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はじめまして、顔も知らない旦那さま「顔も知らない旦那さま改定版」  作者: 宮崎裕子


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エピソード20

私はパティと一緒にパン屋に行くことにしました。

パティはお母様が送ってくれたクッキーをかごに入れて持っています。


お母様はクッキーの他にくるみのケーキも送ってくれていたので、それも一緒にかごに入れています。


「こんにちは、おばさん。

遅くなってごめんなさいね。

頼まれていた新しいレシピの事なんだけど」


「あれ? リディアーヌお嬢さん。

私の言った事覚えていてくれたのかい?

北の方じゃ大変な災害で領主様の所は大忙しだったんだろう?

パン屋の頼まれ事なんて忘れちまってよかったのに~」

パン屋のアンおばさんは申し訳ないと何度も言う。


「北の方は落ち着いてきたから、大丈夫よ。

それにおばさんにはいつもお世話になっているし、この店に新しい名物が出来るのはこの町に取ってもいい事でしょう?」


「そうかい?

そう言ってもらえると私も気が楽になるよ」


パティがかごを差し出す。

「アンさん、お嬢様からです」


「おばさん、王都でナッツを使ったお菓子が流行りだしたのですって。

今、貴族のお茶会ではどれだけたっぷりのナッツを使った物をだすかとか、何種類のナッツを使っているかとか自慢大会らしいわ」


「へー、ナッツねぇ」

アンおばさんはかごからクッキーを出して口に運びます。


「香ばしね! それにとてもサックりしている。

この辺で売っているクッキーはもっと固くて日持ちする事を重視しているからこれは全然違うよ」


「これは伯爵家の料理人が作ったレシピだから町で売るとしたら、もう少し固めのしっかりした方が良いとは思うけど、ナッツをいっぱい入れる事は出来るでしょう?」


貴族はクッキーを持ち歩く事はないし、お茶会で食べる前提で作る。

このままだと庶民がお店から買って帰ったり、携帯食として持ち歩くと割れやすいしボロボロになってしまうだろう。


「そうだね、美味しいし、こんなクッキーを作って売りたいけど、私ら庶民向けではないだろうね。

でも、アイデアはいろいろ浮かんできたから、作ってみますよ」


「そう… 良かった。

これは置いて行くから頑張ってね」


「リディアーヌお嬢さん、ありがとうございました。

この辺は気候もいいし、木の実の種類も多いから、いろいろ試してみますよ」


「マルクスって木の実が豊富なの?」


「そうですね、私もくるみパンやアーモンドやピーカンナッツのクリームを使ったパイを作りますよ」


「なるほどね。

ありがとうおばさん。

私もヒントをもらったわ」



私は急いで商会に戻ります。



お読み頂きありがとうございます。

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