20、【怠惰】とネズミ算
活動報告を追加しました。
今回の活動報告では細かなアイデアの募集もしていたりするので興味がある方はどうぞ。
♢♦♢
「これよりッ!!第二回妄想大会をッ!!開催しまっす!!」
コアルームにベルの声が響き渡る。
大声の筈なのだが、元々の声が可愛らしいせいでそこまで威圧感は無く、むしろ微笑ましいかぎりである。
今回の話し合いの中心は、前回のマーブルウルフの襲撃後に手元に残っていた謎の324DPである。
このDPがどのように手に入ったか、その方法を再現できるか、今後も活用できるのか、などが話し合われる予定である。
「ベル、その前に聞きたいことがあるんだけど?」
それに待ったをかけるのはフェゴール。
折角やる気になっているベルの話に割り込むなど本来はあり得ない。
「なぁに、お姉ちゃん?」
「何で『その子』がここに居るの?」
ベルの横でジャーキーを銜えながら丸くなっている白い狼を指さしながら問いかけるフェゴール。
そこにいたのは今回の妄想大会…もとい会議を開くことになった元凶であるマーブルウルフであった。
「ジャーキーを一本あげただけなのに懐いちゃって、えへへ。」
答えになっていない。
しかし害がないのであれば今は無視するのが無難だと判断したフェゴール。
ダンジョンコアであるベルはダンジョンの範囲内であれば転移魔法が使えるし、全ての魔法を使えるフェゴールもまた転移魔法が使えるため、その気になれば逃げるのは簡単なのだ。
ベルとマーブルウルフを無理矢理引きはがせばやる気を損なう可能性もあるため、このままの状態で様子を見ることにした。
「はぁ…分かったわ、続けて。」
「うん。まずは増えたDPのことだけど、もしかしたらーっていう心当たりはあるんだ。」
「私ももしかしたらって思ったけど、本当にアレだったらこのダンジョンでDPのことを殆ど気にしなくてもよくなるわね。」
ダンジョンコアとして生まれた段階で必要な情報が頭の中に記録されているベルは、何となくではあるが今回の現象についてある程度のアタリを付けてきたようだ。
ベルに召喚されたフェゴールもその情報は記録されているので、ベルと同様に思い当たる節があるようだ。
そんな二人が考えていた心当たりは双方ともに同じだった。
それは、『ダンジョン内で死んだ人間、生物、モンスターは全てDPとして還元される』というものだ。
そして『全てのモンスター』の中には、そのダンジョン内で生まれたモンスターも含まれている。
しかし還元効率は非常に悪く、たったの1%だと言われている。
これが人間の場合だった場合は逆に効率がよくなる。
人間の感情は死に際に最も高まり、その瞬間に大量のDPを生み出すからだ。
だからといって人間を無暗に殺しまわるようなダンジョンコアはそうそういない。
そうするよりも同じ人間に何度も来てもらえるようなダンジョンを作った方が長期的に見ると効率的なのだ。
それに、やり過ぎた場合は【突風】のダンジョンのように誰も寄り付かなくなる、というのもある。
まだベルたちは【突風】を知らないので話に上がることは無かったのだが。
話を戻そう。
ダンジョン内で生まれたモンスターが死んだときのDPは、本来の最低コストのモンスターである15DPで召喚できる普通のスライムでも必ず1DPは獲得できる。
最低値が1なのか端数切り上げなのかは定かではないが、とにかく1DPがダンジョンに蓄積される。
「そして全てのモンスターが1DPで召喚できるこのダンジョンでも、モンスターが倒された場合に手に入るのは1DP…って思ったんだけど。」
「ええ、私もそう考えているわ。」
お互いの予想が同じで安心したのか、少し嬉しそうに頭をかくベル。
その後一呼吸おいて再び口を開き始める。
「それで…なんだけど…」
「ええ、アレよね?」
アレと言いつつフェゴールの視線があるものに留まる。
ベルも気が付いていたアレ、その正体はコアルームの端で一日一回スライムを召喚する魔力の渦である。
先ほどの話を踏まえて言い換えれば一日一回1DPを生む魔力の渦である。
簡単にまとめるならば──
「このダンジョンならどのモンスターを召喚しても1DP、それなのに倒されても1DPが帰ってくるからDPが減らない!!」
「それに魔力の渦はこのダンジョンだとどの種類でも100DPだから、100日経てば元が取れる。それ以降は純粋な利になるから魔力の渦を作るメリットが凄く大きくなっているわね。」
彼女たちの言う通り、『【怠惰】の烙印』で召喚するモンスターのコストが1DPになっていることによって様々な恩恵を受けることが出来ている。
これだけでも将来DPに困ることは無くなるだろう。
それなのにベルがとんでもないことを閃いてしまう。
「もしかして、スケルトンキングが召喚するスケルトンが倒れた時も1DPって手に入るのかな?」
スケルトンとはアンデットの一種で、簡単に言えば動き回るガイコツである。
スケルトンが動いている原理は魔力とも霊的な力とも言われているが真実は定かではない。
ランクはEランクで、HPが高い以外には特徴的なパラメーターもスキルもない。
彼らはアンデットであるため知能が低く散発的な攻撃を繰り出すのみだが、時たまに他のスケルトンを従えるスケルトンの王が現れて統制のとれた行動をとることがある。
そのスケルトンの王こそがCランクモンスターのスケルトンキングなのだ。
そんなスケルトンキングのスキルには【召喚:スケルトン】が含まれており、一日に100体のスケルトンを召喚することが出来る。
つまりスケルトンキング1体で一日あたり100DPを稼ぐことが出来るのではないか、というのがベルの考えであった。
しかし横で聞いていたフェゴールは笑顔のまま、この案にすぐさま修正を入れ始めた。
「ダメよベル、ちゃんとスケルトンキングは魔力の渦で出さないと。」
この姉、鬼である。
いや、マナドールなのだが。
感想で書かれていた『召喚を使用するモンスター』に関する案を一部使わせてもらいました。
ありがとうございます。




