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22、【怠惰】と食事事情

3話の内容に矛盾があったのと、今回の話の内容に合わせる形で修正しました。





「お、おはよぅ、お姉ちゃん…。」

「おはよう、ベル。まだ昨日のことを引きずってるの?」

「うん…アレは怖かったよぉ。」


スケルトンキングによるイタズラを受けてしまい気絶した後、そのまま眠りについていたベル。

あのような恐怖体験の後で安眠出来るはずもなく、その表情は非常に暗い。

ベッドからほぼ落下するように脱出したベルは、そのまま這うようにテーブルに着く。

もはやどっちがアンデットだか分からない状態となっていた。


そんな騒動の元凶であるスケルトンキングはダンジョン外の崖の上側で生活しているらしい。

ちなみにスケルトンキングの代名詞である『召喚:スケルトン』はまだ使用していないとのこと。

予想以上の驚かれ具合だったため自重した、という話らしい。


「最近はパンもインスタント麺も飽きてきたし…はぁ…」


制御盤を操作しながらため息をつく。


ベルが1DPで出すことのできる食事は手のかからない食事に限定され、そのほとんどがパンとインスタント麺であり種類も豊富に取り揃えてある。。

しかしどれだけ見た目、味、食感が変わっても本質は『パン』か『麺』である。

そんな食事事情も相まってどんどんと気が滅入ってしまうのであった。


「食事に飽きてきた…って、それはまずいわね。」

「え?」


そんなベルの呟きを聞き逃さなかったフェゴール。

今のベルの言葉でこのダンジョンが抱える深刻な問題が浮き彫りとなったのである。


「だってベルがこのダンジョンを作ってから一週間とちょっと経った程度でしょ?ベルはこのダンジョンで何年、何十年って生きていかないといけないのよ?それなのに食事に飽きたって事は──」

「あっ。」


ベルもはっと息をのんだ。


普通のダンジョンコアはダンジョンに侵入した人間の感情の移り変わりを糧にしているため、食事に飽きるという事は起こりえない。

なにせ人の感情というものは些細(ささい)な事でうつろうモノであり、それぞれの感情によっても味わいが違い、それぞれの人間によっても風味が変わる。

一般的な食事など人間がダンジョンに来ていない場合の緊急時にしか食べないのだ。


そんな至高の料理であるとは考えついていなかったベルは人間の感情よりも身の安全とダラダラ生活を優先したし、そのために町から遠く離れた場所にダンジョンを構えた。


食事も一見種類が多いので油断していた、大別するとパンか麺ということも気が付かずに。

そしてあろうことか十日も過ぎないうちに食事に飽きてしまった。

この状態を放置してしまえば将来的には食べたくもない食事を毎日食べ続けなければいけない、という生き地獄になりかねないのだ。

もちろんおつまみやお菓子など『食べ物』は色々あるだろうが『主食』はパンか麺であり、今後もダラダラ生活を続けていくうえで食の改善は急務だった。


「そうだ、町で作物の種や家畜を買ってココで育てれば──」

「町までは十日かかるわよ。」

「そ、そうだった~!!」


町から遠いということは冒険者がダンジョンに来ることが難しくなるという事だが、それは逆もしかりである。

特にベルは、このダンジョンの階段を休憩無しでは降りることが出来ない程にスタミナがない。

ゆえにモンスターも蔓延(はびこ)るガンギルオン大樹海を十日で抜けることはまず不可能、短く見積もっても一・二ヵ月といったところだろう。


「それに私たちの()()はどう考えても町の人間の中に溶け込まないわ。」


そう言いつつリボンカチューシャで正面だけ隠した自分のツノを後ろ側から撫でるフェゴール。

それを見てベルも自分のヘッドドレスを外してツノに触れる。


黒色で湾曲の少ないベルのツノと、特徴は同じままでベルの物よりも1・2㎝ほど長いフェゴールのツノ。

ベルのツノはヘッドドレスが少し盛り上がる程度の大きさなのだが、フェゴールのツノはベルの物より長いため隠しにくい。

大きめの帽子を被ることで誤魔化すことは可能ではあるだろうが、その大きめの帽子がない。


「…もしかして……やんわりと詰んでる…?」

「食べる物が無くなった訳じゃなくて飽きただけなんだけど、年単位で考えると今のうちに対策をしておかないとダメね。」


むむむっと考えこむベルだったが妙案は浮かばない。

とりあえずはおつまみ系のジャーキーやスルメ、柿ピーなどを食事に混ぜることで飽きを防ぐという方向性にはなったが、このおつまみ系の食べ物に飽きてしまった場合はもう後がない。


現状の食事事情に背筋を凍らせながらも、たまごサンドを頬張るベルであった。

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