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プロローグ ~審判の街と無能な高校生~

ここは“審判の街(ジャッジシティ)”といわれるところだ。本当はきちんとした名称があるのだが、そこは置いておこう。

ここはこの街の名前の由来にもなった、「ジャッジメント・パウダー」と呼ばれる不思議な粉の名産地でもあり、その粉は触れたものを超能力者に変える力を持っている。だが全員がなれると言うわけではなく、選ばれた者のみが超能力を得ることができる。

そんな街にある男がいた。小早川勇馬(こばやかわゆうま)、高校2年生である。テストも成績もよろしくなく、かと言って運動神経もほどほど。その男が後に信じられないような変貌を遂げることになろうとは、この時誰も分からなかった。これはそんな普通の高校生のお話。



「――――――――この街は腐っている――――――――」そう俺は思っている。

なぜならこの街には2種類の人間しかいない。

それは、文字通り「能力を持った者」と「能力を持たない者」だ。

前者が後者を支配して、後者は能力の壁を超えられず暮らすことになる。それが当たり前となっているのだ。この街は。

ここは「審判の街」。他県の奴らはこの街を「神が宿る地」と言って、自分もここに住みたいという奴がいるが、そんな奴らは一回住んでみるといい。そして知るがいい。ここは「神が宿る街」という名の「地獄」だと言うことを…………


俺は小早川勇馬(こばやかわゆうま)。清流高校2年生だ。突然だが、ここで質問だ。

あなたにはそれはそれはカッコイイお兄ちゃんがいるとしよう。そんなお兄ちゃんを起こしに行くと、お兄ちゃんは寝ていた。さて、あなたならどう起こす?

オーソドックスに揺すって起こす?まぁ、アリだな。耳元でのモーニングコール?うん。いいじゃねえか。まさかのおはようのチュウ?く~っ!最高だ!

さて、現在午前7時。俺もそのチャンスが来た。だが俺の妹、亜美(あみ)は何をしたと思う?正解はこうだ。



「いつまで寝てんだこの馬鹿兄貴!!!」



怒声とともに鋭い音が鳴り響き、俺は痛さのあまり、起きてしまった。



「いってっ!?最悪のグッドモーニングだ畜生!もっと優しくおこせよ!!」



「うっさい!!いいから早くご飯を食べろ!!!」



「その前に、毎朝のモーニングハリセンを何とかしろよ!!めっちゃ痛いんだぞ!?」



そう。俺は現在、考えられる中で一番最悪な起こし方で叩き起こされた。ハリセンだ。



「薫(かおる)だって、朝ごはん作って待ってんのよ!?早く台所に行って来てあげてよ!!」



薫(かおる)とは俺のもう一人の妹である。小学4年生で上とは違い、めちゃくちゃ優しい。しっかり者でいて、ついでに家事も得意。いわゆる「良妻賢母」っていうやつだ。こいつを見ているとつくづく、亜美の方はいらないのではないかという疑問が浮かぶ。そんな事を考えていると、それを見透かしたように



「ん?何?ひょっとしてこの妹ウザ~とか思ってる?」



「い…いえ!!断じてそんなことは!!」



恐るべし女の勘…そんなはっきりと見抜けるのか…以後、気をつけよう。



「ふ~ん…とにかく!早くしないと、マジで遅刻するよ?」



「分かったよ…それにしても痛てぇな…」



そんな事をつぶやきながら台所へ向かうと、台所から



「あっ!おはよう!!お兄ちゃん!!」



という声が聞こえてきた。薫の声だ。



「おう…おはよう…」



「あらら…また今日もお姉ちゃんにやられたんだね。ちょっと赤くなってるよ?ちょっと頭下げて。」



言われた通りに頭を下げると、俺の頭を撫でて、こう言った。



「いたいのいたいのお空のかなたにとんでけ~!!!」



こっ…この野郎…かわいいじゃないか。



「ありがとう薫。もうすっかり治ったよ。」



「ふふっ。どういたしまして。さっ!早く食べて!!」



そう言われ、俺は妹の朝食を味わいつつ速攻で平らげ、着替えもすませ家を出ると、そこにはもう準備が終わり、何やら不機嫌そうな顔で睨む亜美の姿があった。



「遅い!!女の子を何分待たせれば気がすむのよ!!」



「すまん…悪かった…」



本当はこれっぽっちも思ってないが、これ以上怒らせるとどうなったか分かったもんじゃないので、しょげるフリをし、「もうしないから許して」オーラを出していると、



「ちょっ…もういいわよ。そんな顔されても悲しくなるだけだしさ。今回は、許してあげる。」



「そうか…ありがとうな。亜美。」



「べ…別にいいわよ。このくらい。それより!遅刻するよ!!行こっ!!!」



ふっ…ふっ…ふっ… あいかわらず扱いやすい奴だ。

ツンデレは本当にコツをつかむと攻略しやすい。今まで何度この戦法でなだめて来たことか。

そんな事とは知らず、当の本人は走っている。俺もいそいで追いかける。



勇馬はまた今日もこんなんで始まり、そして同じ感じで終わるものだと思っていた。



だが生憎、今日はこれから始まる長く、辛い闘いの始まりの日だった。







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