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はじめまして、顔も知らない旦那さま「顔も知らない旦那さま改定版」  作者: 井波裕子


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エピソード12


━ジャルジェ伯爵領

     港町 マルクス━



マルクスはジャルジェ伯爵領の最南端にある港町です。


港から北へ町のメインストリートがのびています。

その中程に私の営む商会があります。


建物は白を基調とした三階建てで、一階は外国から仕入れた小物類を販売するお店と応接室、従業員の休憩室など、二階はそれらを扱う商会事務所、三階はここへきた時の私の家です。


「テッド ただいま!」


ちょうど入り口にいた相談役のテッドに声をかけます。


「あれ? お嬢さんお帰りなさい。

今回はずいぶん長くお店を空けましたね」


「テッドも北の領地の事は知っているでしょ?

お父様があちらにかかりっきりだし、私も身動きつかなかったのよ」


「わかってますよ、手紙で指示もきましたからね。ドミニクさん達も変わりなくやってましたよ」


彼はテッド。

この商会で私の相談役を頼み込んで手伝ってもらっている貿易アドバイザーだ。


ドミニクは商会を立ち上げた時に私の右腕としてお父様が付けてくれた伯爵家の財務官。

ドミニクの実家は商会を補佐する仕事をしている。

だから商会の事はお手のものなのだ。

その他の従業員も真面目で働き者をドミニクが雇っているので、業績は年々上がっている。


「お嬢様、お帰りなさいませ」


「ただいま、ドミニク

変わりはないかしら?」


私は2人を連れて自分の執務室へ向かう。

大まかな経過報告をうけて、一息ついた時にテッドが言った。


「それで、北部の災害地はどうですか?」


「なんとか、落ち着いてきたわ」


「それはよかった。

南部の者も心配してたんですよ」


「復興の資金の目処もついてきたわ」


「おお、本当によかった」ドミニクも驚いてる。




「町長も随分心配していましたよ。

お嬢様が戻られたら話を聞きたいって言って」

ドミニクが言う。


「そう、じゃあちょっと町長の所に行ってくるわ」


「1人で行く気ですか?」

私と一緒に帰ってきた侍女のパティが慌てた。


「この町は治安がいいし、大丈夫でしょ?」


「いや…それが北の災害の後、北から流れてきた放浪者が少なからずいて、騒ぎが起きたりしていますから、オレも一緒に行きますよ」

とテッドが護衛を買って出てくれた。


「お嬢様、その方がいいです」

テッドの話を聞いてパティが更に心配している。


ドミニクもうんうん頷いてるし…


3人そろって心配するから、言う通りにしましょう。


テッドと商会を出て港と反対方向へ歩いて、一つ目の角をまがって突き当たりが町役場だった。


役場は歩いて5分としない所なのに、3人とも過保護だわ。



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