家で、領地が隣同士だったことと父親同士が学生時代から付き合いがあった事で彼女とは幼い時から姉妹の様に仲良くしている。
「ええ、急な事なんだけれどね」
私はルビアに隠す事なく全てを話しました。
彼女は家族以外では最も信頼出来る人だから。
「そう… 今回の事ではうちはあまり力になれなかったものね…」
侯爵家ではルビアの姉のレリア様が結構な持参金を持って隣国へ嫁がれる事になっていました。
そこへ今回の大嵐が来たのです。
隣の領地である侯爵家も少なからず被害が出ていました。
娘の為の支度金と、領地の建て直し予算で侯爵家の財政は一時的に厳しくなっていて、我が家を助ける余裕なんてなかったのです。
ルビアはその事を気に病んでいるらしい。
「ルビアったら、そんなのお互い様でしょ?
レリア姉様のお祝いも保留にしていただいているのだから。
それに、あなたも知っているでしょ?
私が婚約者もいない上に全然相手を探しもしていなかった事」
「そうね、あなたったら、男の人の誘いをかわしてばかりだったわよね」
ルビアは気乗りしない私をせっせと社交場に連れて行ってくれていた。
「だって、寄ってくる男なんて見るからにハズレなんだもの」
貴族の次男三男で成績が悪くて、なんとか騎士団に入ったけど、落ちこぼれ寸前の人とか…
文官見習いから昇格出来ない人とか…
私の相手になれば、伯爵家のコネでなんとか将来が開けると本気で考えてる。
頭に花が咲いているようなお気楽な人ばかりなんですもの。
「いつかはこの家の為になる結婚はしようと覚悟はあったけど、なかなかまともな人がいないから。
私の理想があるとすれば、優秀で仕事の出来る人っていつも言っていたでしょ?
これは叶えられそうだと思わない?
探す手間も省けた事だし」
そう…ロエベ子爵令息はやり手だからこそ、今この国にはいないのだから。
「でも、まだ会ってもいないのよ?
顔も知らないじゃない。
もしスッゴい不細工とか、背がめちゃくちゃ低いとかだったらどうするの?」
半分心配半分からかう様に言うルビア。
「あら? ルビアもロエベ子爵は見たことあるでしょ?
子爵曰く、息子は私によく似ている。
ですって」
「うーん。そうね…
なら、問題無さそうよね…」
「それに、2年後にもし私が嫌なら離婚しても良いそうよ」
まだ、考え込んでるルビアに
もしもの時の切り札を切る。
それを聞いたルビアは、少し考えて息を吐いた。
「おめでとう、リディアーヌ。
あーあ あなたに先を越されるとは思わなかったわ」
やっと納得してくれた、心配性の友。




