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第四十二話 銀色の潤滑剤


 お姉さんとお姉さんのお父さんの間に、ビリビリとした……うーん、いや、なんか怒ってるわけでもなさそうな雰囲気が漂っている。


「……ヴァーち」

「……なによ」


 いつのまにか、お姉さんはヴァーち呼びを受け入れてるのか、はたまた呆れてるのか……反発することはなくなっていた。


 

「すまんかったな」

「……そうね……一発殴っても大丈夫かしら」


 お姉さんが、すこし微笑みながら拳を握りしめている。怒ってるのかな?それとも、嬉しい?表情と仕草が合ってないから、私にはよく分かんない。


「……うーむ……」 

「冗談よ。殴ったら死んじゃうもの」


 お姉さんは拳を収めて、その手を私の頭にポンと置いた。お姉さんの手はすこし重くて、でもそれが安心する。

 

「いうようになったのぉ……」


 親子喧嘩ってこんな感じで解決するものなんだ……よし、私もいつか結婚して、子供ができて、もし喧嘩したらこうやって解決すればいいんだよね……?


「……本題に入りましょうか。この可愛い子が……リーシャンちゃんよ!」

「……え、あ、はい!リーシャンです!」


 いきなり話を振られるとは思ってなかったから、ちょっとビックリしちゃった。さっきまではお姉さんに向けられていたお姉さんのお父さんの瞳が、こんどは私に向けられた。 


「……こんにちは、リーシャン。……私はアルコ。アルコ・テンダーネスじゃ」


 ……アルコ?アルコって、まえにお姉さんがお師匠とかなんとか言ってたあの……?


 ってことは、飛行艇に乗ってたグラジアさんが探してたのって、お師匠じゃなくてお姉さんのお父上……ってこと?


「……アルコ……?お姉さん、アルコって、前にグラジアさんが探してたあのアルコ……?」

「な!?り、リーシャンや……いまグラジアと……?」


 アルコさんが机に身を乗り出し、慌てた目で私とお姉さんの顔を見始めた。アルコさんの白くて長いおヒゲが、ふわっと揺れる。

 

「……貴方、なにかやらかしたの?飛行艇に乗ってるときに貴方を探してるハーフエルフの人がいたから……面倒だと思って濁しておいたけれど」

「ナイス!ベリーグッジョブじゃ、ヴァーち!」

「……はぁ。……古臭い横文字、無理に使わなくていいわよ。若者ですら使ってないわよそんなの。」


 お姉さんが今度はリラックスしたふうに壁に寄りかかって、アルコさんに向かってニヤつきながら口を開いた。


「……で?なにをしでかしたの?」

 

 お姉さんの赤い瞳が、照明の光を反射して楽しげに光った。アルコさんは椅子にどっしりと座り直して、手を組んで気まずそうにし始めた。

キャラクタープチステータス:


 ⑬アルコ

 年齢:不明(老人) 

 身長:185センチ

 種族:魔族

 好み:酒と葉巻

 好きな人:家族と使用人達

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