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歴史書:第一章「原初の種族」

この文章は、お姉さんが「第5話 お勉強会」で持ち出した分厚い本の一部分(種族の原点)です!



――この本に、多種族大陸ガーデンの発展の歴史と、ガーデンが誇る数多の生物の多様性について記す。この記述は

 執筆者:シーアル・ベルベイリン

 情報提供者:パストグロリ・グラドニア

 による解釈と考察が多く含まれている。

「"歴史"とは、その時代を生きた人々の意思で、簡単に捏造・改竄されるモノだ。事実とは違う歴史が民衆に広がっている事を、私は長い生の中で実際に目にしてきた」と、歴史の生き証人は語っている。


 大陸ガーデンの、原初の歴史について考えたことはあるだろうか。歴史と、私たちが歩んできた軌跡を紐付ける大きなアンカーとなるのは、やはり「年号」だろう。数多の出来事を、「時系列」として整理することが可能になる。


 魔族の国家「魔条」の成立から、多くの種族が入り乱れる国家「バイトコル」の成立。人間族の国家「ミリオン」の成立まで。歴史上の大きな出来事には、必ず「原因」と「結果」が存在する。


 ここには、そういった過去の出来事の「本当の話」を書き記す。



――――――――――――――――――――――――――――――


 1.大陸ガーデンの原初の文明


 遥か昔。海の向こうの大陸から、この星の原初の知的種族である「メイ・エルフ」が大陸に上陸した。彼らはその大陸を、「多くの花が咲き誇るような、庭園になって欲しい」という願いから「ガーデン」と名付けた。


 彼らは、緑豊かな「ガーデン」に、自分達と似ている、人型の種族「猿人」を発見した。

「知能はまだ、自分達には及ばない」されど、それでも彼らにとってその種族は、「種」のように見えた。


 そうだ、この「種」こそが、後の「人間族」の祖先なのだ。

彼らはこの大陸で「種」を見つけた日を起点とし「園歴0年」と「年号」を記録し始めた。


 ――――――――――――――――――――――――――――――


 2.「人間族」の祖先


 「メイ・エルフ」である彼らは、猿人を徹底的に保護すると共に、「知恵」と「道具」を授けた。

 

 すると、猿人達の文明は飛躍的な速度で発展した。彼らはその段階の猿人を「新人族」と名付けた。

 

 次第に彼らは、「メイ・エルフ」の技術である「魔法」も「新人族」に授け、奇跡的な確率で魔法に適応した「新人族」を「英族」と名付けた。


 ここから、「人間族」と「英族」の2つの種族に分かれ始めたのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――


 3.「獣族」と「魚族」の祖先


 「新人族」と「英族」が大陸に誕生した後、「メイ・エルフ」達は「この大陸を更に豊かに、賑やかにしよう」と考え、外の大陸から「魚」と「動物」を船で輸送し持ち込んだ。「魚」を近海に放ち、「動物」を野に放った。


 この時「一部の動物」は「新人族」の元に残り、「ペット」として共に生きる事を選んだ。後の「獣族」は、この「ペット」が祖先である。現代で「人型の獣族」と「動物」が分かれているのには、ここでの「選択」により、差がついているのだ。前者はガーデンの魔力の影響で、次第に「新人族」に近しい外見になり、今の「獣族」となり、後者は、魔力にあてられながらも、そのままの姿を保ち野生の「動物」となったのだ。今の「獣族差別」が、この時代から既に始まっていた事だとは、執筆者である私は思いもよらなかった。


 「魚族」は、「動物」とは少し違う進化の過程を経たようだ。元の「魚」の中でも、当然「弱肉強食」のルールは存在する。その中で、「他の魚に襲われないよう、新人族のような見た目に偶然進化した」個体が生き残り、今の「魚族」まで、そのままその遺伝子が引き継がれているのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――


 4.「新人族」から「人間族」に


「獣族」と共に文明を発展させてきた「新人族」だが、次第に「メイ・エルフ」と交配をする様になってきた。

「新人族」の数と、「メイ・エルフ」の「知恵」が引き継がれた新たな種族が「人間族」である。

これが「人間族」の中で極稀に「爆発的な天賦の才」を持つ個体が生まれる要因だろう。「神」に近い「メイ・エルフ」の血がそのまま流れているのだ。


 これに関しては、実は「英族」も同様である。 身体的構造は「新人族」と同じで、魔法の適性があるかないかで区別されている「英族」も次第に「メイ・エルフ」と交配するようになり、「英族」と「メイ・エルフ」の子孫が、後の「魔族」である。そのため現代の「魔族」も「人間族」と同様に、極稀に「爆発的な天賦の才」を持つ個体が生まれるのである。


 他にも「魔族」は、魔法の適性遺伝子が活性化し、黒色の角や黒色の翼など、「人間族」とは少し違う特徴的な外見を持つようになるなど、別の進化の方向を歩んでいる。


――――――――――――――――――――――――――――――


5.現代の「神」について


 少し話が逸れるが、どうしてもここに記しておきたい事がある。

それは「王都バイトコルの警備騎士団団長」である「グラディロン・ギルヘイヴン」についてだ。

 

 本来、こういった歴史書に「現代の人物」に焦点を当てて語る事は少ない。


 だがしかし、彼はまさに「歴史」を体現するような人物なのだ。

王都での活躍を見れば、彼はまさに「英雄」である。彼の強さは、その出生が大きく関係しているのだ。


 彼は、「魔族」の父親と「人間族」と「猫族」のハーフの母親の血を引いている。ここまでは、ガーデンにおいて何ら珍しくはない。


 しかし彼が異質な部分は、本来まともに発生するものではない「爆発的な天賦の才」を「人間族の遺伝子」と「魔族の遺伝子」で両方同時に開花させたことにある。


 それが、彼が一般的な刀の2倍以上に長い刀身を持ち、重さも3倍、4倍はあるあの名刀「揺神」を扱える理由だ。彼の「一閃二斬」は、言うなれば物理現象に正面から喧嘩を売り、余裕を持って打ち倒す程の荒業だ。二回の斬撃を、まるで一振りしかしていないように見せる技。


 そして、黒色の翼で軽やかに空に飛び、法を犯した者に対し、遠距離から魔力由来の黒い斬撃を飛ばす。


 現代の奇跡の存在である「神」の彼がいるから、王都バイトコルは治安を最低限保てているのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――


6.「メイ・エルフ」の行方


 ここまで読み進めた時、誰しもが一つの疑問を思い浮かべるのではないかと推測する。


 それは「メイ・エルフは現在、どこにいるのか?」という疑問である。

これについて、私は一つの仮説を立てた。


「メイ・エルフ達は、かつての人間族と魔族に裏切られ、神という立場を追われてしまったのではないか?」という仮説だ。これが事実であるのならば、私達は「神殺しの歴史」の上に、この世界を生きている事になる。


 この考察を元に、執筆協力者のパストグロリ・グラドニアに聞いてみたが、話を濁されてしまったため、不確定的な情報とし、この話題についての記述は、これ以上進めない事とする。



――――――――――――――――――――――――――――――

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